葉風弥七

日々の暮らしのささやかな幸せに気付くことが信条。永きに亘るビジネスと文筆の生活を経て、…

葉風弥七

日々の暮らしのささやかな幸せに気付くことが信条。永きに亘るビジネスと文筆の生活を経て、言の葉をこよなく愛し、読書、珈琲、映画、音楽、そして手帳などの文具を楽しむ。かけがえのないひととき、ご一緒に。

マガジン

  • 幸せの佇まい

    幸せは常にそばに。ささやかだけど、かけがえのないもの。ありったけの想いを。

  • 手帳の佇まい

    手帳は内面も外見も楽しめる、自分だけの道しるべ。自分探しの旅、終わりなき探究へ。

  • 感謝力

    感謝の気持ちを忘れないよう、何度でも読み返します。

  • その一冊の佇まい

    読書は心の旅路、作者との時空を超えた対話、没頭出来る時間へ。

  • この調べ、ひとひら

    音楽は人生のときどきを記憶し、彩る。

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今年もその季節到来。人それぞれ。〜手帳の佇まい(33)

今年も早くもそんな頃合い。 来年用の手帳の支度。 伊東屋さんの第7回「システム手帳サロン」が6日(金)に本店10階で始まった。 毎年顔を出しているが、ここ数年前の僕の…

葉風弥七
7か月前
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「そんなもんだよ。仕方ないでしょ。」〜無垢な瞳が教えてくれた〜

大型連休明けの通勤電車、 我が身を日常のペースに戻していく。 電車の中で感情がうず巻くときがある…。 今週の車内のこと。 夕方の混雑した時間帯、 出入口付近に私は…

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その狭き空間の、つかの間の彩り

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辿り着いたのは。〜手帳の佇まい(37)

人は生涯、平均して何本の ボールペンを所有するのだろう。 何本のペンを使い果たす、使い切るのか。 職業人になって30数年、 僕は何本のペンを使って来たのか、 いや、お…

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1か月前
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本当に大切なことが残る。〜手帳の佇まい(36)

数年前から、ある業界新聞2社の 連載コラムに寄稿している。 ともに長年お世話になっている 編集者からの頼まれ事だ。 1社は毎月、もう1社は四半期ごと。 ともにどんなテ…

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1か月前
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没頭するということ。

「きっと疲れが溜っているのですよ」 と言われても、 僕には全く自覚がないのであった。 2週間前、背中の肩甲骨の右側に痛みあり。その後、かゆみに変わり、鏡を見ると、 …

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勝負を挑んでくる者達へ、 彼は穏やかに言う 「勝ち負けは本当に必要だろうか」。 そして闘いの結果、彼は勝つ。 というより負けないのだ。 中国武術のひとつ詠春拳。 19…

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「理屈じゃ、ねえんだよ」 と、立川志の輔さんが決め台詞。 龍角散ダイレクトのCMだ。 渋みある声に滋味あり。 僕のオフィスが入るビル、 そのエントランスフロアのコンビ…

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道程の点描

僕が後輩に捧げた詩です。 自分への呟きでもあります。 今日もお読みくださり、 ありがとうございました!!

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今週木曜の夜、同世代の御仁との一席。 かれこれ20年お世話になっている方で、 二人して山形の料理と美酒を堪能した。 酔が進むと彼は少し困っていると打ち明けてきた。 …

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凛として潤い。

60歳を超えているだろうか、 いや年齢は関係ない。 彼女は細身で白髪混じりのショートカット、マフラーを首輪のように巻いている。 読書に没頭しており、ページへの眼光は…

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3か月前
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次へ。そして次へ。

空が低い。 土曜朝にスーパーの屋上から見上げれば、凍てつく1月の天空は白で染められている。 まだらに混ざるグレーが冴え冷え感を深くして、空さえもどこか冬眠している…

葉風弥七
3か月前
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日本漢字能力検定協会が先日、 2023年の漢字は「税」と発表。 世の中の出来事、世相からの一字を 一般公募した結果です。 一方で、人それぞれにも今年の漢字があります。…

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あと2週間余りで今年が終わる。 手帳の2023年の週間スケジュール欄も僅か。 システム手帳のリフィルでは、 2024年版の週間スケジュールに 2023年12月分もついている場合が…

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毎年寒くなると煙草を喫んでいた時分を思い出す。 煙草をやめてから十数年以上が経つ。あの頃、オフィス内に煙草部屋があって、気分転換に、或いは原稿を持って赴いたもの…

