まなみき

体脂肪率は20代の頃より低いと機嫌が良くなります 愛と音と文を与えないと枯れます 優し…

まなみき

体脂肪率は20代の頃より低いと機嫌が良くなります 愛と音と文を与えないと枯れます 優しくしてください

記事一覧

子育て回顧録その3 分けることと分けないこと

もうすぐ親元を離れる息子 陽(はる)に、親としてできることは、あまりない。 だけど、愛して育てた記録は私にしか書けないはず。 そう思い、時々書いている子育て回顧録…

まなみき
1日前
4

許せる人、許せない人

許せる人、許せない人の違いはなんだろう。 許せないのは、とても辛い。 怒りに心を奪われているから。 自分を更に怒らせる妄想を増産していくから。 自分を守ろうとして…

まなみき
6日前
4

帰り道

夕焼けがきれいで、心も身体も疲れた帰り道は、横にあなたがいないのが苦しい。 どこからボタンの掛け違えは始まっていたんだ。 何を見逃してしまったんだろう。 ただ、…

まなみき
12日前
3

メロスの恋人

太宰治の『走れメロス』でメロスの代わりに人質となり、命を奪われるかもという不安の中で彼を待ち続けた友はセリヌンティウスという人。 セリヌンティウスは、友情と自ら…

まなみき
1か月前
8

子育て回顧録 その2 父母の受容

陽(はる)の発達に何かがあると感じたのは、1歳半から2歳頃だっただろうか。 私は保健師だったし、療育の担当もしていたから、自分に子どもができたとき、障害のある子…

まなみき
1か月前
7

組織の良心

春は人事異動の季節だ。 今まで気持ちよく助け合ってきた同僚や慕っていた上司、優しくしてくれた先輩がいなくなるのは、想定していたこととはいえ寂しい。 組織の良心を…

まなみき
1か月前
13

子育て回顧録1 生まれる前のこと

息子の陽(はる:仮名)は、もうすぐ高校を卒業する。 最近は、私よりいいやつだったり、努力家だったりして、勝手にすくすくと育っている。 修学旅行から帰って来たら「楽…

まなみき
1か月前
8

往復書簡

美希へ こちらは菜の花の時期が終わり、もうすぐ桜がほころびそうです。 菜の花なんて、花屋かスーパーでしかみたことないよね。 北海道は福寿草やムスカリが咲いて、その…

まなみき
2か月前
7

ナーバスな横顔に関する考察

大事な何かに臨む人の佇まいが好きだ。 張り詰めているけど、それを外には出さないようにしている。 ここにはいるけど、頭や心はここと違うところにある。 ナーバスなその…

まなみき
2か月前
5

目標の呪縛

以前住んでいたまちで教育委員をしていたことがある。 教育委員は、教育委員会の構成員。首長から独立した教育行政を指揮監督する。レイマンコントロール(住民による意思…

まなみき
2か月前
9

琥珀

琥珀のネックレスが君の胸元で光る。細いゴールドのチェーンは長くて、胸骨中央辺りに細長い琥珀が揺れている。 アイボリーのブラウスとベージュのカーディガン、琥珀のネ…

まなみき
2か月前
7

日曜日のふたり

 俊は悠の近くを通りながらパソコンをのぞきこみ「俺ならもっと性の素晴らしさを伝えたいね」と言った。  明日は、悠が養護教諭になってから初めての性教育の授業だ。高…

まなみき
2か月前
8

月を見る人

桜庭一樹さんは著書で 「私の身の回りでも空を見る人、旅をする人は、人の死というものに一度深く触れた経験をしていることが多いようだ」と言った。 老人ホームに10年ほ…

まなみき
2か月前
9

ガソリンスタンドにて

 いつも行くガソリンスタンドは、通っているヨガスタジオから近く、洗車機もあるから便利だ。そこの裏には、ラブホテルがある。ラブホテルの駐車場は、ガソリンスタンド側…

まなみき
2か月前
8
子育て回顧録その3   分けることと分けないこと

子育て回顧録その3 分けることと分けないこと

もうすぐ親元を離れる息子 陽(はる)に、親としてできることは、あまりない。
だけど、愛して育てた記録は私にしか書けないはず。
そう思い、時々書いている子育て回顧録。時系列バラバラですが、今回はその3本目。

いつか、陽がおじさんになったら、私がこの世からいなくなったら、読んで欲しい。

特別支援教育とインクルーシブ。分けることと分けないこと、どちらがいいのか。
陽を育てるなかで何度も考え、悩んだこ

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許せる人、許せない人

許せる人、許せない人

許せる人、許せない人の違いはなんだろう。

許せないのは、とても辛い。
怒りに心を奪われているから。
自分を更に怒らせる妄想を増産していくから。
自分を守ろうとしている一方、自分を大事にする余裕を失っている状態に思える。

「許せない」から「許せる」になるのは、障害の受容に似ている。
乗り越えるには、大きな壁がある。
乗り越えられない、受け入れられないと思っていても、乗り越えるとスッキリと前向きに

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帰り道

帰り道

夕焼けがきれいで、心も身体も疲れた帰り道は、横にあなたがいないのが苦しい。

どこからボタンの掛け違えは始まっていたんだ。
何を見逃してしまったんだろう。

ただ、隣にいたかった。
「空がきれいだね」
「もうすぐ満月だよ」
手をつないで話せれば、幸せだった。

仕事を終えて、「ただいま」「おかえり」って言ってみたかった。

疲れていたら、背中をさすってあげたかった。
2人でソファーに横になり、一緒

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メロスの恋人

メロスの恋人

太宰治の『走れメロス』でメロスの代わりに人質となり、命を奪われるかもという不安の中で彼を待ち続けた友はセリヌンティウスという人。

セリヌンティウスは、友情と自らの心の強さで、不安や猜疑に打ち勝った。

それほどではなく、可愛らしいものだが、私にもセリヌンティウスのような体験が一度ある。
17歳の頃、待ち合わせしていた喫茶店に友達が来なかった。10分とか30分じゃない。今みたいにケータイがない時代

