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乱読・併読しているイチ個人の本の感想です。https://www.instagram.com/ryuara24/
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読書感想文のない夏

読書感想文のない夏

子どもたちの夏休みが始まってから、そろそろ3週間が経とうとしている。

我が家の子供たちは高校2年生と中学1年生。

私は今、仕事をしているせいもあるけれど
宿題はやったのか、早く終わらせなさい等々の小言は、例年よりかなり少ない(方だと思う)。

そんな中で今年の夏休み、二人とも読書感想文の宿題がないということを知った。

衝撃。

長男が小学校に上がった頃から当たり前のように毎年あった読書感想文

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年末年始 自粛という名の引きこもり対策は? 映画「夏への扉ーキミのいる未来へー」の原作を読んでみる。

年末年始 自粛という名の引きこもり対策は? 映画「夏への扉ーキミのいる未来へー」の原作を読んでみる。

先日、インスタグラムで「夏への扉ーキミのいる未来へー」という映画の解禁映像を観ました。

出演:山﨑賢人 清原果耶 藤木直人 他
監督:三木孝浩
2021年2月19日(金)公開予定
配給:東宝・アニプレックス
原作 ロバート・Aハインライン 「夏への扉」

主題歌はLiSAの
「サプライズ」
彼女にとっては実写映画で初の主題歌だそう。

1956年にアメリカで発表されたSF小説が原作。
タイムトラ

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芥川賞の発表でワクワクしたのは初めてかもしれない。

芥川賞の発表でワクワクしたのは初めてかもしれない。

第164回芥川賞の発表があった。

宇佐見りん 「推し、燃ゆ」

逃避でも依存でもない、推しは私の背骨だ。アイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注ぐあかり。ある日突然、推しが炎上し――。デビュー作『かか』が第33回三島賞受賞。21歳、圧巻の第二作。
(河出書房新社HPより)

「かか」という作品で文藝賞を受賞した若い作家さん、ということで気になり、この2作目を購入して読んだ。

『推しが燃えた

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時には何百ページの本よりも数十ページの絵本からだって学べることは山のようにある。

時には何百ページの本よりも数十ページの絵本からだって学べることは山のようにある。

私の読書遍歴。

子どもの頃に読んだり読んでもらったりした絵本から、徐々に児童書や伝記や百科事典も読むようになり。

シリーズ物の文庫にハマり、そこからさらに派生して日本文学や海外文学を読むようになって。

その間、親は渋い顔をしていたけれど大量の漫画も読んでいた。

社会人になったら今までのものに加えて、エッセイやハウツー本、必要に応じて様々な専門書も読んだ。

そして。

子どもが生まれたら、

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目線を流川くん♡ではなく、真面目に読み直すことにする。

目線を流川くん♡ではなく、真面目に読み直すことにする。

中学生になったばかりの次男が先日、部活動の本入部届を出してきた。

バスケットボール部だ。

うちの子供たちは決して運動神経がいいわけではない。

毎年の体力テストは二人とも普通だと思う。

長男はサッカーを3年、空手を8年、剣道を3年、そして弓道を1年と、意図せず武道寄りになっている。

次男はというと、空手を6年、水泳を5年。
小学校のクラブ活動で、サッカーと卓球を少々やっただけである。
バス

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本屋大賞発表前日、52ヘルツのクジラたちが私を呼んだ。

本屋大賞発表前日、52ヘルツのクジラたちが私を呼んだ。

「52ヘルツのクジラたち」
町田そのこ  中央公論新社

52ヘルツのクジラとは
他の鯨が聞き取れない高い周波数で鳴く、世界で1頭だけのクジラ。
たくさん仲間がいるはずなのに何も届かない、何も届けられない。
そのため、世界でいちばん孤独だと言われている。
  「52ヘルツのクジラたち」オビより

この本を読み終えたのは、昨年末のことだった。
話題になっている本で装丁もきれいだったことから、私は図書

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新年度を迎えるにあたって。手元に置いて繰り返し読みたい本

