となりのひとりごと

ふつうの大学生です。 ちょっとした気づきで、頭を柔らかくするたのしさを 好きなものでつ…

となりのひとりごと

ふつうの大学生です。 ちょっとした気づきで、頭を柔らかくするたのしさを 好きなものでつながる嬉しさを おすそ分け、しあいましょ

記事一覧

「レディーファースト」と「紳士」のちがい
ヨーロッパに滞在していると、女性に対する敬意を持った「紳士な気遣い」を受けることが、日本の比にならないくらいにある。言い方を変えれば今の時風には合わない、性差別的な印象を与えてしまうけど、その動機は本来もっと尊いものだとおもう。

「おいしい生活」を皮切りに、付加価値が売れる時代になった。
SNSが普及し、文字数の中でキャッチーなフレーズをうまく作る人が増えて、ブランドのロゴが「見えやすい見栄」として通用する社会。
だからここが、「本質主義」への転換点なんじゃないかなあ。

被爆国として致し方ない、複雑な心境

最近、日本や世界で話題性の高い作品といえば『オッペンハイマー』、ではないだろうか。 SNSやネット上でも「日本人なら観に行くべき」等の謳い文句を、よく目にしたせいか…

「とわの庭」

小川糸 著 「とわの庭」 とわは、うつくしい母親「あい」のもとに生まれた。 彼女たちは、「とわの庭」とよぶ豊かな庭のある一軒家に二人の世界を育んでいた。 ふたりは…

まだ明るい、夕方5時

チャイムがなって、5時になったことに気が付く 子供の頃、この時間にはちょうど遊びが佳境を迎える頃だった 1時間ぐらい前に食べたおやつがエネルギーになって テレビの画…

PERFECT DAYS

彼は、「TOKYO TOILET」の青いツナギを着て、毎日都内の公衆トイレを掃除する仕事をしている。 よく居合わせる若年の生意気な同僚からすると、「仕事はめっちゃできるけど…

さあ、「人生」について。

生きることとは、生・老・病・死の苦行である。 でも、なんでこんなに険しい道をみな進んでいくのだろう? 「私は幸せになるんだ!」 「一生、幸せにします!」 「ムスメに…

「夜明けのすべて」

「いったい、私は周りからどう思われたいのだろうか。 明朗快活というのも違う、優しくて気がきくのはいいけどそれだけだと思われたもんなら堪らない。」 美沙。巷にいう大…

考えるのをやめたから

私は、約5年前から気分変調症と生きてきた 1日の終わりに、ひとり反省会 「あの子に嫌われたかも、みんなに白い目で見られているんだろうな」他人の頭の中なんてわかるは…

「湯を沸かすほどの熱い愛」

みなさま、明けましておめでとうございます。 年明けにも関わらず、寒く、苦しい思いをされている皆様に1日も早い温もりと笑顔が戻ることを、心からお祈りしております。 …

Love Rosie

今日は、映画「Love Rosie」(あと1センチの恋)をご紹介します。 ロージーとグレッグは、生まれた時からずっと一緒な幼馴染。互いの家に入り浸っては、一つのイヤホン…

『おいしいごはんが食べられますように』

高瀬隼子によるこの小説は、芥川賞を受賞した著名な作品である。 私も、祈るような題名と白と黄色で描かれたよくわからない表紙に惹かれ、手に取った。 『おいしいごはんが…

いっそ、遺伝子レベルかもしれない

ここ数日、やっと、やっと今回の鬱期を抜け始めた感覚がある。 今回は長く、鈍く、苦しい2週間だった。 私には1ヶ月に少なくとも一度、鬱の底まで気持ちが落ちる時があ…

「52ヘルツのクジラたち」

52ヘルツのクジラたち それは、誰にも聞き取ることのできない「52ヘルツ」の声で鳴く鯨たちのこと。 貴湖は恋人の前で刃を翳した。その刃は、自らの腹に鎮まり消えない傷と…

「僕らのごはんは明日で待ってる」

こんばんは、皆様今日も1日お疲れ様でした。 気がつけば終わってしまったのかと、秋のあまりにさっぱりとした去り方に恨めしささえ感じていた11月半ば、かと思えば最後に秋…

「メタモルフォーゼの縁側」

皆さんこんばんは、今日も1日お疲れ様でした。 もうそこまで来ている冬に、つまり秋があっさり終わってしまうということに寂しさと愛おしさを感じている日々ですが、今日22…