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子育て回顧録 その2 父母の受容

子育て回顧録 その2 父母の受容

陽(はる)の発達に何かがあると感じたのは、1歳半から2歳頃だっただろうか。

私は保健師だったし、療育の担当もしていたから、自分に子どもができたとき、障害のある子が生まれることも想定はしていたつもりだった。
障害のある子が生まれたら、きっとエネルギーが湧いてきて、可愛がって必死に子育てするだろうと。

陽は、首の座りもハイハイも歩行も定型通りに発達をとげた。よく笑い、目が合い、絵本を好んだ。ニッサ

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組織の良心

組織の良心

春は人事異動の季節だ。

今まで気持ちよく助け合ってきた同僚や慕っていた上司、優しくしてくれた先輩がいなくなるのは、想定していたこととはいえ寂しい。

組織の良心を欠くことが、寂しくて少し不安だ。

若い頃は、仕事ができる人ばかりで組織が成り立つといいのに、なんて不遜なことを考えていた。しかし、組織は仕事ができる人ばかりでは、うまく回らない。思いやりのある人、優しい人がいるから、立場の弱い人が守ら

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子育て回顧録1 生まれる前のこと

子育て回顧録1 生まれる前のこと

息子の陽(はる:仮名)は、もうすぐ高校を卒業する。
最近は、私よりいいやつだったり、努力家だったりして、勝手にすくすくと育っている。
修学旅行から帰って来たら「楽しかった。一緒に過ごしてくれた友達にも感謝する。お金出してくれてありがとう。」なんて言う。

こんな親なのに、こちらこそありがとう。

陽を育てるのは、大変でとても楽しかった。
もう少し手がかかるけど、彼を育てた記憶が古くならないうちに、

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往復書簡

往復書簡

美希へ

こちらは菜の花の時期が終わり、もうすぐ桜がほころびそうです。
菜の花なんて、花屋かスーパーでしかみたことないよね。
北海道は福寿草やムスカリが咲いて、その後、コブシ、水仙、蝦夷ヤマザクラの順だったかな。
寒さで空気が澄んでいて、朝日を浴びた日高山脈が通勤する美希の背中を押しているだろうと思っています。

こちらに来ると、山を見ることがあんまりなくて、さみしいです。
山頂に雪があって、峰を

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ナーバスな横顔に関する考察

ナーバスな横顔に関する考察

大事な何かに臨む人の佇まいが好きだ。

張り詰めているけど、それを外には出さないようにしている。
ここにはいるけど、頭や心はここと違うところにある。
ナーバスなその様子が好きだ。

家庭訪問に向かうベテラン理学療法士
試合に臨む野球部員
フルコンタクトの試合前の選手
入学試験前の子ども
ライブステージに行くアーティスト
ペナルティボックスの中のアイスホッケープレイヤー
私と初めてデートする人

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目標の呪縛

目標の呪縛

以前住んでいたまちで教育委員をしていたことがある。

教育委員は、教育委員会の構成員。首長から独立した教育行政を指揮監督する。レイマンコントロール(住民による意思決定)の役割を担う。任用は、地方議会の場で決まる。

と、文科省の文書を引用すると、どうも難しくなる。要は、まちの学校運営と教育行政をよく確認し、住民として意見を述べる係である。

委員の属性は様々だが、私は、まちの南部の小学校(特別支援

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琥珀

琥珀

琥珀のネックレスが君の胸元で光る。細いゴールドのチェーンは長くて、胸骨中央辺りに細長い琥珀が揺れている。
アイボリーのブラウスとベージュのカーディガン、琥珀のネックレスは、君によく似合う。

前に僕のカーディガンを褒めてくれたことがあった。
「白いカーディガンが似合う人はなかなかいないのよ。ノーブルな雰囲気がないと似合わないから。」って。けど、ノーブルなのは君だよ。こんな時でも綺麗だなって思ってる

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日曜日のふたり

日曜日のふたり

 俊は悠の近くを通りながらパソコンをのぞきこみ「俺ならもっと性の素晴らしさを伝えたいね」と言った。

 明日は、悠が養護教諭になってから初めての性教育の授業だ。高校ではクラミジア感染症が少しずつ蔓延しているようだった。だから、性感染症の症状や予防法に多くの時間を割いてプレゼン資料を作った。
 教頭や生活指導の山形先生は、若い悠が高校生に初めて性教育することで、生徒を逆に刺激する、授業が成立せず悠が

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月を見る人

月を見る人

桜庭一樹さんは著書で
「私の身の回りでも空を見る人、旅をする人は、人の死というものに一度深く触れた経験をしていることが多いようだ」と言った。

老人ホームに10年ほど勤務していたため、家族の別れを見ることが多かった。

Aさんは、入居の際に妻子と別れた。
そして、入居後長年介護してくれていた妻を病気で亡くした。
夫婦を対面させてやりたいと息子と弟が相談してくれた。
車椅子でなければ自宅に戻れないA

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ガソリンスタンドにて

ガソリンスタンドにて

 いつも行くガソリンスタンドは、通っているヨガスタジオから近く、洗車機もあるから便利だ。そこの裏には、ラブホテルがある。ラブホテルの駐車場は、ガソリンスタンド側にあって、屋根も囲いもない。だから、勝手にハラハラする。もうちょっと見えない配置に設計できなかったのだろうか。ラブホテルより後にガソリンスタンドができて、こんなことになったのかもしれない。

 今日、ガソリンスタンドに行くと、その駐車場で2

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