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はたと行き詰まったときに振り返りたい記事をまとめました。
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記事一覧

半分ずつをお互いに持ちあう――「ことぱの観察 #13〔つきあう〕」向坂くじら

半分ずつをお互いに持ちあう――「ことぱの観察 #13〔つきあう〕」向坂くじら

詩人として、国語専門塾の代表として、数々の活動で注目をあびる向坂くじらさん。この連載では、自身の考える言葉の定義を「ことぱ」と名付け、さまざまな「ことぱ」を観察していきます。

つきあう 「わたしたちって、つきあってるってことで、いいんだよね?」
 と聞いたら、
「ちがう……んじゃないか……!?」
 と言われて、気まずかった。夫にである。恋人になる前のことではない。つい先月、ふたりで暮らすリビン

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まあ、好きということでいいんじゃないですかね……――「ことぱの観察 #08〔好きになる〕」向坂くじら

まあ、好きということでいいんじゃないですかね……――「ことぱの観察 #08〔好きになる〕」向坂くじら

詩人として、国語専門塾の代表として、数々の活動で注目をあびる向坂くじらさん。この連載では、自身の考える言葉の定義を「ことぱ」と名付け、さまざまな「ことぱ」を観察していきます。

好きになる 目を覚ましたら新しいプレイリストができていた。年末になると音楽のサブスクリプションサービスから通知が届いて、この一年どんな音楽を聴いてきたか教えてくれる。それが来たのだ。
 わくわくしながらリストをひらいて驚い

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call and response.(明日はデート)

call and response.(明日はデート)

2023.12.8

職場で出た今日のお弁当はオーベルジーヌだった。オーベルジーヌにはじめて出会った。

オーベルジーヌ、芸能人がよくロケ弁No.1とかって褒めているカレー屋さん、テレビでよく見る。今日のお弁当はそこのカレーで、(テレビでよく出てきたものとは弁当の形状が少し違って)立派などでかい箱に入っていた、どでかい箱は横にちょろっと紐が出ていて、紐を引いたら湯気が出て自力で温まってくれるやつ、

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フェミニズムを毛嫌いしてごめんなさい。満を持して今、「女の生き方」について話がしたい

フェミニズムを毛嫌いしてごめんなさい。満を持して今、「女の生き方」について話がしたい

ミッシェルンデゲオチェロ。
スワヒリ語で「鳥のように自由」という意味の名前で活動する女性アーティストだ。彼女のことを知ったのは20年ほど前。東京で学生生活をしながら日々もがいていた頃である。

ミッシェルンデゲオチェロ。
なぜだか時々口に出してみたくなる口心地のよいこの言葉。卒業したとき、結婚したとき、夫婦でぶつかったときなど、節目節目で彼女の名前を思い出してきた。

ミッシェルンデゲオチェロ。

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今日以降、"男の子だったら"と言うことをやめようと思う

今日以降、"男の子だったら"と言うことをやめようと思う

おてんば的に使い古されてきたセリフだと言うだけで、結局のところ、「私、男の子に産まれればよかったな」と、本気で思ったことはない。子供の頃から、リボンやフリルも、三つ編みもドレスも好きだったし、ディズニープリンセスも、おジャ魔女どれみも、大好き。

あれ、「いわゆるマジョリティの要請として求められている女の子として自分は何かがおかしいかも?」と思ったことはあったけれど、私は女の子に生まれてきたことに

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毒親ブルース

毒親ブルース

昨日の記事で、母親のことについてチラリと書いたが、今日は本格的に書いてみようかと思う。

世間では、「毒親」だの「親ガチャ」だのうまい造語がある。一般に「毒親」とは、ネグレクトしたり暴力を振るったり、子供を始終コントロールしようとしたりする人のことを指すと思う。そういった所謂ハズレと思われる親の元に生まれてしまったら、「親ガチャ失敗」となるらしいのだが、みなさんは、親御さんとの関係いかがですか?

