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記憶に残るひと 『散歩』
久しぶりに小説を読みました。
『閉ざされた扉
ホセ・ドノソ全短編』
寺尾隆吉 訳
水声社
名作と呼ばれる小説が、心にいつまでも残るのは、物語の面白さや技巧によるところはもちろん大きいけれど、それよりもむしろ、読んでいたときの気持ちを憶えているからだと、どこかで読んだことがあります。
心に受けた衝撃、読んでいるあいだに感じたことを憶えているから、作品が永遠の輝きを
思い返せば 「窓辺の灯」
文学のことばが読みたい。
無性にそう思うときがあります。
たとえば、なにかを理解しようとして、長い長い説明文だったり実用書だったりの、温度の低い味気ない文章ばかりをひたすら読みつづけたときなどは、それはもう恋しくてたまらなくなります。
単なる言葉を超えたことばに浸りたい。
そういうとき、頼りになるひとりが、
トルーマン・カポーティ(1924-1984)です。
カポーティの、センシティブな心