バルテマイ

どの宗派にも教会にも属さない「無宗教主義キリスト者」です。長年に渡り、原典聖書を研究し…

バルテマイ

どの宗派にも教会にも属さない「無宗教主義キリスト者」です。長年に渡り、原典聖書を研究し、正文批評(写本の比較)も行ってきた経験から、聖書の本質的なメッセージを投稿していく予定です。また、話題は聖書に限らず、様々な分野(哲学・心理学・歴史・政治・経済・芸術など)にも及ぶ予定です。

記事一覧

一億総老人社会

20世紀の三大発明  ある歴史家は,20世紀を革命の世紀と呼びました。なぜなら,人間の世界観を変革する3つの発見があったからです。  第一に,量子力学の誕生です。プラ…

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10日前
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物価高から生活を守る方法

今後も続く値上げラッシュ  最近,物価高が止まりません。それもそのはずです。なぜなら,円の価値が急速に低下しているからです。いわゆるドル高円安です。例えば,3年…

バルテマイ
2週間前
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多様性重視の結末

多様性重視の利点  人類は今まで,男性中心の社会でした。「女性は,男性を補佐し家庭に収まるべきであって,社会進出すべきではない」と考えられていたのです。しかし,…

バルテマイ
3週間前
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イエスの無宗教主義

「弟子たちは,アンティオケアで初めて,クリスチャンと称するようになった」(使徒行伝11-26) キリスト教の誕生  クリスチャンの原語は,ギリシャ語であるΧριστ…

バルテマイ
1か月前
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キリスト教の歴史~ローマ書解釈を中心に~

福音 ローマ書とは何か?  新約聖書には27の文書があります。その中で,最も体系的に福音を解説した文書が,使徒パウロの主要書簡であるローマ書です。宗教改革者ジャ…

バルテマイ
1か月前
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信仰と倫理

「それ故,善い実を結ばない木は,切り取られて火に投げ入れられる」(ルカ伝3-9) 写本の比較  太字の文字には,三つの読みがあります。第一に,本文として採用されて…

バルテマイ
1か月前
6

経済学の陥穽

経済学の歴史 経済学の誕生  経済学は,アダム・スミスから始まりました。アダム・スミスは,ニュートンが自然界を合理的に解明したように,社会を科学的に分析しよう…

バルテマイ
1か月前
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宗教を超越した神

唯一神教の誕生 古代ギリシャの宗教改革  現代の唯一神信仰は,ユダヤの宗教とギリシャの哲学によって形成されました。ユダヤ民族は信仰の方面から,ギリシャ民族は知…

バルテマイ
1か月前
14

人格的成長とその目安

抑圧した自己 心の構造  人間の心の中には,意識と無意識があります。意識とは,感覚・思考・感情・直感を司る領域であり,一般的に自我(エゴ)と呼ばれています。無意…

バルテマイ
2か月前
6

贖罪の信仰

「すべての人は,罪を犯したので,神からの栄誉を受けることができず,ただ神の恵みにより,キリスト・イエスの贖いのゆえに,価なしに義とされるのです」(ローマ書3-23・…

バルテマイ
2か月前
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宗教団体による「騙しのテクニック」

聖書と教会  聖書が成立して,その後に教会が誕生したのではありません。教会が誕生して,教会の手によって聖書が成立したのです。前者の視点に立つ時,私たちは聖書を盲…

バルテマイ
2か月前
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プロテスタンティズムの倫理と効率的市場仮説

プロテスタンティズムの倫理  カルヴァン神学の特徴は,「神の絶対性」を徹底したことです。すべては神の御業であり,すべては神の御心です。人生の幸不幸を決めるのは神…

バルテマイ
2か月前
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大衆社会の病理~松本人志氏の性加害問題について~

はじめに  お笑い芸人・松本人志氏の強制性交事件が話題になっております。そして,様々な意見がSNS上で飛び交っています。肯定派は言います,「女性の権利を踏みにじっ…

バルテマイ
3か月前
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13番目の使徒

使徒とは何か?  聖書における使徒とは,イエス・キリストの弟子です。別の言い方をすれば,キリストに遣わされて福音を説く者です。しかし,聖書の文書によって,中心と…

バルテマイ
3か月前
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自由と必然

二つの人生観  人生は運命なのでしょうか?それとも,人間の意志次第なのでしょうか? 運命論者は言います,「すべての出来事は予め決まっている」と。あるいは,「歴史…

