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思考の記録

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日々流れていく思考の断片
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ガジュマルと春の曲

ガジュマルと春の曲

2年前の夏、ガジュマルの鉢植えを購入した。重く暗い気持ちになる出来事が遠くで起きてしまった日だった。その重たい印象のまま一日が終わっていくのが嫌で、何か少しでも気分の上がることをしようと思い、用事を済ませた帰りにたまに立ち寄る雑貨屋さんをのぞいた。

店先のテーブルの上に並んだ観葉植物の中に、そのガジュマルはいた。一目見ていいなと思った。幹の形も葉の付き方も、優しいアースカラーの陶器の鉢も、全てが

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秋と日記と振り返り

秋と日記と振り返り

10月も中旬になり、今年も残すところあと3か月を切った。早いなぁと思う一方で、何となくこの時間の経過の速さに慣れてきている感覚もある。そうそう、これくらいで過ぎ去っていくよね、という感じ。

一年の総括をするには少し早いけど、年末に総括をする時間を取るのもなかなか難しいものだなと去年改めて感じた。終わりが見えてくると(実際に何かが終わるわけではないんだけど)なぜか気持ちが焦って、ゆっくりと腰を据え

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自分を知る旅

自分を知る旅

人生は自分を知る旅なのだなあとつくづく思う。

出会う人、音楽、映画、小説、景色、言葉、などなど。その中で好きになるもの、苦手だなあと思うもの、ただ受け止めるもの、特別な存在になるもの。数え切れないほどたくさんのものに出会いながら、知らなかった感情を知って、新たな自分の一面を知って、少しずつ広がっていく。自分を知る旅というか、広げていく旅なのかもしれない。

2022年を振り返ると、余裕を持ちたい

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言葉の温度

言葉の温度

何だか気持ちが疲れている。そんなに大した疲れではないけれど、明らかに先週以前の自分と比べてどっと疲れている。急に夏の終わりが顔をのぞかせて気温が下がったりしたことも少し関係があるのかもしれない。

ささやかな楽しいこと、嬉しいことは日々あれど、流れてくるひどいニュースやモヤモヤする言葉のあれこれに、着実に心が削られているのもあるだろう。深く考えずにやり過ごそうとしても、心が削られているという事実は

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未来はわからない、ということ

未来はわからない、ということ

私はもともと、「自分の未来がどうなるかわからないこと」が楽しみだと、どこかのんきに思えてしまう性質を持ち合わせている。特別な自信も根拠もないのにそう思ってしまうので、これはもう本当に性質としか言えないだろう。

最近、改めて「(未来のことは)わからない」という言葉にいい意味で引っ掛かることが3回ほど続いたので、この言葉に感じていたことを書き留めておこうと思う。別に何の変哲もない言葉だけど、これだけ

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夜の窓

夜の窓

時刻は深夜3時すぎ。また寝るのが遅くなってしまったなあと思いながら、換気のために開けておいた寝室の窓を閉める。

この部屋から見る夜の町の眺めが好きだ。東京の町の灯りはカラフルで、だけど夜空はしっかり暗くてほんのり怖くて寂しげで、その対比が好きなんだと思う。暗闇の中の人工的な明るさに何だかほっとする。寝ていてもいいし、起きていてもいいんだよと言われてるみたいだ。

辺りはしんとしている。

遠くに

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言葉を大切にすること

言葉を大切にすること

◆はじめに「#自分にとって大切なこと」というテーマで真っ先に浮かんだのは「言葉を大切にする」ということだ。その「大切にする」を具体的に言うと大きく分けて3つある。

