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自由であることを知る
つい数年前まで、あらゆるものにがんじがらめに縛られていた。縛られていたものは幻想に過ぎないけれど、圧倒的なリアルで、私は縛られていた。
子どもから思春期に至る時、親の視線が鬱陶しかった。親に縛られている感覚が嫌だった。親から逃げるように寮生活に入ったけれど、私は他人の視線から自由になることはなかった。
社会人になってからは、親の視線は上司の視線に取って代わり、私をがんじがらめに縛った。ある時、
モダン・タイムス2024春
いつまでも寝ていたい春の朝にバス停で待ちながらおもむろにヘッドフォンを取り出して、お気に入りのプレーヤーで音楽を鳴らす。今日の選曲は、グレン・グールドが奏でるバッハの平均律クラヴィーア曲集。小気味よくピアノの旋律が刻んで上昇していく音に私の眠っていた心は反応し始める。ふと、幼少期に母が毎朝クラシックをかけていたことを思い出す。平日はいつだって目覚めと同時に社会なるものとの付き合いを再開せねばなら
もっとみる物を買わずに豊かに生きる6
いつから自分はお金がないと生きていけなくなってしまったのだろう?
『新百姓』という素晴らしい雑誌の創刊号(000号)に出会えて幸せだった。私の考えていることの実践が鮮やかに描かれていた。
思えば「買う」ことによって、さまざまなものを作り出す智慧を手放してきた。衣食住すべてにおいて「買う」ことによって生きてきた私は、お金がないと生きていけない人になってしまったのである。「買う」代わりに何も考えずに