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何度も読み返したい素敵な文章の数々 vol.2

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#コラム

「わたし」と「あなた」を区別する

「わたし」と「あなた」を区別する

「よそはよそ、うちはうち」

子ども時代に、こんな印籠を親に見せられたことはありますか?

わたしは「みんな持ってるんだよ!」という子どもの説得あるあるセリフを吐いたことが、おそらくありません。だから、そのセリフを親に言われた記憶もありません。当時から、レッツゴーマイロードな子どもだったので。

ただ、子どもの頃に教えられる(諭される)、この「よそはよそ、うちはうち」という感覚って、大切なのではな

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スマホ依存ならぬ、アウトプット依存

スマホ依存ならぬ、アウトプット依存

 最近、ようやくスマホユーザーになりました。その昔、ガラケーを持つのも遅くて周りをヤキモキさせていたので、わたしらしいペースではあるのだけれど。

 スマホに変えたのは、別に欲しくなったからではありません。周りが持っているからという理由だとしたら、とっくに変えていたでしょうから、そういうわけでもありません。単純に、仕事で必要になったから。ただそれだけの理由でした。

 使いこなしてはいないし、相変

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物語は終わらない

物語は終わらない

めでたし、めでたし。ハッピーエンドで終わる物語の締めの一文です。

子どもの頃、この言葉で終わる物語に、一体どんな感情を抱いていたのかは、あまり憶えていません。ほっとしていたのかなあ。それとも、物語が終わってしまうことを残念に思っていたのかな。

大人になって思うことは、ハッピーエンドなんて、死ぬそのときまでない、ということ。

当たり前だけれど、白雪姫だって、シンデレラだって、「めでたし、めでた

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なぜ、高知に住みたいと思えないのか

なぜ、高知に住みたいと思えないのか

東京でしか消耗できないからです。

「イケハヤ書店」が「まだ東京で消耗してるの?」に変わってから早1年。高知の魅力をたくさん知りました。

食べ物は本当に安くて美味しい。大自然に囲まれた、東京にはない豊かな暮らしがそこにはあるのでしょう。高知の素晴らしさを知るたびに、「まだ東京で消耗してるの? 移住しなよ」と声が聞こえてきます。

でも、私は一瞬も「地方に移住したい」と思ったことがありませ

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居場所がほしい人への手紙

 世の中にはじつに多種多様な人がいる。なかには、筆者に人生相談をしようとする人さえ。筆者は、自分でいうことでもないが、孤独な人間で、あまり友人もおらず、仕事上のつながりで人と交友を深めたりすることもほとんどない。たまにオフラインのイベントで登壇するくらいなのだが、近頃よく質問されることがある。

 「自分の居場所がなくてさみしい。居場所をつくるには、いったいどうしたらよいのか。」

 孤独な人間に

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1000円で限りなくご機嫌になる

1000円で限りなくご機嫌になる

1000円というお金の、可能性を考えるのが好きだ。たいした額ではないかもしれないけれど、考えようによってはたいした額にもなる。軽いランチだったら人にごちそうできる。ちょっとした美味しいお菓子が、ちょっとだけ買える。単行本は無理でも文庫本は変える。映画の日だったら映画が観れる。普通のスーパーならちょっと良い果物も買えそうし、千疋屋のショートケーキを買ったらお釣りがくる。

この前新宿に久しぶりに行っ

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10年間海を漂ったボトルメールのようなデザインの話

10年間海を漂ったボトルメールのようなデザインの話

昨年の夏、嬉しい再会を果たした。

話は今から11年前に遡る。

2007年8月。
当時20歳だった僕は、大学3年の夏休みを利用して1ヵ月間インドを旅した。

暗闇と、危うい空気を孕むオレンジ色のライトが溶け合う夜明け前。
到着したインディラ・ガンディー国際空港で一緒に降り立った日本人乗客のうちの1人に彼女はいた。
互いに学生だとひと目見理解した僕たちは他の学生数人と一緒に到着ロビーで夜明けを

