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ベンヤミンとグレーテル
「あなたのお手紙は、あなたに会いたいという荒々しい憧れの念をわたしの内に呼び覚ましました。その思いのあまりの激しさに、できることなら、なにか当たり前のことのように次の船に乗って、あなたのもとに旅立ちたいと思ったほどです」1938年8月3日グレーテル・アドルノからヴァルター・ベンヤミン宛 (H・ローニツ/C・ゲッデ編 伊藤白・鈴木直・三島憲一訳『ヴァルター・ベンヤミン/グレーテル・アドルノ往復書簡
もっとみる『抵抗への参加』を読みながら
ここ数日話題となっている岸田総理の「女性ならではの感性や共感力を十分発揮していただきながら、仕事をしていただく」という発言はまさに、人間の倫理としてのケアの倫理に反するものである。
キャロル・ギリガンは著書『抵抗への参加』のなかで、進化人類学者のハーディを引いているが、ハーディは、共感力や相手の心を察する力、協働や相互理解の能力が人間の進化として発達する理由とその過程を生物学上の両親ではない他者