荒田詩乃/Shino Arata

聞くこと話すこと、つくること食べることに関心を持つかけだしインタビューライター。畑を耕…

荒田詩乃/Shino Arata

聞くこと話すこと、つくること食べることに関心を持つかけだしインタビューライター。畑を耕すことがよろこび。 / 「たずねる」http://tazu-neru.studio.site /2024.1.16- 1日1記事投稿に挑戦中。

マガジン

  • はんぶんこの日々

    • 3本

    その人の「今」にふれるインタビューサイト たずねる https://tazu-neru.studio.site/ ライター 荒田詩乃が出会った はんぶんこの時間

記事一覧

まずやってみよう、そこから考えよう

昨年から、渋谷にある、常識にとらわれず未来をつくる若者たちを支援する「100BANCH」のマガジンで、プロジェクトに集う若者たちのインタビュー記事を書かせてもらうように…

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蕁麻疹は大変

昨日の夜、6歳の子供の身体の全身に蕁麻疹が出た。私は蕁麻疹を経験したことがないのだけど、出やすい友人に聞いた話では、地獄のような苦しみらしい。掻けばかくほど、全…

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夕暮れの公園で、影の話を

公園で、友人と性愛の話をした。昨年末に起きたお互いのすれ違いからはじまって、半ば喧嘩のようになり、その原因を紐解くうちに、それぞれの性愛に関するコンプレックスの…

かかりつけの歯医者さんが最高だと叫びたい

歯が痛み、歯医者に行ってきた。わざわざ電車に乗って、1時間もかけて通うほどこの歯医者さんが私は大好きだ。虫歯治療は痛いから嫌いだけど、とにかくこの歯医者は感じが…

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今の自分を認めないと、はじまらない

「自分のことを語る記事を読みたくないんだよね」 ちょっと前まで、エッセイが嫌いだと思っていた。誰かが書いたエッセイを読むたびに、背中がどこかむずむずした。「上手…

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好きなものを語る時の表情っていいよね-はんぶんこの日々-

好きな本をわかち合い、つながる私設図書館「はんぶんこ」。 学校司書、絵本専門士、BookCommunicatorとして活動する雪竹ますみさんが、自宅のリビングでひらく文庫。本棚…

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苦手なのに、どうして書くことが好きなんだろう -書くワークショップβで考えていたこと-

「今日はこれからどちらに泊まるんですか」インタビューの面白さを教えてくれた西村佳哲さんが、新たに「書くワークショップβ」を開催する。そう聞いて、9月の半ばに岩手…

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さっちゃんがやってきた雨の日「はんぶんこの日々」

本でひととひとをつなぐ私設図書館「はんぶんこ」は、「あなたにとって一番の本」というコンセプトで寄贈された本が集まった私設図書館。ブックコミュニケーター・学校司書…

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逆再生する瞬間の福音 スペースノットブランク「セイ」をみた

「スペースノットブランク」は、二人組の舞台作家である小野彩加と中澤陽のコレクティブである。既成概念に捉われず、新しい仕組みを研究開発しながら舞台芸術の在り方と価…

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世界は愛でできている:愛をめぐる小さな対話「佐藤純平さん」

最近、大人の自由研究のような素敵な集まりの場に参加をさせてもらっています。 「はしらずとも」と名付けられたその場所では、各自が関心があることをテーマに取り上げて…

2022年の私に起きた、素晴らしいこと

今日は大晦日。2022年の私に起きた素晴らしい出来事を急ぎ足で振り返ってみる。 畑を耕すことに助けられた仕事を辞めて、これまでやってきたことを全部自分がダメにしてし…

「痛み」をみつめていく。その先に。

生きていると、ときどきぽかりと「不安」や「さみしさ」を感じることがある。 それはまるでぽかんと口をあけた真っ暗な穴のようで。その穴を見つめるのがこわくて、なんと…

その関心を、相手にそっと向けてみる

私は、人の語りを聞き、書くことが好きだ。 惹かれる理由のひとつに、聞くことを通して、自分自身や人との付き合い方が変化してゆくことがある。 変えようとして、意識的…

「約束」を知ることで、世界をひもといてゆく

人生で一番最初にした「約束」はいつだろうか? たくさんの約束を交わして私達は生きている。 「週末の金曜19時に新宿駅東南口の改札出た所で待ち合わせね」というデート…