バルテマイ
3か月前
5

トルストイのメッセージ

ロシア文学  ロシア文学の特徴は,驚愕すべき壮大な発想力にあります。もしかしたら,どこまでも広がる遠大な大地が,ロシア人の性格をそうさせたのかもしれません。プー…

バルテマイ
3か月前
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一億総老人社会

一億総老人社会


20世紀の三大発明
 ある歴史家は,20世紀を革命の世紀と呼びました。なぜなら,人間の世界観を変革する3つの発見があったからです。
 第一に,量子力学の誕生です。プランクの論文(1900年)により切り拓かれた量子力学は,ハイゼンベルク,シュレーディンガーらを経て,ミクロ世界の物理法則を解明しました。
 第二に,精神分析の誕生です。1900年に発刊されたフロイトの「夢判断」により,全く未知なる無意

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物価高から生活を守る方法

物価高から生活を守る方法


今後も続く値上げラッシュ
 最近,物価高が止まりません。それもそのはずです。なぜなら,円の価値が急速に低下しているからです。いわゆるドル高円安です。例えば,3年前の為替レートは1ドル=115円でした。しかし今や,155円に達しようとしています。具体的に申し上げれば,3年前5000円だった品物が約6700円に値上がったのです。しかも給料が上がらないので,家計は急速に苦しくなりました。
 残念ながら

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多様性重視の結末

多様性重視の結末


多様性重視の利点
 人類は今まで,男性中心の社会でした。「女性は,男性を補佐し家庭に収まるべきであって,社会進出すべきではない」と考えられていたのです。しかし,こうした考えは人類にとって大きな損失です。なぜなら,女性の力を軽視することにより,人類の半数の能力を活用していないからです。
 女性には,女性特有の力があります。調和・妥協・器用さ,これらは男性にない能力です。こうした女性特有の力により,

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イエスの無宗教主義

イエスの無宗教主義

「弟子たちは,アンティオケアで初めて,クリスチャンと称するようになった」(使徒行伝11-26)


キリスト教の誕生
 クリスチャンの原語は,ギリシャ語であるΧριστος(キリスト)とラテン語であるianus(従う者)の合成語です。重要なのは,この言葉の意味ではありません。「弟子たちが他宗教と自分たちを区別し,独自の宗教としての自覚をもった」という事実です。
イエス・キリストは,他宗教と自分た

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キリスト教の歴史~ローマ書解釈を中心に~

キリスト教の歴史~ローマ書解釈を中心に~


福音

ローマ書とは何か?

 新約聖書には27の文書があります。その中で,最も体系的に福音を解説した文書が,使徒パウロの主要書簡であるローマ書です。宗教改革者ジャン・カルヴァンが述べたように,ローマ書は聖書の中心と言えるでしょう。
 ローマ書は,その絶大の感化力により,多くの人々に影響を与えてきました。アウグスティヌスはローマ書を読んで回心し,異民族の侵入により大混乱する古代末期に福音を弁護。

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信仰と倫理

信仰と倫理

「それ故,善い実を結ばない木は,切り取られて火に投げ入れられる」(ルカ伝3-9)


写本の比較
 太字の文字には,三つの読みがあります。第一に,本文として採用されている「善い実(単数)」です。ほとんどの写本は,この読みを支持しています。第二に,「実」です。この読みを支持しているのは,3世紀のパピルスやラテン語訳,及び,古代の教父オリゲネスです。第三に,「善い実(複数)」です。この読みを支持して

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経済学の陥穽

経済学の陥穽


経済学の歴史

経済学の誕生

 経済学は,アダム・スミスから始まりました。アダム・スミスは,ニュートンが自然界を合理的に解明したように,社会を科学的に分析しようとしたのです。名著「国富論」にて表明されたアダム・スミスの経済理論は,三人の経済学者に受け継がれました。リカードとマルサスとマルクスです。リカードは資本家の立場から,マルサスは地主の立場から,マルクスは労働者の立場から,経済学を発展させ

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宗教を超越した神

宗教を超越した神


唯一神教の誕生

古代ギリシャの宗教改革

 現代の唯一神信仰は,ユダヤの宗教とギリシャの哲学によって形成されました。ユダヤ民族は信仰の方面から,ギリシャ民族は知識的方面から,唯一神教の誕生に貢献したのです。ここで皆さんは疑問に思われるはずです。「ギリシャ人は多神教の民であって,唯一神教に関係ないのではないか!?」と。いいえ,決してそうではありません。オリンポス十二神の多神教は,エレア学派の哲学