葉風弥七
5か月前
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今年もその季節到来。人それぞれ。〜手帳の佇まい(33)

今年もその季節到来。人それぞれ。〜手帳の佇まい(33)

今年も早くもそんな頃合い。
来年用の手帳の支度。

伊東屋さんの第7回「システム手帳サロン」が6日(金)に本店10階で始まった。
毎年顔を出しているが、ここ数年前の僕の関心は新作の付属品(リフィル類等)。

この30数年で20数冊のシステム手帳を買ってきたので、もう本体を新調する必要はない。それより既に我が人生と共に歩いてくれた品々を愛でながら、その本革を熟成させ、つながり(縁)を深めていきたい。

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「そんなもんだよ。仕方ないでしょ。」〜無垢な瞳が教えてくれた〜

「そんなもんだよ。仕方ないでしょ。」〜無垢な瞳が教えてくれた〜

大型連休明けの通勤電車、
我が身を日常のペースに戻していく。

電車の中で感情がうず巻くときがある…。

今週の車内のこと。
夕方の混雑した時間帯、
出入口付近に私は立っていた。
先に乗った方々が奥に行ってくれない。
すると若い女性が乗り込んで
私の背中を押してきた。
そこまでは仕方ない。ここからだ。

その女性はスマホをいじり出し、
その固い形状が私の背中に当たっている。
このコツコツに私のイラ

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その狭き空間の、つかの間の彩り

その狭き空間の、つかの間の彩り

村上春樹さんの原作をもとにした
映画「ドライブマイカー」で、
雇い主のクルマの運転を
仕事とする女性が、
中年の舞台演出家の自家用車を
担当することになる。

急発進や急ブレーキのない、
彼女の安定した運転ぶりを
彼は、賞賛する。
乗っていることを忘れてしまう程、
君は運転が上手いと、
寡黙で笑顔ひとつない彼が言うのだ。

彼は最愛の妻を失い、
ある疑惑と雑念を引きずったまま、
時を過ごしてきた。

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靴。

靴。

一昨日の金曜、
僕は左右異なる靴を履いて
会社に行った。

勿論、意図したわけではない。
早朝玄関できちんと靴を見ずに
出掛けたからだ。

30数年の会社員人生で
初めてのこと。

Clarksのビジネス靴を2足もっており
両方共に黒で細型の形状、
履き心地もよく似ているが
一つはストレートチップ、
もうひとつはプレイントゥ。

東京オフィスの最寄りの駅に
京浜東北線が到着する間際、
どこかぎこち

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辿り着いたのは。〜手帳の佇まい(37)

辿り着いたのは。〜手帳の佇まい(37)

人は生涯、平均して何本の
ボールペンを所有するのだろう。
何本のペンを使い果たす、使い切るのか。

職業人になって30数年、
僕は何本のペンを使って来たのか、
いや、お世話になってきたのか
と考える。

思えば、スマホのメモアプリを使うようになってから、紙にペンを走らせる行為がめっきり減った。とはいえ、大切な人への手紙、自分の思考や感情を整理したいとき、これは貴重だと思える言葉に出くわしたときは、

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本当に大切なことが残る。〜手帳の佇まい(36)

本当に大切なことが残る。〜手帳の佇まい(36)

数年前から、ある業界新聞2社の
連載コラムに寄稿している。
ともに長年お世話になっている
編集者からの頼まれ事だ。

1社は毎月、もう1社は四半期ごと。
ともにどんなテーマで書くかは自由、
かつ、ペンネームでの執筆。
とはいえ浅学非才ゆえ
枯渇しそうな知恵を絞り、悶絶しながら
何とか続けている。

そんな中で、
つくづく実感するのは、
文章作りとは、
決められた文字数内に
如何に収めるかの、
文字

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没頭するということ。

没頭するということ。

「きっと疲れが溜っているのですよ」
と言われても、
僕には全く自覚がないのであった。

2週間前、背中の肩甲骨の右側に痛みあり。その後、かゆみに変わり、鏡を見ると、
赤い発疹が数個、横一列に生じていた。

皮膚科に行くと帯状疱疹だと言う。
ドクターは「この原因はストレス」だと。
飲み薬を処方して頂いた。
会社の産業医に報告したところ
「疲れが溜っているのですよ」と即断された。

ストレス、疲れ。

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本当の強さ。

本当の強さ。

勝負を挑んでくる者達へ、
彼は穏やかに言う
「勝ち負けは本当に必要だろうか」。

そして闘いの結果、彼は勝つ。
というより負けないのだ。

中国武術のひとつ詠春拳。
1930年代〜60年代に
その普及に尽力した伝説の達人がいる。
大師匠と呼ばれた男、葉問(イップマン)。
カンフー映画の大スター、
ブルース・リーの唯一の師匠だ。