まずやってみよう、そこから考えよう

まずやってみよう、そこから考えよう

昨年から、渋谷にある、常識にとらわれず未来をつくる若者たちを支援する「100BANCH」のマガジンで、プロジェクトに集う若者たちのインタビュー記事を書かせてもらうようになった。これが本当に面白くて、途上国の支援を志す社会起業家、古着をリメイクするデザインAIを開発しているエンジニア、培養肉の研究者、火星探査機ローバーの世界大会を目指している未来の宇宙飛行士など、毎回刺激的でほんとうに素敵な人たちな

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蕁麻疹は大変

蕁麻疹は大変

昨日の夜、6歳の子供の身体の全身に蕁麻疹が出た。私は蕁麻疹を経験したことがないのだけど、出やすい友人に聞いた話では、地獄のような苦しみらしい。掻けばかくほど、全身にみみずばれのような蕁麻疹が広がっていく。夜だから皮膚科はやっていない。「かゆいかゆい!」と騒ぐ息子に、患部を冷やすアイスノンを渡しながら、無力さをかみしめていた。

思い返してみれば、子どもがまだ4歳の頃にもよく蕁麻疹が出ていた。お医者

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夕暮れの公園で、影の話を

夕暮れの公園で、影の話を

公園で、友人と性愛の話をした。昨年末に起きたお互いのすれ違いからはじまって、半ば喧嘩のようになり、その原因を紐解くうちに、それぞれの性愛に関するコンプレックスの話に移っていった。

それぞれの価値観を受け入れるようなやさしい時間ではなかった。けれど、背景に持っているものの話を聞いたときに、その人の存在が自分の中で濃くなった実感があった。「だからあなたはあのときこう思っていたのね」と、私と全然別のも

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かかりつけの歯医者さんが最高だと叫びたい

かかりつけの歯医者さんが最高だと叫びたい

歯が痛み、歯医者に行ってきた。わざわざ電車に乗って、1時間もかけて通うほどこの歯医者さんが私は大好きだ。虫歯治療は痛いから嫌いだけど、とにかくこの歯医者は感じがいい。最高だ。

生まれつき永久歯が人より少なくて、カバーしようと子供の頃に行った矯正が失敗したこともあって、歯医者探しには人一倍苦労してきた。苦戦しながら探して、3年ほど前に出会った。

今日もやっぱりよかった。治療を終えた歯はまだ鈍く痛

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今の自分を認めないと、はじまらない

今の自分を認めないと、はじまらない

「自分のことを語る記事を読みたくないんだよね」

ちょっと前まで、エッセイが嫌いだと思っていた。誰かが書いたエッセイを読むたびに、背中がどこかむずむずした。「上手なわけでもないし、人に話して聞かせるほどの経験でもないのに、よく書けるよね」と心の中で毒づくこともあった。我ながら性格が悪すぎる。

「エッセイ、書いてみたら?」と言われることもあった。でも、そのたびに、自分のことはあまり書きたくないんだ

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好きなものを語る時の表情っていいよね-はんぶんこの日々-

好きなものを語る時の表情っていいよね-はんぶんこの日々-

好きな本をわかち合い、つながる私設図書館「はんぶんこ」。

学校司書、絵本専門士、BookCommunicatorとして活動する雪竹ますみさんが、自宅のリビングでひらく文庫。本棚には、様々な方が寄贈してくださった「一番の本」が並んでいます。

大切な本を携えて、今日も「はんぶんこ」にゲストがやってきました。美味しいコーヒーと共に流れる時間と、おしゃべりをおすそわけします。

好きなものについて、話

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苦手なのに、どうして書くことが好きなんだろう -書くワークショップβで考えていたこと-

苦手なのに、どうして書くことが好きなんだろう -書くワークショップβで考えていたこと-

「今日はこれからどちらに泊まるんですか」インタビューの面白さを教えてくれた西村佳哲さんが、新たに「書くワークショップβ」を開催する。そう聞いて、9月の半ばに岩手県の陸前高田に向かった。高速バスで早朝に到着し、街を見て回ったあと、まだ集合まで時間があるなとお昼に入った寿司屋でたずねられた。「今日はこれからどちらに泊まるんですか」

