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僕の言葉の森

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僕の言葉の森に植えさせて頂きたい記事をまとめています。 https://note.mu/nazewokangaeru/n/ne66199a9189f
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#エッセイ

才能なんて言葉で片付けないでくれ

初めに書いておく。
これは僕自身の、ただの負け犬の遠吠えだ。

ー ー ー

自分に才能があると思ったことはあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、「自分には才能がある」と言い切った人に会ったことはない。

誰かに才能を感じたことがあるだろうか。
僕の知る限りの狭い世界で言えば、ほとんどの人が誰かに才能を感じている。それくらい世の中の人は才能で溢れている。
みんなが自分にしかないものを持っ

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世界はデザインでできている。

世界はデザインでできている。

おはようございます!
だいすーけです。
6日ぶりの更新となりましたが、よろしくお願いします。
今朝は、秋山具義さん著『世界はデザインでできている』について、簡潔なレビューと考えたことを述べていきたいと思います。

ではではさっそく、どうぞ。



レビュー、本の概要。『世界はデザインでできている』。
先週オーダーしたものが日曜日に届き、月曜日の午前中いっぱい集中して読んだ。
秋山具義さん、『マル

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語彙力は感性を養う

語彙力は感性を養う

私は6年前まで幼稚園教諭をしていた。
子どもたちが「先生、あのね…」と一生懸命に話をしてくれる時間が嬉しく、同時に子どもたちの成長を感じる瞬間でもあった。

ある日も"好きなご飯"の話になったことをきっかけに、報告会が繰り広げられた。
定番のハンバーグ・カレー・唐揚げをはじめ、様々なものを教えてくれていたのだが、いつもは大人しい女の子が、珍しく輪の中に入ってきた。

何かを言いたそうに、もじもじと

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印象と評価

印象と評価

私の中に湧き上がる 醜い感情と偽善の心 の戦い幼少期、自分は「特別な存在」だと思っていた。親も自分の子供はかわいいからかそのように私を扱ってきたし、根拠はないが揺るがない自信を持っていた。 上京したことやSNSを常用し始めたことをきっかけに、上には上には上には上には× n回 自分より優れている人がいることを知る。

顔、体型、就職先、服装、髪型、匂い、大学名 あらゆる指標で人は他人を推し

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入力が生活を彩り、「僕」をつくる

 折に触れて、丁寧な珈琲を飲みたくなる。苦味や酸味、深みなどの要素をつぶさに検討して魅力的な豆を選び、それを手動ミルで挽く。右の前腕にある筋肉が引き締まるのを感じながら、ミルから漂う香ばしさを楽しむ。茶褐色のペーパーフィルターに丁寧に粉を移して、ポットで沸かしたお湯で一度蒸らす。10秒ほどおいて広がる香りを楽しみ、フィルターの縁に粉が残らないように注ぐお湯を回す。そうして淹れる珈琲が日々の一部にな

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ホットミルク

みんなが寝しずまった夜に、くるしくなり、くるしくなり、きみは落ち着くひと。

ミルクを飲み、煙を3度はいて、
あかるい空の下でさいごに詠むひと。

ねむるまえに読むひと。

iconをクリックして、
わたしはあなたを辿って、
あなたがわたしをまだ見れることを知って、

あなたの静かな4行を確認。

句点も読点もすくない、行間はない、
あなたの生をよみまして、
わたしは、やっとねむってもいいかな

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言葉は武器にも盾にもならない

言葉は武器にも盾にもならない

自分の書いた文章が初めて認められた時、
初めて女の子とデートに行った時のような高揚感で
夜眠れなかったのを覚えている。

夢中になってたくさん書いて
月末に口座へ金が振り込まれた時
何かとんでもない間違いをしてしまったような気がした。
小さいころ父が大切にしていた服を絵の具で汚してしまった時のような。

