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なんでもない。

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記したつもりが消えていくもの。
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純正じゃない思い。

純正じゃない思い。

 最近、"母に似て来た"と自分でも思うようになった。
以前ほど思い出さなくなっているのにも関わらず、日々、鏡に映る顔を見る度に"母"を感じる。
幼少期には、もうこの世から消えてしまったから、その記憶のほとんどはアルバムの中に在る。自分の子供と向き合う時、ふとスマホに視線を落とす時、
わたしは母親の姿をそこに見つける。

 母は美大の学生だった。21歳でわたしが生まれた。わたしが絵が好きなのは遺伝な

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夢、記憶、可塑性。

夢、記憶、可塑性。

 連続の夏日が薄らいだ昨日、夢をみた。

 「何処でも行けるけど何処にも行けない」彼はそう言っていた。中目黒のベッカーズから学校まで歩く途中で、山手通りの排気ガスとビルの谷間を屈折して、アスファルトに反射する照り返しに眩しく目を細めて、人生について話し合っていた。青春時代の悩みの大半は哲学に触れてから、人生というカテゴリーに分別される。似ているようで似ていない。重いようで軽いようで。擦れているよう

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「mariage de A et B」

「mariage de A et B」

夫とわたしの結婚を一言で表すならば、
迷わずこの言葉だと思う。

12年目。

一般的な意味
フランス語で「結婚」のこと。→結婚
※ フランス人はしばしば、もともとふたつで別々だった存在があたかもひとつの存在のように調和した状態になることを、詩的に(メタファー的に)「mariage マリアージュ」と言う。例えば視覚芸術ならば、キャンバス上で二つの要素がひとつのまとまった調和した視覚的効果を生むこと

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embalming。

embalming。

 年度末も過ぎて、久しぶりに美容院へ。そして担当のTさんとも、久しぶりに顔を合わせた。

 「今回は暫く空いたね」

 「ええ、気づいたら、カットはもうどうにもならなくて、後、髪の艶、艶が欲しい…」

砂漠で水を求めて彷徨う旅行者の如く、手を伸ばしてジェスチャーして、受付でマスク越しに、お互い大笑いした。

 「伸びたね〜この間に一度も?切らなかったの?」

 「もちろん。セルフカットなんて、

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DM。

DM。

 ある日、DMが届いた。

 元彼から。

 「フェイスブックで探したんだけど、見つからなかった」

 「ああ、面倒くさくて消しちゃったから」

 「何で、本名じゃないのに、私だと分かったの?」

 「語り口調とか、雰囲気、何となく、そうだって」

 「うわ、鋭い」

ねぇ、知ってる? 旦那さんが奥さんにDVしていて、その奥さんが逃げても、街角とかでどんなに変装していても、すぐに見つけてしまうんだ

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車エピソード。

車エピソード。

 教習所って言うより、ドライビングスクールって言う響きが好きです。(画像は和泉自動車学校から引用しています)あんまりにも、このキャッチコピーが面白くて。運転しながら上機嫌になる気持ちは理解するけど、実際にひとりで笑顔でも……ね。(怖い)

 吉祥寺にあるドライビングスクールに通っていた記憶を思い出していました。もう閉校してしまったので記憶のみなんですが、総武線の電車に乗り、校舎と走行コースが車窓か

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チャンピオン。

チャンピオン。

 今週は何がとは、具体的に言えないけど、慌ただしかった……。良く眠れる。

 よーし!と金曜の夜だからと、YouTubeで、ミラクルひかるさんの癖の強めなイントネーションで、完璧に再現されてる工藤静香さんのモノマネを連続して観ていたせいか……大笑いしながら夢を観た。

 とあるベッドの上で目覚めて、すく隣に視線を移すと……怪訝そうに見つめるキムタクが!!

 エッ? ……。とまた横にある化粧台を勢

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スキップ。

スキップ。

 娘の塾通いも、波に乗って来た。早いもので、学年末だからね、まだ入り口、人生の試練だから走り抜けろ。

 勉強は手段だから。この世を深く知る為には、知識が必要。あくまでも手段に過ぎない。

 「100%の人生を求めるのが難しいとしても、テストで100点は取れてしまうのよねえ〜」と、悪戯に目線で笑い合う。

 時代がどのように変化しようとも、どのような状況だろうと、起こる事をなるべく面白がり、スキッ

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R.M.T.T(ラーメン食べたい)

R.M.T.T(ラーメン食べたい)

 急に食べたくなるもの。それは、ラーメン。こんな寒い日には特に。いろいろあるけどスープは、澄んだ醤油がいいね。じゃあ、行っとく?行っちゃおうよ!騒がしいクラブ音楽からエスケープするように、R.M.T.T(ラーメン食べたい)と口にすれば気分も高まる。

 六本木の交差点を少し歩いたその先へと、白い息を吐いて彼とふざけ合いながら、えんとつが目印の屋台みたいな建物を目指して、濡れて鈍い街のネオン、車道で

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詰め込む愛。

詰め込む愛。

 久しぶりにお弁当作りをした。自分自身の学生時代から始まり、子供達の離乳食から、幼稚園児の小ちゃなお弁当まで、それはそれで歴史でもある。"不慣れ"だったり、"不器用"だったり、"不恰好"だったり、"質実剛健なお弁当"キャラ弁は時間が無理、でも"彩りと旬はモットー"に、お腹が減ってる時は"スタンダードが一番"なんだから、とばかりに、唐揚げ、ウインナー、玉子焼きなどがメインの至って普通のメニュー。手先

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栄養えいよー。

栄養えいよー。

 冷凍庫に一枚、玄米食パンが残っていた。ブイーンと唸る機械音と共にさみしそうに。パンにそんな感情があるはずがない。茶色い表面がちょっと冷凍焼けしているせいで、白くしらけている様が、そのように見えた。「もう〜白いパンより茶色いパンの方が体に良いんだよ」なんて家族に言ってみても、白くてやわらかいルックスで、お砂糖やバターたっぷりの方が魅惑的だから、仕方ない。

 コーヒーと一緒に、トーストして食べた。

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目を覚ませ。

目を覚ませ。

 相談には一切応じませんが、質問としてシンプルに答えるようしています。

 妹からのメール。ママ友の交流の話し。

 そろそろ集団的な集まりも増える機会が増えて、それが憂鬱らしい。

 え?なんで?行きたいなら行けばいいし、行きたくないなら行かなければいいじゃない。

 そうもいかないんだよって。

 うわ面倒くさい。複雑にするな。

 そもそも、断る決断も下せず、勝手に仲間外れ?的になりたくない

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鼠返し。

鼠返し。

 もし、要らないものを頂いたら、その人へ返せばいい。そして、入り込ませないようにすればいいのよ。

 「人間は日々成長しなくちゃならないんだから」というのが口癖だった男がいた。所謂、"ハングリー精神"ってやつが輝く宝石のように見えていた頃。癖が強いのが魅力的に感じるかは、紙一重よね。

 同棲していた部屋の留守電に、警察から連絡があり、男がバイクで事故を起こしたらしい。幸いに命には別状無く、左足の

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