そのイップマンを描いた映画
「イップマン3〜継承」を
去年12月にB

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「理屈じゃ、ねえんだよ」

「理屈じゃ、ねえんだよ」

「理屈じゃ、ねえんだよ」
と、立川志の輔さんが決め台詞。
龍角散ダイレクトのCMだ。
渋みある声に滋味あり。

僕のオフィスが入るビル、
そのエントランスフロアのコンビニに
とりわけ腕利きの店員さんがいる。

そのお店で珈琲を注文すると、
カウンター内で店員さんが
操作して淹れてくれる。

その店員さんは、珈琲を頻繁に注文する顧客を把握しており、そのお客さんの来店に気付くと瞬時に珈琲サーバーにカッ

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道程の点描

道程の点描

僕が後輩に捧げた詩です。
自分への呟きでもあります。

今日もお読みくださり、
ありがとうございました!!

沼からの脱出法

沼からの脱出法

今週木曜の夜、同世代の御仁との一席。
かれこれ20年お世話になっている方で、
二人して山形の料理と美酒を堪能した。

酔が進むと彼は少し困っていると打ち明けてきた。

彼が最近50歳代の部下Aさん(女性)と定期面談をしたときのこと。
Aさんは同じ部署の50代女性Bさんの言動が間違っていると主張してきた。
Bさんのやること成すこと、一挙手一投足が気にいらない。Bさんの声が大き過ぎる、男性社員にしか挨

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凛として潤い。

凛として潤い。

60歳を超えているだろうか、
いや年齢は関係ない。

彼女は細身で白髪混じりのショートカット、マフラーを首輪のように巻いている。
読書に没頭しており、ページへの眼光は鋭く、文意の思案ごと口元の表情が小刻みに動く。

今週火曜の帰路の電車で、僕の斜め前に座っていたご婦人のことだ。

僕は凝視していたわけではない。
それをすれば失礼だ。でも気になった。
彼女の何かが、僕の気を引っ張る。

背筋を伸ばし

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次へ。そして次へ。

次へ。そして次へ。

空が低い。
土曜朝にスーパーの屋上から見上げれば、凍てつく1月の天空は白で染められている。
まだらに混ざるグレーが冴え冷え感を深くして、空さえもどこか冬眠している気配。

深呼吸ひとつ、
静かな芽吹きの待ち人となる。

年明けからの震災や事故。
長引く避難を思い、
ペンを持つ気力を失ってしまっていた。

この青白き空を見上げていると、
今を超えれば梅が香り、桜前線が北上し、
澄み切った青空が蘇る。

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浪漫。熱き旅路

浪漫。熱き旅路

日本漢字能力検定協会が先日、
2023年の漢字は「税」と発表。
世の中の出来事、世相からの一字を
一般公募した結果です。

一方で、人それぞれにも今年の漢字があります。この一年を振り返ると、悲喜こもごも、百人百様の一字が。

今年10月8日、歌手の谷村新司さんが逝去。
ファン歴40年以上の僕には痛烈なショック、大きな悲報でした。

谷村さんは「生かされていること…それが旅」と仰っていました。この年

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12月の余白。年末から年始へ〜手帳の佇まい(35)

12月の余白。年末から年始へ〜手帳の佇まい(35)

あと2週間余りで今年が終わる。
手帳の2023年の週間スケジュール欄も僅か。

システム手帳のリフィルでは、
2024年版の週間スケジュールに
2023年12月分もついている場合がある。
要は年末年始同じフォーマットを使えるという配慮からだ。 

また、2024年版の綴じ手帳も同様で、スケジュールページの先頭は2023年12月の1ヶ月か後半である場合が多いようだ。

毎年同じ手帳を使う場合、
この

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別れた理由。煙草のけむりの先

別れた理由。煙草のけむりの先

毎年寒くなると煙草を喫んでいた時分を思い出す。

煙草をやめてから十数年以上が経つ。あの頃、オフィス内に煙草部屋があって、気分転換に、或いは原稿を持って赴いたもの。銘柄はラッキーストライク、Peaceマイルド。

今でも何かを飲んだり食べたりしたとき、これはあのときの煙草のフレーバーと似ていると思う。あの香ばしさが懐かしく蘇る。喫煙者だったからこそ味わえる感覚。

では何故やめたのか。
それを思い

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