高揚感や微かな優越感は消えて
惰性で書き続ける日々が続いた。
月末には書いた分だけの金が入って

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バジルトマトメンチ【#夜更けのおつまみ】

バジルトマトメンチ【#夜更けのおつまみ】

「ねぇ、マスターお腹減っちゃった」

アヤカはカウンターに倒れこみながら言った。
ここは住んでいるマンションの1階に半年ほど前に出来たBARだ。カウンターとテーブルをあわせても20席もない小さな店で、マスターが一人で切り盛りしている。夜遅くまでやっていること。料理とお酒が美味しいこと。そして何よりも疲れて家まで帰ってきたら、暖かい料理でお出迎えしてくれることが、独り身には大変ありがたく、嬉しい存在

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貴方が笑えばそれで、

貴方が笑えばそれで、

三年ほど前だったか。
久々に連絡をくれた友人から、あいつが亡くなったとの報せを受けた。

正確に言うと、随分前に亡くなっていたのがわかった、との事だった。

“あいつ”というのは僕が都内で売れないバンドマンをやっていたときのギターを担当していたメンバーだ。

あいつと僕は何かとウマが合い、たまたま家が近かったこともあってバンド活動以外でもよくつるんでいた。
物静かで、おっとりしていて、マイペースで

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なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

なぜ物語は、スタートに戻るのか -『ついやってしまう体験のつくりかた』より

たとえば私が東京で暮らしていたとして、多くの人と同じように、コンクリートで固められた道を踏み、日々同じ場所へ通い、箱の中で「仕事」と呼ばれ、与えられた作業をこなしていたとして。

「そうではない場所」に憧れを抱いたとき、「どうしてこんなところに、居るのだろう」と、遠い「何処か」へ想いを馳せたくなる。

そして私は、旅に出る。長く、ながく、数年は帰ってこない世界の旅に。「今まではとは違う場所」を求め

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感想すらも表現のひとつ

感想すらも表現のひとつ

何かを見たとき、聞いたとき、読んだときの感想。

単純に「楽しかった!」「面白かった!」「感動した!」とか表せる言葉は数あれど、言い方は悪いかもしれないが誰でも使っているような言葉では表したくないのだ。

なぜかといえば、楽しいだの、面白いだの、感動だのをどういう風に感じてそう思うに至ったのかを掘り下げて表現したくなってしまう。我ながら面倒くさい。素直じゃないのかもしれない。

感想すらも表現のひ

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不甲斐ないなあ

不甲斐ないなあ

抱えきれない悲しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
抑えきれない苛立ちを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
伝えきれない苦しさを、言葉に置き換えてみて
ぐっと飲み込んだ。
もう二度と言葉になることもないと思った。

空の広さに呆然とすることがある。
空は広いもんだってわかりきっているのに
たまにそれを認められないことがある。
認められないのは
別に空に限った話ではないのだけれど

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母の化粧

母の化粧

パァン!パァン!

洗面所から音がする。
餅でもついてるのかと思って思わず覗くと、母が化粧水を肌に入れ込んでいた。
少しでも多く浸透させたい気持ちはわかるがそんなにやったら逆に肌に悪いと思う。

母の化粧ポーチは小さい。
ファンデーションとアイシャドウとアイブロウとリップとチークとリップブラシがそれぞれ1つずつ入っている。
それらを使って母は化粧して出かけていく。
小さい頃、何でお化粧するのと

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短編小説「ゆなさん」

短編小説「ゆなさん」

「ゆなさんって、呼んでよ」
 はじめて参加となった、職場での忘年会。くじ引きでたまたま隣席になった彼女に、苗字をさんづけで呼びつつビールを注いだら、そんなふうに即答された。
 ぼくは瓶ビールをかたむけながら首をかしげた。ゆな。その名は彼女の本名とまったく異なっていた。苗字、名前となんのつながりも感じられない。ひと文字すら重なっていないのだ。
「ゆなさん、ですか」
「そう。みんなからもそう呼んでもら

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