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エッセイ

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ジェンダーバイアス〜親として子供たちに出来ること〜

ジェンダーバイアス〜親として子供たちに出来ること〜

男の子だから、女の子だから。

この言葉の象徴にランドセルが思い浮かぶ私。
約30年前は男の子は黒で女の子は赤が当たり前だったが令和の時代に娘が選んだそれはキャメルという色だった。茶色ではなく少し白が混じってまろやかな雰囲気のオシャレなカラーである。

へえ、キャメルね…

やっぱり定番の赤かなと思っていた私はひと昔まえとは違うからねと口では言いつつ頭はついていかない部分があった。

このように子

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おいしいって素晴らしい

おいしいって素晴らしい

戻った、味がする、よかったー。

しょっぱい、あまい、にがい、すっぱい。

7日間、予期せぬ味覚の消失にへこみまくった私。家族と夕飯なに食べる?と話してても、あれが食べたいなと考えてても心底虚しかった。

美味しいって感じられること、それを共有できることは生きるうえで本当に大事なことだ。

そして何より素晴らしいと食いしん坊な私は実感したのだった。

お出かけにちょうどいい気候になった10月下旬の

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適当がちょうどいい、子育て

適当がちょうどいい、子育て

適当っていうのは適度にほどよくやるってことなんだよ

もう何年も前に言われたことを子育てを始めてからよく思い出している。ついあれもこれもと全てを完璧にやろうとしてしまう私にとってハッとする言葉だ。

煮詰まりそうになったら、そうだ適当にやればいいんだと思い出すようにして。

テキトー。テキトー。

そう繰り返し自分に言い聞かせて。

子育ては効率よくいかないことばかりだから、まあいいかで済ませるこ

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母の卵焼き

母の卵焼き

母の作る卵焼きは下手だった。

形は悪く味は何も付けていないし、よく混ぜられていない上に火加減も壊滅的だから謎の焼きムラが出来ていて。よくこんなにも下手に焼けるもんだと感心すらしていた。

料理が下手で惣菜も多くよく言う母の味とは無縁だと思って生きてきた。

でも最近、母が作っていたものに似た卵焼きが私の弁当に入っている。図らずも1番楽しみにしているおかずだったりするのだ。

秋の始まりに職場の休

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夏と嫉妬

夏と嫉妬

若さとはなんと素晴らしく尊いものだろう。

日々の生活で忘れかけていたものや諦めかけていたもの全てを思い出させてくれたと言っても過言ではない。

女性である自分を楽しむこと。

見た目のことだけでなく自由に生き生きと人生を謳歌すること。

そんな思いが姪との再会でブワッと湧き上がった。

いい歳した大人が12歳の小学6年生に嫉妬したのだ。

キラキラ輝く彼女に羨望の眼差しを向けた私はそれを顔に出さ

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古い温度計

古い温度計

船舶用の浮き輪をかたどった形に陽にあせたブラウン。数字に温度の目盛り、サーモメーターという文字だけのシンプルなデザイン。

小さい頃から目にしてきたこの古い温度計が今、私の自宅にあること。

この夏イチ、感傷的になった出来事だ。
若者の間でこういうのをエモいって言うのであれば正にドンピシャな気分。

ちょっと涙が出そうなくらいにエモい送り盆の昼下がり。

針はちょうど28度をさしていた。

温度計

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子離れへ、一歩

子離れへ、一歩

先日、息子が初めてお友達のお家へ1人で遊びに行った。

話の流れでよかったら息子くんだけ遊びに来てねと言われて本人も行きたいとのことだったのでお邪魔することになったのだ。

2年生の春休み。

息子にとっても母親である私にとっても今までと違う一歩を踏み出す日になった気がする。

それは子離れへの1歩だと感じた。

幼児期の息子はとても大人しくてどこへ行っても私にベッタリな子だった。

心配になって

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ダメと言われて育った小さな私と向き合って

ダメと言われて育った小さな私と向き合って

ダメと言われたことはなぜこんなにも記憶に残るのだろう。

それはダメ
間違えてはダメ
ダメなものはダメ

頭の中の普段は見えないところにこびりついていて時折思い出してしまう。すると今言われたかのように情景がよみがえって虚無感に支配され焦燥感に煽られる。

ダメな私…
いつからかそう思うようになってしまった。

でも、小さな私と向き合い癒してあげたことでダメなわけがない、自分は自分だからそのままでい

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22.5センチの上履き

22.5センチの上履き

上履きを洗い初めて6年目。

最近、小3息子の22.5㎝の上履きが大きく重く感じる。

私の住む地域では保育園は毎週、学校もほぼ毎週の持ち帰りで入園以来の習慣だ。

子供の成長を両手に感じながら平凡な母親である私は、ゴシゴシと、あるいはしみじみと上履きを洗う。

なぜならその単純な作業と共に様々な出来事があったからだった。

17㎝の新品の上履きと共に保育園へ入園。

まだ立って履けずお尻を着いて

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胸いっぱいのバルーンサイクル

胸いっぱいのバルーンサイクル

原色の青や赤と黄色のしま模様。

とても懐かしいカラーリングの風船の形をした乗り物から子供たちだけで楽しむ姿が見える。

目の当たりにした成長と何とも言えないその素朴なビジュアルが相まって胸がいっぱいになった。

新しいものは魅力的だけれど今あるものを時代を超えて受けついでいく大切さ。

穏やかで温かい幸せ。

そして育ててくれた両親と義両親へ湧き上がる感謝の思い。

青空の元に浮かんだ年季の入っ

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いちご畑へのお誘い

いちご畑へのお誘い

太陽を浴びて赤く色づいた実を探していたら自然と前向きになっていく私がいた。

さっきまで何にモヤモヤとしていたんだったけ。

人なんてそれぞれだから100%理解し合うなんて不可能なんだ。

だから、もう、いっか。

合わない人との距離感に疲れていた私はいちご畑に来てよかったと心から思う。

本当に豊かな生活とは便利になるだけじゃなくて自然と共にあること。

触れていると癒されるのは私たち自身がもと

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マスクの下の笑顔

マスクの下の笑顔

あの人あんなに柔らかく笑うんだ

目元に皺が寄ってニッコリ、別人みたい。

たまたまマスクを外していた時の出来事だった。

職場で普段はあまり話さない人。このとき初めて笑顔を見て印象が180度変わった。

フワッと温かい空気が通ったようなそんな笑顔。

みんなのマスクの下の笑顔を見てみたいな

そんなふうに思うようになった私。

またマスクがコミュニケーションを隔てている部分があると感じたのだった

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夏の思い出

夏の思い出

茄子とピーマンの肉味噌炒めを夕飯に作った。

子供たちは茄子があまり好きではなくて反応はイマイチ。特に娘はひと目観ただけでうわ、という表情になったがそれでもふたつみっつ肉と一緒に食べてくれた。

かく言う私も子供時代はこのメニューが実家で出されるたびにまたかと心の中でよく毒づいたものだ。

しょっぱいのに少し甘い味付けも茄子とピーマンの匂いも野菜の味がうつった肉も何もかもが好きじゃなかった。
それ

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