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小さな県から見た世界

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日本で最も人口の少ない鳥取県に住みながら気づいた地方の暮らしや思い。日々つれづれに綴っています。
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文化を土台にした龍野のマチづくり

文化を土台にした龍野のマチづくり

兵庫県たつの市。「うすくち醤油」発祥の地として栄えた城下町には、今も昔ながらの建物が数多く残り、老舗の醤油屋さんが今でも現役で頑張られている。

こうした建物を丁寧に残し、今の時代に合った形に再生し、活かしている人達がいる。

緑葉社を運営する畑本さんはその代表者で、先日お話を伺ってきた。

人口7万人くらいの市だが、龍野の城下町は10年くらい前から空き家が目立つようになり、古くから残る建物も取り

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相互理解の装置としてのゲストハウス

相互理解の装置としてのゲストハウス

先日、日本財団まちなか拠点米子にて、鳥取県智頭町で楽之というゲストハウスを立ち上げられた竹内麻紀さんをゲストに招いた勉強会を開催した。

智頭町では、平成の大合併が行われた際に、合併に賛成する人と反対する人との間で意見が割れてしまった。それが地域住民間の分断を生み、今でもその禍根が残っているのだという。

智頭町は最終的に合併の道を選ばず、独立した道を歩むことになるのだけれど、私は個人的にその選択

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結局最後に決めるのは自分自身だ

結局最後に決めるのは自分自身だ

昨日は、鳥取のある高校で、キャリアトークイベントという企画をさせて頂いた。高校を卒業すると、大学進学や就職の関係で県外に出てしまう若者が多いというのは、どこの地方でも見られる現象だと思う。鳥取県でも長年この傾向が続いており、若年層の人口減少に歯止めがかかっていない。

自分の見識や能力を高め、広げていくために、一度は外の世界を見た方がいいと私自身思う。そして必ずしも東京へ行くことがゴールでもなく、

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やっぱり残したいお祭り

やっぱり残したいお祭り

昨夜は友人の誘いで、ある集落の祭りに参加させてもらった。

あくまでも地域の人達だけが集うお祭り。

こじんまりとした会だったが、屋台あり、一芸ありの、ほのぼのとした雰囲気だった。

コロナ禍で祭りが中止になっているところも多いと聞くけれど、やっぱりお祭りは残していきたい。残って欲しい。

若い人が少なくなり、これからこうしたお祭りを続けていくことも難しくなるのかもしれないが、せめて自分達の子供に

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公共を遊ぶ

公共を遊ぶ

次期学習指導要領にて、2022年度から高校のカリキュラムの中に「公共」という科目が必須化されることが検討されているそうだ。

「現代社会との諸課題の解決に向けて、自立するとともに他者と協働して、公共的な空間を作る主体として選択・判断の基準を身に付け、考察する」

ということが狙いとして謳われているのだけれど、果たしてこれはどういう意味なのだろうか。

最近閉鎖されたある公共施設の跡地活用の検討に関

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空き家リノベの5ステップ

空き家リノベの5ステップ

昨日は、鳥取市内で空き店舗をリノベーションを手掛けられた方のお話を聞いた。ゲストは”まるにわ”という団体代表の齋藤さん、設計士の谷口さんのお二人。

”まるにわ”では、つい最近マーチングビルという形で市内にあった旧松木ビルをリノベーションされていて、今回は、そのリノベーションに至るまでのストーリーを伺った。私なりにその話を整理してみたい。

1.ゆるい関わりを持つ今回対象となった物件は5階建てで、

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物語のある雑貨屋さん

物語のある雑貨屋さん

鳥取県境港市に「一月と六月」という本・雑貨・ギャラリーとカフェも備えたお店がある。

昨日は境港にあるJAZZ喫茶の記事を書いたので、今日はその続きでこのお店のことをご紹介したい。

「一月と六月」は、ご夫婦でやられていて、それぞれの誕生日にちなんでお店の名前となっているそう。旦那さんの方が主に本のセレクトを、奥さんの方が雑貨、ギャラリー、カフェを担当されているようで、うまく役割分担がされている。