親切そうな店員さんが優しい表情でこちらを見ている。「あー‥」と少し口

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さっちゃんがやってきた雨の日「はんぶんこの日々」

さっちゃんがやってきた雨の日「はんぶんこの日々」

本でひととひとをつなぐ私設図書館「はんぶんこ」は、「あなたにとって一番の本」というコンセプトで寄贈された本が集まった私設図書館。ブックコミュニケーター・学校司書のますみさんが、おうちをひらいています。

こんにちは。「はんぶんこ」記録係のしのです。お客さんと一緒におしゃべりを楽しみながら、起きた出来事を記録しています。「はんぶんこ」で交わされたお話と雰囲気をあなたにおすそわけ。本日は、5月19日に

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逆再生する瞬間の福音 スペースノットブランク「セイ」をみた

逆再生する瞬間の福音 スペースノットブランク「セイ」をみた

「スペースノットブランク」は、二人組の舞台作家である小野彩加と中澤陽のコレクティブである。既成概念に捉われず、新しい仕組みを研究開発しながら舞台芸術の在り方と価値を探究している。環境や関係により生じるコミュニケーションを創作の根源とし、作品ごとに異なるアーティストとのコラボレーションを積極的に行なっている。「セイ」は、原作をゆうめい主宰である池田亮が担当する「メグハギサーガ」3部作の三作目。私自身

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世界は愛でできている:愛をめぐる小さな対話「佐藤純平さん」

世界は愛でできている:愛をめぐる小さな対話「佐藤純平さん」

最近、大人の自由研究のような素敵な集まりの場に参加をさせてもらっています。

「はしらずとも」と名付けられたその場所では、各自が関心があることをテーマに取り上げて、それぞれが調べたり探求したり話したり。

私がテーマとして選んだのは「愛することについて」
愛すること、特に自分を愛することがどうしてこんなに難しいのだろう。

いい大人になって「愛がよくわからない」と言う自分に一抹の恥ずかしさを覚えな

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2022年の私に起きた、素晴らしいこと

2022年の私に起きた、素晴らしいこと

今日は大晦日。2022年の私に起きた素晴らしい出来事を急ぎ足で振り返ってみる。

畑を耕すことに助けられた仕事を辞めて、これまでやってきたことを全部自分がダメにしてしまった気がして、後悔と不安と焦りでいっぱいの私を助けてくれたのが畑だった。

行く場所なんてないし、この先何をしたらいいかわからない。

でも、畑に行くと、里芋の葉っぱが風に揺れていた。茄子の葉が日の光を浴びて気持ちよさそうにしていた

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「痛み」をみつめていく。その先に。

「痛み」をみつめていく。その先に。

生きていると、ときどきぽかりと「不安」や「さみしさ」を感じることがある。

それはまるでぽかんと口をあけた真っ暗な穴のようで。その穴を見つめるのがこわくて、なんとか埋めようと、必要以上に食べてみたり、身体を傷つけてみたり、仕事を必要以上に頑張ってみたり、恋人に自分のさみしさを埋めてもらおうとしたり。

私はそうやって「痛み」を見ないふりをして、でも「痛み」に散々振り回されて、これまで生きてきました

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その関心を、相手にそっと向けてみる

その関心を、相手にそっと向けてみる

私は、人の語りを聞き、書くことが好きだ。

惹かれる理由のひとつに、聞くことを通して、自分自身や人との付き合い方が変化してゆくことがある。

変えようとして、意識的に変えているわけではない。だけど、気づくと変わっている。

自分を追い詰めていた癖が、人の話を聞くうちに、知らぬ間にほどけていってしまう。ほどけたあとに、ああ、私はこんな癖を持っていたのだと気づいたりもする。

なぜだろう。聞くことには

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「約束」を知ることで、世界をひもといてゆく

「約束」を知ることで、世界をひもといてゆく

人生で一番最初にした「約束」はいつだろうか?

たくさんの約束を交わして私達は生きている。
「週末の金曜19時に新宿駅東南口の改札出た所で待ち合わせね」というデートの約束から、「このお金でこの仕事を期日までにやりますよ」と書面を交わす契約まで、日々たくさんの約束をする。美容室や居酒屋をネットで予約することもある。発売日に確実にコミックを手に入れるために、書店で事前予約することもあるかもしれない。目

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