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好きな詩 とか(2022年)

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人間であることを 問い続ける

人間であることを 問い続ける

☆photopos-3025  2022.12.20

人間であるとは
人間であることを
問い続けることである

けれど天使は
天使であることを問わない
自動的な存在だ

みずからを問うとき
天使は堕天使となり
人間にむかい
堕ちたじぶんのように
みずからを問うようにと誘惑する

そして人間は
堕天使の誘惑のままに
人間であることを問い続け
その矛盾のなかで
矛盾ゆえにこそ

そこから自由の翼を

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今

今ほど不思議なものはない。人間は今しか生きることができない。これから来る未来を生きることもできないし、過ぎ去った過去を生きることもできない。どんなに過去に戻りたいと願おうと、どんなに未来に夢を描こうと、生の舞台は「今、ここ」しかない。

でも、今って一体どこにあるのだろう。今を今と認識した瞬間、それはもう過去になっている。どれだけ今の存在の尻尾を捕まえて手繰り寄せてみても、呆気なく過去に逃げ込まれ

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方解と花

核には雨が降っている
聖なるものの及ばない底で
これは会心の雨になるだろうからと
きみは目を瞑った
——星が燃えている

春、淡々と孵化してゆく光子が
みずうみの上で踊っている
透明なものは存在しない
その器官を指でひろげると
卑猥な音がするから——星が燃えている
雨粒がたがいに反感する頃
手の皺にひそむ祈りは呪いになって

見るものすべてがさらさらになるように
こころを削っている
鍵盤はころころ

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ぽつりぽつりと

ぽつりぽつりと

ぽつりぽつりとしか進まない
すっ飛ばすことなんてしない

だけど
ちゃんと

ぽつり ぽつり と 進んでる

こんなにしあわせでいいのかな

こんなにしあわせでいいのかな

あなたの

しあわせを願う時

世界はまぁるくなって

やさしくなるね

こんなに

しあわせでいいのかなって

思うほどに
 

どんなに小さなコミュニケーションも、その目的は、目の前の人をしあわせにすることなんだな。

そう感じた時。

またひとつ、わたしの中で張り詰めついた力が、ふぅと息を吐き、消えていきました。

こうして、「わたしが、わたしが。」という苦しみが少しずつ癒えていくのですね。

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イメージと文化:台湾有事とメディア

イメージと文化:台湾有事とメディア

イメージと文化:台湾有事とメディア

(註)イメージと文化の項目であり、事象のコラムです。

台湾統一を「歴史的任務」と・・・

中国の3期目を迎える習近平国家主席は、中国共産党大会で、台湾統一を「歴史的任務」と位置付けた上で「武力行使を決して放棄しない」と明言した。「台湾有事」が起きた場合、日本はどのような対応を迫られるのか。

ここで言う台湾有事とは

ここで言う台湾有事とは、中国が自国領土と

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しばらくの布帛

川底を手繰ってブロードは
うみだされている
わからない指はほどけなければならない
しぶきをあげた星のひとつを拾いあげ
線が失せてゆく
線が失せてゆく

とろとろの残酷が内ぶたを回し
歯ぐきの薄桃色はときめいている
春が黄身をわってまわる頃に
暈を纏わってなめらかになりたい
印象をくゆる累々は花びらをふるい
その円錐をかすかに均すために
ふいごからは気色のない谺が届けられる
およそ同じ顔をした牛たち

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ことばは どこから 生まれたか

ことばは どこから 生まれたか

☆photopos-2958  2022.10.14

ことばは
どこから
生まれたか

ことばは
世界を映すのか
世界に映されるのか

語れないことばは
世界のどこかに潜んでいるのか
それともどこかへ帰ってゆくのか

永遠のことばはあるのだろうか
こんな刹那のことばのなかで

数は
どこから
生まれたか

数は
世界を数えるのか
世界に数えられるのか

数えられない数は
世界のどこかに潜んでい

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気付かれない

気付かれない

鮮やかな輝きを纏い
気ままな美しさと共に
この世の果てでさえも
いとも容易く飛び越えそうな

そんな姿

気付かれないなら
その存在は
果たして意義を持つのか
自己満足の権化として

何一つ

三次元世界に対する
証明を持たず
パスポートを投棄し
孤独に朽ちるのか

よしんば

気付かれたとしても
どれだけの者が
それを当たり前に
ありのまま祝福できようか

願わくば

私は気付いていたい
私はそ

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いつか見た風景 46

いつか見た風景 46

「過激で優雅な病める詩人の会」

 原因は人それぞれですねと医者が言った。特定は難しいですからとも言った。それでも加齢やストレスがほとんどですからと。私は迷っていた。専門医に行くべきか。漢方でも試そうか。そうそうネットじゃもっぱら蜂の子なんかを薦めて来るけどさ、アレって効き目はあるのかな。私の場合の耳鳴りはキーンとかいう単純な金属音だけじゃないんだよ。何だか旋律を奏でる時もあれば内緒話が聞こえて来

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うたかたの心を超えて

うたかたの心を超えて

☆photopos-2896  2022.8.13

その先は
見えない

うたかたの心を超えて

思いは
かなたへ

光は
届かない

ぬばたまの夜を超えて

夢は
かなたへ

言葉に
できない

うつせみの命を超えて

祈りは
かなたへ

※愛媛県内子町・小田深山渓谷にて

こんな眼で世界を見ているから嫌な気持ちを感じてしまう

こんな眼で世界を見ているから嫌な気持ちを感じてしまう

 こんな眼で 見ているから

 こんな眼を しているから

 受ける感情は 受けるもの

 すべて すべて すべてが

 嫌な気持ちを感じてしまう

 こんな眼を していたら

 こんな眼を していたら

 見えるもの すべて が

 嫌な感情を与えてしまう

 落ちこんだ 眼をして

 落ちこんだ 眼で見て

 世界は すべて 暗い

 世界は すべて 嫌な

 感情を 受けてしまう

 落ちて

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望郷

望郷

森の景色は
ここにはない

森から街に下った
小さな私は
楽しい気持ちで
歩いてる

光る電気信号
たくさんの自動車
流れる人と
高い建物の群れ
時間は早く流れる

森にはない景色
街は楽しい
いろんな魅力に
あふれてる

いろんな夢に
あふれてる
人はここで夢を叶える
私も夢を叶えたい

夢を描いて
ふと歩いている道
踏みしめた
一枚の落ち葉

ふと我に戻った
気がして
足元を見つめれば
豊かな

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自惚れガールになりたいわ

ダイエットの神様にそっぽむかれてわたし、死にそうな顔してミルクティーを飲む。女の子はあざとさの鬼ごっこをする。並べられた可哀想という言葉、蔑んだ目線、おしまいのない見定め合い。わたしは仕方なく愛しさの亡骸を抱く。
夜になるといらっしゃいませの温度がだだ下がりして、こすった目で視界は滲む。対峙したエクセルのセルは地獄に見えて、意思に反する時計は悪魔と化す。店の隅で数時間もあの子は、スマホとにらめっこ

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