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「ゆたかさのしてん」を読んで得た、“暮らしのなかで働く”視点

「ゆたかさのしてん」を読んで得た、“暮らしのなかで働く”視点

鳥取は、なにもない?日本一人口が少ない都道府県、鳥取。

転勤してから、数えきれないほどの人に「鳥取はなにもないから、つまらないでしょ?」と言われた。その頃はまだ何も知らなくて、曖昧な返事しかできなかった気がする。

かけられた言葉は謙遜なのか、はたまた本気なのか。

どちらにしろ、なんだか悲しかった。

“鳥取はなにもない”と思っているのも、
“なにもないからつまらない”と思っているのも、
本気

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海沿いに佇む写真館

海沿いに佇む写真館

し鳥取に塩谷定行という写真家がいた。

写真愛好家の間では有名な方らしいが、一般の人にはまだ馴染みが薄いかもしれない。

いわゆる芸術写真の先駆け的な存在で、その後の植田正治さんらの系譜に繋がっていく。

思えば鳥取県は、これまでに優れた写真家をたくさん生んできたのだと思うが、やはりその風土や自然環境が影響しているのだろうか。

鳥取に引っ越してきて感じたのは、光の当たり方が独特だなぁということ。

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民芸の器で食事する豊かな時間

民芸の器で食事する豊かな時間

正直、”民芸”というものについてあまりよく知らなかった。

柳宗悦らが始めた運動であるらしい、という曖昧な記憶しかなかったのだけれど、5年前に鳥取に移住してきてから、鳥取県が実は民芸と深い関わりを持つ土地であるということを知った。

柳らと同じ時代に活躍した鳥取県の民芸家の一人が、吉田璋也だ。

その吉田が生み出した有名な器の一つが、この”染分皿”と呼ばれる特徴的な器だ。

以前からこの器で食べた

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国内観光を外国人目線で見直してみる

国内観光を外国人目線で見直してみる

先日、鳥取県東京本部の方と打合せをした際に、インバウンド事業の一環で作成されたという冊子を頂いた。

TOTTORI The Land, The Lives, The Stories

私が頂いたのは紙ベースのものだが、上記の通りウェブでも閲覧が可能だ。

外国人目線で鳥取県を切り取った時に、どういった所に視点がいくのか、とても興味深く勉強になった。

まず意外性のある表紙から。

鳥取といえば

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オススメしたい紅茶

オススメしたい紅茶

これまでそんなに紅茶好きではなかったのだけれど、ここ数年コーヒーがあまり飲めなくなり(飲むとお腹を壊したりしてしまいます。。。)、最近は紅茶にはまっています。

といっても、それほどこだわりがあったわけではなくて、市販のアールグレイなどをよく飲んでいた。

ある時、妻が「”とっとり紅茶”なるものがあるらしいので、買いたい。」と言うので、買って飲んでみた。

これが、おいしい。。。

ちょっと甘みが

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今ここに在ることを感じられる時

今ここに在ることを感じられる時

昨日、今年もこれで最後になるだろうということで、家族で鳥取県内にある鹿野町、鹿野公園まで花見に出かけてきた。

コロナの影響もあって、出店などもなく、それがためにむしろ静かな花見を楽しむことができた。

これまでは、春の桜を見ると、心がワクワクと気持ちが高ぶっていくことが多かったのだけれど、昨日の花見はとても静かで落ち着いた気持ち。

そして、心はこの瞬間を捉えたいという思いに集中していた。

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袋川の桜に癒される朝の時間

袋川の桜に癒される朝の時間

家の近所に袋川という川があり、そこの土手沿いに桜が植えられている。

以前に鳥取に赴任されていた医師が、この土地にお世話になった御礼にということで、数千本の桜を寄贈されたそうだ。

今あるこうした桜並木も、そうした先人の思いの上に見ることができるのだなぁと思うと感慨深い。

私は毎朝この土手沿いをジョギングしている。

距離にすると大体2キロくらいになるかと思うが、ちょうどよい距離感で、桜を見なが

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