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人格的成長とその目安

人格的成長とその目安


抑圧した自己

心の構造

 人間の心の中には,意識と無意識があります。意識とは,感覚・思考・感情・直感を司る領域であり,一般的に自我(エゴ)と呼ばれています。無意識とは,意識されない心の領域であり,良心(超自我)が許せない欲求を押し込めた世界です。この抑圧された欲望を,心理学では影(シャドー)と呼びます。
 フロイトの著作では,性犯罪者である牧師の話が登場します。この牧師は,善良かつ真面目な人

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贖罪の信仰

贖罪の信仰

「すべての人は,罪を犯したので,神からの栄誉を受けることができず,ただ神の恵みにより,キリスト・イエスの贖いのゆえに,価なしに義とされるのです」(ローマ書3-23・24)


聖書の中心
 新約聖書の中心的真理とは,一体何なのでしょうか?最後の審判でしょうか?いいえ,最後の審判はユダヤ教にもあります。隣人愛でしょうか?いいえ,愛(慈悲)の推奨は仏教にもあります。人間の聖化でしょうか?いいえ,禁欲

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宗教団体による「騙しのテクニック」

宗教団体による「騙しのテクニック」


聖書と教会
 聖書が成立して,その後に教会が誕生したのではありません。教会が誕生して,教会の手によって聖書が成立したのです。前者の視点に立つ時,私たちは聖書を盲目的に信頼してしまいます。しかし,後者の視点に立つ時,聖書を批判的に研究しようと試みます。なぜなら,聖書は教会のフィルターを通っているのですから。
 今申し上げたことを,年代順に整理しておきましょう。まず,「イエスや使徒の宣教」という歴史

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プロテスタンティズムの倫理と効率的市場仮説

プロテスタンティズムの倫理と効率的市場仮説


プロテスタンティズムの倫理
 カルヴァン神学の特徴は,「神の絶対性」を徹底したことです。すべては神の御業であり,すべては神の御心です。人生の幸不幸を決めるのは神です。事業の成功と失敗を決めるのも神です。誰と結婚するか決めるのも神です。もちろん,誰が救われるか決めるのも神です。神は,予め「救われる人間」と「滅びる人間」を定めておられる。これが,カルヴァン神学の予定論です。
 絶対的な神の観念を抱く

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大衆社会の病理~松本人志氏の性加害問題について~

大衆社会の病理~松本人志氏の性加害問題について~


はじめに
 お笑い芸人・松本人志氏の強制性交事件が話題になっております。そして,様々な意見がSNS上で飛び交っています。肯定派は言います,「女性の権利を踏みにじった奴は,厳しく裁かれるべきだ」と。しかし,否定派は言います,「今さらしゃしゃり出てくる女は,金銭目的に違いない」と。一方で,無関心派は言います,「有名人の女遊びなど興味ないから,どーでもいい」と。
 私は,今回の事件に興味を持ちました。

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13番目の使徒

13番目の使徒


使徒とは何か?
 聖書における使徒とは,イエス・キリストの弟子です。別の言い方をすれば,キリストに遣わされて福音を説く者です。しかし,聖書の文書によって,中心となる使徒が異なります。

マタイ伝

 マタイ伝におけるキリストは,律法を重視します。なぜならマタイ伝は,パレスチナ原始キリスト教会の立場によって書かれたからです。故に,マタイ伝における真正の使徒は,教会の権威であるペテロです。

ルカ文

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自由と必然

自由と必然


二つの人生観
 人生は運命なのでしょうか?それとも,人間の意志次第なのでしょうか?
運命論者は言います,「すべての出来事は予め決まっている」と。あるいは,「歴史は神の世界計画である」と。ならば,私は聞きたい。「もし全ての出来事が神の計画であるなら,人間は神の操り人形である。ならば,何のために人間は生まれてきたのか?」と。
 自由論者は言います,「人生の醍醐味は,未知なる可能性を切り拓くことである

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トルストイのメッセージ

トルストイのメッセージ


ロシア文学
 ロシア文学の特徴は,驚愕すべき壮大な発想力にあります。もしかしたら,どこまでも広がる遠大な大地が,ロシア人の性格をそうさせたのかもしれません。プーシキンからトルストイに至るロシア文学の目標は,全人類の救済であり,最後の調和であり,終末論的世界です。
 ロシア文学は,ドストエフスキーとトルストイにおいて絶頂に達しました。ドストエフスキーの作品は,究極の悲劇であり,きわめてヘブライ的で

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