「レディーファースト」と「紳士」のちがい
ヨーロッパに滞在していると、女性に対する敬意を持った「紳士な気遣い」を受けることが、日本の比にならないくらいにある。言い方を変えれば今の時風には合わない、性差別的な印象を与えてしまうけど、その動機は本来もっと尊いものだとおもう。

「おいしい生活」を皮切りに、付加価値が売れる時代になった。
SNSが普及し、文字数の中でキャッチーなフレーズをうまく作る人が増えて、ブランドのロゴが「見えやすい見栄」として通用する社会。
だからここが、「本質主義」への転換点なんじゃないかなあ。

被爆国として致し方ない、複雑な心境

被爆国として致し方ない、複雑な心境

最近、日本や世界で話題性の高い作品といえば『オッペンハイマー』、ではないだろうか。
SNSやネット上でも「日本人なら観に行くべき」等の謳い文句を、よく目にしたせいか、うっすらと義務性を感じつつ、私もみに行った。

まずは、ごく個人的な感想を垂れる。
映画が終わって、自分の体に湧き上がった最大の感情は「怒り」であった。
しかし、それは映画の監督に対してではなく、じわじわと胃を蝕むように私の中に拡がる

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「とわの庭」

「とわの庭」

小川糸 著 「とわの庭」

とわは、うつくしい母親「あい」のもとに生まれた。
彼女たちは、「とわの庭」とよぶ豊かな庭のある一軒家に二人の世界を育んでいた。
ふたりは「とわのあい」で結ばれた、透明で黄金色の、生糸のように儚い光で結ばれていた。

とわは、目が見えない
でも、目が見えないのが悲しいこと、とは思っていない
見えるからいいこともあれば、逆に見えるからこわいことだって、いっぱいあるに違いない

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まだ明るい、夕方5時

まだ明るい、夕方5時

チャイムがなって、5時になったことに気が付く

子供の頃、この時間にはちょうど遊びが佳境を迎える頃だった
1時間ぐらい前に食べたおやつがエネルギーになって
テレビの画面で競り合う自分のキャラクターの接戦に、私たちは跳ねたり、きゃーと叫んだり、おお盛り上がり

決まって毎回そんな時に、試合終了を知らせるゴングのように、というより、「そろそろかえりなさ〜い」という聖母の囁きのように、チャイムはなってし

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PERFECT DAYS

PERFECT DAYS

彼は、「TOKYO TOILET」の青いツナギを着て、毎日都内の公衆トイレを掃除する仕事をしている。

よく居合わせる若年の生意気な同僚からすると、「仕事はめっちゃできるけど無口すぎて何考えてるかさっぱり」な老人。
掃除中にすれ違う人々は、彼を「掃除ロボット」か何かのように見て見ぬ振りをするか、卑しむ視線を送ってきさえする。

ただ彼はといえば、この世界と繋がっているようで、全く別の場所で生きてい

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さあ、「人生」について。

さあ、「人生」について。

生きることとは、生・老・病・死の苦行である。
でも、なんでこんなに険しい道をみな進んでいくのだろう?
「私は幸せになるんだ!」
「一生、幸せにします!」
「ムスメには、幸せになって欲しいんだ。。」

じゃあ、聞きます。「しあわせを、絵にかけますか?」
「仕事」が、絵に描けない、動きの総称であるように
多くの日本人が抱く「しあわせ」の幻想は、ほんとうに、実態がない迷信である。

ただ、こうは言える。

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「夜明けのすべて」

「夜明けのすべて」

「いったい、私は周りからどう思われたいのだろうか。
明朗快活というのも違う、優しくて気がきくのはいいけどそれだけだと思われたもんなら堪らない。」
美沙。巷にいう大企業から従業員6名の粟田金属で働くようになって三年が経つ。

冒頭から怒涛のような「気遣い」を脳内で繰り広げる彼女は、重度のPMS(生理前症候群)で前の職場に戻れなくなったきっかけも、まさにこのことが理由だ。
爆発するまで収まりきらない、

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考えるのをやめたから

考えるのをやめたから

私は、約5年前から気分変調症と生きてきた

1日の終わりに、ひとり反省会
「あの子に嫌われたかも、みんなに白い目で見られているんだろうな」他人の頭の中なんてわかるはずもないのに、被害妄想を事実だと信じて疑わなかった