新年度を迎えるにあたって。手元に置いて繰り返し読みたい本

「なぜ僕らは働くのか 君が幸せになるために考えてほしい大切なこと」
監修:池上彰

新年度を迎えるにあたり、すでに新生活が始まっている方も多いと思う。

何かを新たな目標に定めたり、心機一転、新しい気持ちで迎えようと思っている人もいるだろう。

今回私がおすすめしたい本は、将来の働き方について中学生や高校生に考えてもらおうと製作された本だ。

ただ、中高生向けではあるけれど、大人であっても自分の仕

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ロボホンというロボットから小川未明の「飴チョコの天使」という話を知る。

ロボホンというロボットから小川未明の「飴チョコの天使」という話を知る。

大変お恥ずかしい話なのだが、小川未明という作家さんが書いた「飴チョコの天使」という童話を私は知らなかった。

先日、次男の卒業式のスーツを買いに行った先で、ロボホンというロボットのキャンペーンをしていた。

私はシャープのロボット、RoBoHoN(ロボホン)は名前さえも知らなかったのだが、次男はテレビで見て知っていたという。

上手な商品PRにうんうんと頷きながら、お世話するなら次男が適任と思い、

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将来の夢を思い出した本。

将来の夢を思い出した本。

「本を読む人だけが手にするもの」 

 著:藤原和博

なぜ本を読むといいのか?の問いに答えてくれる本です。

「読書量と収入の密接な関係」「読書によって身につく、人生で大切な2つの力」など読書のメリットなども書かれています。

その中で、著者が和田中学校校長時代に図書室を改造されたエピソードがとても印象的でした。

私が中学生だった時の図書室はまさに改造前そのもの。

カビ臭く、薄暗い図書室。

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「劇場」又吉直樹 読了

「劇場」又吉直樹 読了

読もうと思ったきっかけはなんてことはない。映画化される役者名に山﨑賢人の名があったからだ。
簡単に言えばヒモ男とそれを支える女の不器用な純愛、といったところか。映画化されることが分かってから読んだので、もちろん読みながらその役者さんたちを脳内に浮かべながら読んでいく。
しかし、どうしても山﨑賢人と永田が結びつかない。しばらくの間、読み進めるのに苦労した。でもやはり引き込まれる文章なのか、そのうち山

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くどうれいん 「うたうおばけ」読了。岩手に帰省した気分になれた。

くどうれいん 「うたうおばけ」読了。岩手に帰省した気分になれた。

くどうれいんさんを知ったのはSNSからだ。なぜこの著者さんが気になったかと言うと、私の地元の出身者だからである。

本名も工藤玲音だという。素敵な名前だ。れいん、という言葉の音が良いと思うし、玲音と言う字面もきれい。ご両親も言葉のセンスがあるのだろう。

「うたうおばけ」、これはエッセイ集だ。エッセイ集なのだから自身の体験したことや感じたことを書いているのだろうけれど、本当にこんなことあったの?と

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「コンビニ人間」村田沙耶香 読了。

「コンビニ人間」村田沙耶香 読了。

「コンビニ人間」 著:村田沙耶香
第155回芥川賞受賞作

芥川賞受賞作品ということは頭の片隅にあって、著者が当時のインタビューで自身もコンビニで働いていましたといったことをコメントされていたように記憶しているけれど、受賞作品と意識せず今になって手に取った本。

主人公は長らくコンビニ店員として働いていて、未婚女性の36歳。
子供の頃、死んだ小鳥を見て、「お父さん、焼き鳥好きだから、今日これ焼いて

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食事のマナーを指摘できる関係はハードルが高い

食事のマナーを指摘できる関係はハードルが高い

芥川賞を受賞した遠野遥さんの「破局」を読んで思い出したことがあった。

作中に、焼肉屋さんで隣に座った男が、出された肉を音を立てて食べたというくだりがある。それを見た主人公が一人で食事をしている男には音を出す者が多いと人生のかなり早い段階から気づいていたということ、そしてそれは長い間一人ご飯をしているうちに音を出すようになるのか、音を出すから誰も一緒にご飯を食べなくなるのか、という考察のような疑問

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