1. 他人の言葉で満足せず自分で言語化すること。
2. 言葉の暴力性を忘れずに、心に誠実な言葉を紡ぐこと。
3. 目の前の言葉に自覚的であること。

どういうことなのか、1つずつ詳しく書いてみたい。どれも私にとって本当に大切なことだ。

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過去の自分の言葉が未来で放つふしぎな魅力

過去の自分の言葉が未来で放つふしぎな魅力

先日、久しぶりにFacebookを開いて自分の過去の投稿を読み返してみた。楽しかったことや悲しかったことや何となく感じたこと、考えたことをシンプルに綴っていて、友達とのコメントでのやりとりも「今の私ならこうは返さないだろうなぁ」と思う言葉たちが並んでいて、少しの驚きを覚えつつ同時に微笑ましくも感じた。

6年前、7年前、8年前の自分の言葉。(私がFacebookをよく使っていたのはこの3年だけだっ

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今の私につながる部屋

今の私につながる部屋

初めての1人暮らしが始まった日の朝のことを、昨日のことのように覚えている。

目が覚めると、まだ見慣れない天井と、日に透けた黄色いカーテンが視界に入った。ベッドに入ったまま右を向くと南向きの大きな窓があり、その薄い黄色のカーテン越しに、朝の光が柔らかく揺れていた。それを見て、自然と口元がほころぶ。

足元のテレビラック、部屋の中央のローテーブル、壁際の小ぶりの本棚。その1つ1つを、少しぎこちない距

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『私はロボットではありません』

『私はロボットではありません』

唐突にその言葉がパソコン画面に現れたのは、納期に追われてものすごい勢いで調べ物をしていたときのことだった。

Google Chromeのタブをいくつも開き、キーワードとなる英語を次々と組み合わせて調べていく。文字どおり手を休めることなく動かし続けていたそのとき、それは現れた。

『私はロボットではありません』

通常と異なるトラフィックが検出されました、という文言と共に、ロボットではないこと

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自分という不思議な生きもの

自分という不思議な生きもの

録画しておいた上野千鶴子さんの情熱大陸を見た。今年の4月に東京大学の入学式の式辞で現代社会の性差別問題に触れて大きく話題になった方だ。

ジェンダー関連の話題には日頃から高い関心を持っている(1人の女性として持たざるを得ないとも言える)けれど、今回はそういう観点で何かを書きたくてnoteを開いたわけではない。その番組を見たときに感じたあることが今またふっと脳裏をかすめたので、簡単に書き残しておこう

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自分なりの「クリエイティブ」とコンテスト入賞 #noteでよかったこと

自分なりの「クリエイティブ」とコンテスト入賞 #noteでよかったこと

まえがき ~noteの印象~noteならではの特徴って何だろう、と考えてみた時に、否定的かつ一方的なコメントが付いている記事を見たことがないな、と思った。私の見ている範囲ではほとんどないと思うのだけど、どうだろうか。

他人の投稿のコメント欄に、思いの詰まった素敵な感想を残してくれる人はいても、本文と関係ない独り言みたいな個人の見解をダラダラと述べるような人は圧倒的に少ない気がする。それだけで、n

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就活で「会社選び」に終始していた私は、社会人になってから「生き方選び」をし直した

就活で「会社選び」に終始していた私は、社会人になってから「生き方選び」をし直した

1.就職活動の波にのまれてふと気づけば周りは就職活動を始めていた。

あの時、私は訳の分からぬまま大きな波にのまれ、とにかく周りと同じように「就活」を始めなければという焦りに突き動かされていたと思う。「大学卒業後に働く会社」を早く選ばなければと焦っていた。

その時点で、自分が選択肢を狭めていることにも気づかずに。

就活にはだいぶ苦労した。自分が何をしたいのか、全く分からなかったからだ。

正確

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ファーストデートが教えてくれたこと

ファーストデートが教えてくれたこと

◆「好き」が分からない大学生になり、3つ年上のあの人に出会うまで、誰かをちゃんと好きになったことがなかった。

別に恋に興味がないわけではなかった。でも「人を好きになる」ということがどんな気持ちなのか、本当にずっと分からなかったのだ。

高校生になると、好きな人ができない自分は人間的に欠陥があるんじゃないかと少し不安になり始めた。中学生のころより周りにいる男子の顔つきや体格も男性らしくなり、異性を

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