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お看取りを控えた夜

お看取りを控えた夜

うちの診療所では、24時間体制で自宅療養中の患者さんからの電話を受け、必要に応じて往診している。
夜は当番の医師がかわりばんこで夜間用の電話を自宅へ持ち帰り、呼ばれたら出動する、いわゆる「オンコール」体制をとっている。
当番の夜はいつ呼び出されても良いように心の準備が必要で、身体は自宅にあっても心はどこか落ち着かない。
お看取りが近い患者さんがいると、リラックスはできないなとあきらめる。

最近は

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手は、そのひとの人生を物語る――「マイナーノートで」#28〔ハンド・モデル〕上野千鶴子

手は、そのひとの人生を物語る――「マイナーノートで」#28〔ハンド・モデル〕上野千鶴子

各方面で活躍する社会学者の上野千鶴子さんが、「考えたこと」だけでなく、「感じたこと」も綴る連載随筆。精緻な言葉選びと襞のある心象が織りなす文章は、あなたの内面を静かに波立たせます。
※#01から読む方はこちらです。

ハンド・モデル 電車に隣り合わせた若い女性がスマホをいじっている。その手を見て目が釘付けになった。なめらかな大理石のような肌、シミ一つない白さ、すっと伸びた細い指に手入れされた卵形の

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私の後悔。夫の後悔。

私の後悔。夫の後悔。

「今日、閻魔様に判決を下されるんだって。」

 お義母さんのこの言葉、2回目だなぁと思いながら頷いたところで車は寺に着いた。
 「3回忌のタイミングで、閻魔様が天国に行くか地獄に行くか決めるんだって」先月の電話でも義母は教えてくれた。

 義父の3回忌の法事の日。カンカンと晴れ。
 葬儀の日は雨だったなぁと空を見上げる。
 3回忌と言ったって日程は生きてる人間に合わせているので、閻魔様もこちらの都

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二人が毎日笑っていればそれでいい。

二人が毎日笑っていればそれでいい。

先日メンタルが崩壊した。

振り返ってみると、2月あたりに1回それから、春になり月1ペースでやたら落ち込む癖がついた。

つまらないことでドカンと落ち込み、数時間何も手がつかなくなる。
ただただ苦しい、悲しい、辛いという感情で頭が支配されてしまい、生産性のない時間を過ごすことにさらに落ち込む。

もともと生理前の感情の変動って少ないんだけど、年々変わるともいうし、もしかしたらそれのせいかなと思って

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そんなことないよ待ちをしてしまう。

そんなことないよ待ちをしてしまう。

こんにちは、ようやく時間に余裕が出来ました。数日自炊を完全放棄して、中食に頼っていたので今晩は健康的なメニューにしようと思います。

トミーです。

最近、旦那が職場での出来事をはなしてきました。

旦那『後輩が4泊5日で沖縄に新婚旅行するんだって。』

トミー『そりゃ、シフト大変になりそうだね。まぁ、お互い様だけど。』

旦那『まぁね。』

トミー『我々は行けなかったから、節目に北海道にでも行こ

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理由を求められるのはいつもマイノリティ

理由を求められるのはいつもマイノリティ

旦那さんと結婚して、3年目に突入した。
私たち夫婦には子どもがいない。

そうなってくると、よく聞かれるのが
「子どもはまだ?」
「親御さんも孫見たいんじゃない?」
「なんで子どもをつくらないの?」
とかいう、よくある質問。

正直、どうせ大した興味じゃないんだから
いちいち聞いてくれるなよ、と辟易するけれど
言ってきた人にとっては他人の人生を覗きたい
野次馬根性的な好奇心が止まらないから
聞くん

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暗中模索。夜は勝手に明けるけれど人は頑張らなきゃいけない。

暗中模索。夜は勝手に明けるけれど人は頑張らなきゃいけない。

3.30 木
 昨夜、一か八かお腹が痛いまま寝て起きたら、お腹は無事だった。寝る前に貼ったホッカイロが寝る前と同じ様に温かくて、なんだか不思議の国に迷い込んだような、時空を超えたような気分。
 お腹の痛みは引いていたけれど、なんだか不安定な感じ。「最近メンタル不安定なんだよね。」みたいな不安定さが今日の私のお腹にはある。「最近お腹不安定なんだよね。」いつでも泣けるぞ。

 お腹の不安定さと共に、朝

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絶望につける薬

絶望につける薬

私はあまりに目まぐるしく移り変わる映像が苦手なため、TikTokはほとんど見ません。
けれども、そこでいま太宰治が人気を博している、それも、日本でなくアメリカで、というニュースには驚きました。

なかでも太宰の最後の作品『人間失格』が人々の心を強く掴んでいるそうで、ついにはニューヨーク・タイムズの書評に取り上げられ、書店には本が山積みだと聞けば、本当に世の中では思いがけないことが起こるものだと感じ

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