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ひとつの物事は、着させた服で白にも黒にもなる

ひとつの物事は、着させた服で白にも黒にもなる

同じ内容であっても、伝え方次第で全然本意ではない伝わり方になってしまうことって、あるよね。

言いたいことは同じなのに、表現のしかたひとつで、ポジティブにもネガティブにもとらえられてしまう。「この人、ネガティブにとらえられてしまうような伝え方ばかりをしているなあ」と感じるとき、わたしは「もったいないなあ」と思っている。

「あの人はああいう風に言うけれど、本当はとてもいい人なんだよ」というセリフが

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書くことは、思い出からの卒業。卒業して初めて居場所を持てるんだ。

書くことは、思い出からの卒業。卒業して初めて居場所を持てるんだ。

別に旅人じゃないのにどうしてこんなに、いつも地面から2センチぐらい浮いてしまっているのか。風のようねと言われることが多かった1年、自分のことを考えるのは苦手だけど、大晦日だしもう一度この一年に会いに行こうと思う。

想像できてしまう未来に、私は立っていられない。

ただ、そんなことをずっと思っていた。いろんな人の人生に少しずつ足を踏み入れるのが好き。話を聞いたり、その人の人生を知ったり、話したり、

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情報ではないもの

情報ではないもの

情報化社会と呼ばれるように、今は濁流のような情報が毎日ひっきりなしに溢れている時代だなあと思う。

好きではない言葉のひとつに“情弱”があるのだけれど、そうした言葉が生まれるくらい、今は多くの情報があり、知る人と知らない人の差が激しいのだろうなということがわかる。

「人生は、知るか知らないかだけだ」……というコピーがあったのは、デスノートだったっけ。まあ、そういう側面があるのは否定できないひ

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「続ける力」よりも大切なのは「再開する力」だ!

 なにごとも「続けることが大事」だと言われますよね。まー、そんなことはわかってます。続けることは大事。習慣が大事。でもなかなか続かないから、みんな悩むんです。

 語学、筋トレ、ダイエット、ストレッチ……続かずに断念した経験は誰しもあることと思います。

 ただ僕は、この「続けることが大事」という言葉がよくないと思うのです。どういうことかというと、それは「続かないから、始めない」という考えに陥りが

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その重さがあるから深海に潜れる

その重さがあるから深海に潜れる

ある物事のとらえ方は、ひとによって異なる。

……ということは、至極当たり前のことすぎて、あらためていうようなことでもないのだけれど、最近しみじみと、そう思う。

誰かにとっては些細なことだとしても、それは万人には当てはまらない。こころの奥底で、がっちり受け止めて、何ならそのひとの人生に影響を及ぶような、そんなとらえ方をするひとだって、いるんだ。

たとえば、ネタをネタとしてわかってもらえないと嘆

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「やらない」をやる

「やらない」をやる

特に新年のような節目のときは「あれもこれもやりたい」という気持ちになるし、やりたいことリストを作ったり、周囲に宣言する人も多い。

わたしも年始には必ず目標を立てるので「やりたいこと」をずらっと並べて気合を入れ直すけれど、最近「やらない」を決めることの重要さに気づいてきた。

「やりたいこと」の中の項目たちは、今やったほうがいいことばかりではないかもしれない。そう思ってリストを改めて見ると、たっぷ

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世の中は、甘いものでできている。

世の中は、甘いものでできている。

「あんまり彼氏できてほしくないって思ってるんだよね」
スープカレーを頬張りながら、友人はわたしに向かってそう口にした。それこそ勝手な話なんだけど、と付け足して。(一応補足しておくが、その友人には彼氏がいるし、わたしも恋愛対象は異性である)彼女は甘えるのが上手である。「聞いて」とわたしに愚痴を言ったり、「今日泊めて」となんの不快もなくわたしの日常にまぎれこんだりしている。この甘え、わたしはとても羨ま

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