泉かおる

絵とお話をかいています。 2023年1月からペンネームを「amu」に変えてお引越ししま…

泉かおる

絵とお話をかいています。 2023年1月からペンネームを「amu」に変えてお引越ししました。今後ともよろしくお願いいたします。 引越し先↓ https://note.com/amu_3278

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1月21日でアカウントをお引越しさせていただきます

 タイトルにありますように、2023年の1月21日に泉かおるのアカウントを閉鎖し1月22日からこちらにお引越しします。  名前も「amu」に変わります。  泉かおるのnoteを読…

泉かおる
1年前

山城

 山城が好きなのは、今が平和だと思えるからだ。  そんなに詳しいわけではないが、近所に戦国時代に使われた山城の跡があって、時々散歩にいくことがある。  私の住む…

泉かおる
1年前
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はじめまして

 絵物語作家、エッセイストの泉かおるです。  この度はnoteを見ていただきありがとうございます。  実はずっとnoteはやっていたのですが、自己紹介したいと思っても、…

泉かおる
1年前
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【短編小説】あたらよ

 もったりとした闇。ちょっと前までカラカラに乾燥していた風が、いつの間にか湿気を含んでのろまに吹いている。町全体に毛布がかかっているように暖かい。  電灯がポツ…

泉かおる
2年前
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細かい水

泉かおる
2年前
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未だ梅雨

 七月の一四日。午後7時を回ったころ。  まだすこし明るい。  今年の梅雨明けは一週間以上先のようだ。連日、重たげな雲が空を覆っている。地面はいつも水浸しだ。  部…

泉かおる
2年前
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世界はあるべき姿で自分を包んでいる

 仕事やめたいなと思っていたのだけど、そうこうしているうちに部署を異動することになり、おまけに副主任になるんだそうだ。  話があったのはつい先日で、働いている老…

泉かおる
3年前
10

HSPの私がカラオケが苦手な理由

 最近はカラオケに行こうと言われることも減ったのですが、たまに誘われても「行きたくない」とはっきり言うようになりました。  これは大きな進歩で、以前は苦手なのに…

泉かおる
3年前
12

10代の私がしゃべりだすので

 私は学校というところとあまり相性がよくありませんでした。  いじめられていたわけではありません。  ただ合わなかったのです。  小さい頃から集団は苦手でした。今…

泉かおる
4年前
10

夏がやってきた

 私は体質的に夏の暑さが苦手です。  それでもワクワクしてしまう。  冬の、音や匂いが一瞬なくなるあの世界も大好き。  春も大好き。春にやってくる南の国の湿った空…

泉かおる
4年前
3

ありったけの文句を水に浸して破る

 腹が立ったときは、紙にそれを全部書いて水に浸し破り捨てると、気持ちの浄化になると聞いて、早速やってみた。  本当に題名そのままなのだが、果たして気持ちはスッキ…

泉かおる
4年前
12

苦労がそばにいたころ

 こんにちは。  2、3年前まで苦労と一緒にいた泉かおるです。  変な話しをするかもしれないんですが、皆さんは苦労って好きですか?  私は以前、苦労が好きでよく一緒…

泉かおる
4年前
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ありがとう卵

 こんにちは。  普段は小説や水彩画をアップしてますが、今日はコラムみたいなのを書いてみました。  突然だけど、卵ってすごいですよね。  あんまり料理が得意ではな…

泉かおる
4年前
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起きたばかりの森

泉かおる
4年前
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【絵】秋の風

泉かおる
4年前
1

【小説】かみなり すなわち こえを はっす

 花倉山の頂上に黄金色の朝日がさすと、村は少しづつ目を覚ます。南を流れる藤川の周りには菜の花が咲きはじめていた。まだ肌寒い春分の頃だ。  本宮家の使用人たちはす…

泉かおる
4年前
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1月21日でアカウントをお引越しさせていただきます

 タイトルにありますように、2023年の1月21日に泉かおるのアカウントを閉鎖し1月22日からこちらにお引越しします。
 名前も「amu」に変わります。
 泉かおるのnoteを読んでくださった方、スキしてくれた方、フォローしてくださった方、本当にありがとうございます。

 去年、頑張るぞと思って自己紹介記事まで書きいたばっかりですが、思うことがあって今回決めました。
 特別な何かになりたい、と、自

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山城

山城

 山城が好きなのは、今が平和だと思えるからだ。

 そんなに詳しいわけではないが、近所に戦国時代に使われた山城の跡があって、時々散歩にいくことがある。
 私の住む地域は徳川軍と武田軍が戦った場所らしく、それによる逸話も残されている。

 大昔、戦いがあった場所も、今は林や野原、茶畑や公園になっている。春になると桜が咲いて花見客で賑わっている。山菜を取りに来る人もいるし、遠足にくる子どもたちもいる。

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はじめまして

はじめまして

 絵物語作家、エッセイストの泉かおるです。
 この度はnoteを見ていただきありがとうございます。

 実はずっとnoteはやっていたのですが、自己紹介したいと思っても、その自分があやふやでいったい私は何をしたい人なのかつかみきれず、自己紹介できずにいました。

 これを書いている少し前にコラボのお話をいただき、ペンネームやサイン、肩書きを決めねばならず、決まったのが今の名前と肩書きなのです。
 

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【短編小説】あたらよ

【短編小説】あたらよ

 もったりとした闇。ちょっと前までカラカラに乾燥していた風が、いつの間にか湿気を含んでのろまに吹いている。町全体に毛布がかかっているように暖かい。
 電灯がポツ、ポツ、と道を照らしている。昼間は華やかな桜も電灯に照らされて灰色みたいな色をしている。他が暗いせいで浮き上がって見える。それでもなんとなくピンク色に感じるのは、脳が勝手にピンク色の花だと思い込ませているのに違いない。
 こんな夜は気分が良