でもそんな5年を経てわかってきたことがある
私たちが「考えていること」は全て、幻想であるということ。
全ては不確実で、刻々と形を変える
「1秒前は死んだ」のだ
ただ一つ決まっているの

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「湯を沸かすほどの熱い愛」

「湯を沸かすほどの熱い愛」

みなさま、明けましておめでとうございます。
年明けにも関わらず、寒く、苦しい思いをされている皆様に1日も早い温もりと笑顔が戻ることを、心からお祈りしております。

今日は「湯を沸かすほどの熱い愛」という作品をご紹介します。

バツイチの銭湯屋の倅に嫁いだ美しい女性、双葉。
一人娘の安澄は大人になりかけの少女な季節。あどけなさがまだしっかりと残った、あの年代ならではの澄んだ美しさを放つ内気な女の子だ

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Love Rosie

Love Rosie

今日は、映画「Love Rosie」(あと1センチの恋)をご紹介します。

ロージーとグレッグは、生まれた時からずっと一緒な幼馴染。互いの家に入り浸っては、一つのイヤホンで好きな音楽を聴き合い、些細なことで殴り合いの喧嘩だってする。親よりも、自分よりもお互いを知っていると、胸を張って言えるほどには近しい存在だった。
そんな彼らの関係が崩れだすのは、そう、「プロムに誰を誘うか」という時期だった。ロ

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『おいしいごはんが食べられますように』

『おいしいごはんが食べられますように』

高瀬隼子によるこの小説は、芥川賞を受賞した著名な作品である。
私も、祈るような題名と白と黄色で描かれたよくわからない表紙に惹かれ、手に取った。
『おいしいごはんが食べられますように』というのだから、もちろん色がテーマ心温まる物語なのだろうと、油断でだらりと弛んだ心持ちのまま読み始めてしまった。
そう、一見やさしそうな外装の悪魔に、まんまと騙されたのだ。

二谷は普通のサラリーマン、ごく”普通”の職

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いっそ、遺伝子レベルかもしれない

いっそ、遺伝子レベルかもしれない

ここ数日、やっと、やっと今回の鬱期を抜け始めた感覚がある。
今回は長く、鈍く、苦しい2週間だった。

私には1ヶ月に少なくとも一度、鬱の底まで気持ちが落ちる時がある。
今年の夏頃、自分の中ではどうにもならなくなり受診した精神科医によると、私の”心情”は「気分失調症」と呼ばれているらしい。
症状は本当に人それぞれだが、私の場合は、常に「2メートルほど離れたところからちょうどダーツを投げるように放られ

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「52ヘルツのクジラたち」

「52ヘルツのクジラたち」

52ヘルツのクジラたち
それは、誰にも聞き取ることのできない「52ヘルツ」の声で鳴く鯨たちのこと。
貴湖は恋人の前で刃を翳した。その刃は、自らの腹に鎮まり消えない傷となって今も残っている。
傷が疼くとき、気づけばいつも呼んでいる「アンさん」の名。彼は貴湖に「魂の番」という言葉を教えてくれた人だ。彼は、1人で暮らす家の浴槽で、手首から血を流し1人で死んだ。
2人の愛する人を傷つけてしまった自らへの悪

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「僕らのごはんは明日で待ってる」

「僕らのごはんは明日で待ってる」

こんばんは、皆様今日も1日お疲れ様でした。
気がつけば終わってしまったのかと、秋のあまりにさっぱりとした去り方に恨めしささえ感じていた11月半ば、かと思えば最後に秋の鮮やかさを存分に楽しめるような気候と共に、少し帰ってきてくれたようなここ数日間ですね。

今日は「僕らのごはんは明日で待ってる」という作品をご紹介します。

主人公は18歳の男子高校生「イエス」もとい「葉山くん」とクラスメイト「上村」

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「メタモルフォーゼの縁側」

「メタモルフォーゼの縁側」

皆さんこんばんは、今日も1日お疲れ様でした。
もうそこまで来ている冬に、つまり秋があっさり終わってしまうということに寂しさと愛おしさを感じている日々ですが、今日22日は最後の秋を満喫できる素晴らしい天気でしたね。
名残惜しくもありますが、私はみかんを食べて気を紛らわせています。

今日は「メタモルフォーゼの縁側」という作品を紹介しようと思います。

 夫を亡くした75歳の老婦人が、猛暑の中葬式から

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