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『コロナの時代の虎』
一見すると廃墟のようにも見える古びた二階建ての小さな店舗だが、日が落ちる頃そこを通ると大抵は明かりが灯っている。だから一応は廃墟でないらしい。恐らく元は濃紺色だったと思われるが長年の雨風や他の何かに染められたり色あせたりで屋号の文字も擦れて読み辛い、とにかくボロ布じみた暖簾。しかし思い切ってそれを潜ってみれば意外にも店の中はいつも賑わっている。いまにも崩れ落ちそうな小さく狭い店だが、それでも結構
もっとみるいけるかなあと思ってたけど己の壊滅的な怠惰ゆえに新しい作品はやっぱり間に合わなそうで、皆さん応募してるぽい創作大賞に過去品のどれかをそのまま上げ直そうと思います。生暖かくお見逃し、また気が向いたら再読ください。昼食にインドカレー屋でチーズナンを食べて、すっかり胃がもたれています。
短編グルメ私小説 「正義の消費者」
地元の国道沿い、道の駅。
本館とは別に仮設のバラックみたいな建物があって、その中には飲食店がいくつか並んでいる。それぞれ好きな店の食券を券売機で買って、好きな席で自由に食事する。つまり小規模ながらもフードコートのような形式で、休日ともなれば家族連れなどで大いに賑わった。
そこに出店するうどん屋が、おれたち二人のお気に入りだった。
初めてそこを訪れた日の事。
うどん屋の調理場に立つ店主を見つめ、
現状たまに小説ぽい変な民話?をアップするだけのアカウントだけど、本当は週四位のペースで投稿、たとえば療養&料理日記に本や映画ゲーム関連記事とか有料悪口マガジンとか色々やりたい!と、そんな気持ちもあります。よしまずは自己紹介ページでも作ろう…もう一年程そう思い続けて放置してますが。
【民話ブログの民話】 一昨日のサーモン
一見の客が店に入ってきてカウンター席に着いた途端に「サーモン下さい」と言った。昔ながらの江戸前の小さな寿司屋をずっと一人で切り盛りしてきた頑固親父は最近めっきり年を取り、それで余計に頑固になっているものだから、たちまち青筋をこめかみに浮かび上がらせ、その客をいきなり怒鳴りつけた。
「うちはそんな店じゃねえやい! 一昨日来やがれってんだ!」
若い男の一見客は自分がどうして怒鳴られたのか分から