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未だ梅雨

未だ梅雨

 七月の一四日。午後7時を回ったころ。
 まだすこし明るい。
 今年の梅雨明けは一週間以上先のようだ。連日、重たげな雲が空を覆っている。地面はいつも水浸しだ。
 部屋の電気はつけてない。生成り色のシンプルなカーテンを微かな光が通過して、部屋の中をわずかに照らしている。
 一番光を放っているのはスマホの画面だけ。そのスマホの画面を黒い指がなぞっている。
 今日は早番だから、いつもより少し早く帰ってき

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世界はあるべき姿で自分を包んでいる

世界はあるべき姿で自分を包んでいる

 仕事やめたいなと思っていたのだけど、そうこうしているうちに部署を異動することになり、おまけに副主任になるんだそうだ。
 話があったのはつい先日で、働いている老人ホームの夜勤の入りの日だった。
 仕事やめて好きなことしてやるんだ。異動のはなしがきたら断ろう、と思っていたのに、私はその二日後「がんばります」と返事した。
 仕事をがんばりたいわけじゃない。ただ仕事を辞める方向にがんばれなかっただけだ。

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HSPの私がカラオケが苦手な理由

HSPの私がカラオケが苦手な理由

 最近はカラオケに行こうと言われることも減ったのですが、たまに誘われても「行きたくない」とはっきり言うようになりました。
 これは大きな進歩で、以前は苦手なのに気を使って断れませんでした。
 カラオケが苦手な仲間も増えたので言いやすくなったのかもしれません。

 HSP(ハイリーセンシティブパーソンの略)と呼ばれる人たちは生まれつき繊細で感受性が強く、HSPではない人に比べると、より強く刺激を受け

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10代の私がしゃべりだすので

10代の私がしゃべりだすので

 私は学校というところとあまり相性がよくありませんでした。

 いじめられていたわけではありません。
 ただ合わなかったのです。
 小さい頃から集団は苦手でした。今でも一人の方が好きです。
 私も農耕民族の末裔なので集団で動かなければいけないのはわかります。
 でもやっぱり、みんなと同じように動きましょう。というのが苦手です。

 幼いころから空想ばかりしていて授業中は別の世界にいました。だから先

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夏がやってきた

夏がやってきた

 私は体質的に夏の暑さが苦手です。
 それでもワクワクしてしまう。

 冬の、音や匂いが一瞬なくなるあの世界も大好き。
 春も大好き。春にやってくる南の国の湿った空気、空で冬と春がダンスして強い風が吹いて花を散らせる。
 地球の上に立ってるなあと思う。

 五月五日は立夏。夏のはじまり。
 湿度が上がって肺が潤う。
 広い茶畑がいっせいに若葉をしげらせて、一面鮮やかなきみどり色。近くの茶工場からお

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ありったけの文句を水に浸して破る

ありったけの文句を水に浸して破る

 腹が立ったときは、紙にそれを全部書いて水に浸し破り捨てると、気持ちの浄化になると聞いて、早速やってみた。
 本当に題名そのままなのだが、果たして気持ちはスッキリするのか。

 ここ数日、腹が立ったことがあった。
 誰かに悪意があっただとか、そんなことは無い。私に落ち度があったとも思わない。

 だが、だれか私に謝れよ。みたいなことがあったので試してみることにした。

 A4の紙に、ありったけの文

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苦労がそばにいたころ

苦労がそばにいたころ

 こんにちは。
 2、3年前まで苦労と一緒にいた泉かおるです。

 変な話しをするかもしれないんですが、皆さんは苦労って好きですか?
 私は以前、苦労が好きでよく一緒にいたんですけど、ある日「あ、ダメだ。無理だわ」ってなってから、苦労とは距離をとるようにしました。

 私の周りには苦労が好きな人がたくさんいます。
「苦労するから人間は成長できるのよ」
「あの人は苦労したから立派ね」
「昔の人は、み

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ありがとう卵

ありがとう卵

 こんにちは。
 普段は小説や水彩画をアップしてますが、今日はコラムみたいなのを書いてみました。

 突然だけど、卵ってすごいですよね。
 あんまり料理が得意ではないんですけど、最近は、仕事に持っていくお弁当を作ってます。
 以前はコンビニ弁当大好きで、今も好きなんですけど、いつからかな、もう理由も忘れちゃったんですけど、お弁当作っていくようになったんですよね。多分、仕事前にコンビニ寄っていくのが

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【小説】かみなり すなわち こえを はっす

【小説】かみなり すなわち こえを はっす

 花倉山の頂上に黄金色の朝日がさすと、村は少しづつ目を覚ます。南を流れる藤川の周りには菜の花が咲きはじめていた。まだ肌寒い春分の頃だ。
 本宮家の使用人たちはすでに布団をたたみ、雨戸を開け、かまどに火を入れ、主人の朝食の支度をしていた。台所から白い煙がふんわり漂っている。
 明治になってから十年ほど経つが、この村は江戸の時代とそう変わりは無い。変わったのは武士が居なくなったことくらい。本宮家は戦国

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