西中賢治

編集、批評/『アラザル』『ア美研』同人(撮影=川島小鳥)◆よかったら記事への「いいね」…

西中賢治

編集、批評/『アラザル』『ア美研』同人(撮影=川島小鳥)◆よかったら記事への「いいね」とアカウントのフォローをお願いします。◆日々の鑑賞メモはXにて【https://twitter.com/kenjinishinaka/

記事一覧

文学フリマへの批判と提言

 2024年5月19日に、『アラザル』の新刊となる16号を発行します。「政治」を特集した13号(2020年発売)に続き、2度目の特集号として「経済」をテーマに制作しました。昨今…

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3日前
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ウンゲツィーファ『動く物』2024

《Documenting20240419》 ウンゲツィーファ『動く物』2024 於:PARA  「ウンゲ演劇集 ふたりぼっちの星」という企画名で、新作『旅の支度』と2本同時上演。この『動く物…

西中賢治
3週間前
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ルサンチカ 野外公演『更地』

《Documenting20240325》 ルサンチカ 野外公演『更地』 於:都立戸山公園  新宿区の戸山公園にて、太田省吾の戯曲『更地』(1992年初演)を上演。このあたりは学生時代に…

西中賢治
1か月前
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THE COPY TRAVELERS「THE COPY TRAVELERSのトッピングシャワー」

《Documenting20240225》 THE COPY TRAVELERS 「THE COPY TRAVELERSのトッピングシャワー」 於:東葛西1-11-6-A倉庫  THE COPY TRAVELERS(以下コピトラ)に関しては、20…

西中賢治
2か月前
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中平卓馬 火―氾濫

《Documenting20240209》 『中平卓馬 火―氾濫』 於:東京国立近代美術館  中平卓馬の写真の歴史を、それが掲載された雑誌や個展の展示再現を軸に見せる回顧展。独立した…

西中賢治
3か月前
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神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』 2024

《Documenting20240110》 神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』 2024 於:イイノホール(2024年1月5日〜10日上演)  確か2021年以来の生伯山。連続読みとなると神田松之…

西中賢治
4か月前
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岡﨑乾二郎「頭のうえを何かが」

《Documenting20231221》 岡﨑乾二郎「頭のうえを何かが」 於:南天子画廊  アラザル同人の前田礼一郎と銀座ギャラリー巡り。いわゆる「ア美研」と我々が呼んでいる会。…

西中賢治
4か月前
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折坂悠太 らいど 2023/小栗康平『眠る男』

《Documenting》20230929 折坂悠太 らいど 2023 於:昭和女子大学 人見記念講堂  2023年の折坂悠太ツアー最終公演。音楽活動10周年を記念した今回のツアーは、ここ数年…

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7か月前
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豊岡演劇祭2023 安住の地『かいころく』/市原佐都子×岡田利規×相馬千秋×平田オリザ『国境を超えた創造性』

《Documenting》20230918 豊岡演劇祭2023 安住の地『かいころく』 於:日本基督教団 但馬日高伝道所 (2023年9月18日11時30分の回) 市原佐都子×岡田利規×相馬千秋×平田…

西中賢治
8か月前
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豊岡演劇祭2023 福井裕孝『インテリア』/y/n『カミングアウトレッスン』

《Documenting》20230917 豊岡演劇祭2023 福井裕孝『インテリア』 於:豊岡市民会館 ギャラリー (2023年9月17日12時30分の回) y/n『カミングアウトレッスン』 於:芸術文…

西中賢治
8か月前
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豊岡演劇祭2023 ぱぷりか『柔らかく揺れる』/Q『弱法師』

《Documenting》20230916 豊岡演劇祭2023 ぱぷりか『柔らかく揺れる』 於:豊岡市民プラザ (2023年9月16日11時の回) Q『弱法師』 於:城崎国際アートセンター (2023年9…

西中賢治
8か月前
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ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』

《Documenting》20230914 ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』 於:アトリエ春風舎 (2023年9月14日・20時の回を観覧)  作・演出を務める本橋龍の育児…

西中賢治
8か月前
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Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展/民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある/大友克洋全集『AKIRAセル画展』

《Documenting》20230809 Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展 於:大阪中之島美術館  新宮晋の30cm〜数メートルのモビールが大量に展示されていた。…

西中賢治
8か月前
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お布団「ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス」

《Documenting》20230721 お布団「ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス」@アトリエ春風舎(7月21日14時の回)  私はお布団の公演を1本か2本し…

西中賢治
10か月前
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『君たちはどう生きるか』メモ ※ネタバレ注意

《Documenting》20230714 『君たちはどう生きるか』メモ ※ネタバレ注意。未見の方は読まない方がいいです。 ●ストーリー ・塔の中は一族の者それぞれの内面世界。大叔…

西中賢治
10か月前
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青年団第94回公演『ソウル市民』

《Day Critique》163 青年団第94回公演 『ソウル市民』 作・演出:平田オリザ @こまばアゴラ劇場(2023年4月15日15時の回)  『ソウル市民』は、1994年初演の『東京ノ…

西中賢治
1年前
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文学フリマへの批判と提言

 2024年5月19日に、『アラザル』の新刊となる16号を発行します。「政治」を特集した13号(2020年発売)に続き、2度目の特集号として「経済」をテーマに制作しました。昨今の物価高や円安、税制改正によって、お金の問題が生活の中で大きくなっているこのタイミングで、同人それぞれがお金について考えたエッセーを掲載しています。

https://x.com/arazaru/status/1790958

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ウンゲツィーファ『動く物』2024

ウンゲツィーファ『動く物』2024

《Documenting20240419》
ウンゲツィーファ『動く物』2024
於:PARA

 「ウンゲ演劇集 ふたりぼっちの星」という企画名で、新作『旅の支度』と2本同時上演。この『動く物』の初演は2016年で、再演時にリライトしたものをベースにすでに何度か上演している劇団の代表作だという。私は初見。

 舞台は若いカップルが同棲するワンルーム。「毎日休みみたいなもん」で暇を持て余している男と

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ルサンチカ 野外公演『更地』

ルサンチカ 野外公演『更地』

《Documenting20240325》
ルサンチカ 野外公演『更地』
於:都立戸山公園

 新宿区の戸山公園にて、太田省吾の戯曲『更地』(1992年初演)を上演。このあたりは学生時代によく散策したが、かつては尾張徳川家の下屋敷が、戦前・戦中には陸軍戸山学校が置かれていた場所である。園内は人工的な地形の中に史跡が点在する箱庭的空間で、歩いていると時空が歪むようなトリップ感を味わえた。

 中でも

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THE COPY TRAVELERS「THE COPY TRAVELERSのトッピングシャワー」

THE COPY TRAVELERS「THE COPY TRAVELERSのトッピングシャワー」

《Documenting20240225》
THE COPY TRAVELERS
「THE COPY TRAVELERSのトッピングシャワー」
於:東葛西1-11-6-A倉庫

 THE COPY TRAVELERS(以下コピトラ)に関しては、2019年のMOTアニュアルなどのグループ展で何度か見ていたが、個展を見るのは初めて。今回の展示は、昨年12月に青森の八戸で見た山車の制作現場が発想源になっ

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中平卓馬 火―氾濫

中平卓馬 火―氾濫

《Documenting20240209》
『中平卓馬 火―氾濫』
於:東京国立近代美術館

 中平卓馬の写真の歴史を、それが掲載された雑誌や個展の展示再現を軸に見せる回顧展。独立した一点のプリントを並べて見せるのではなく、発表された媒体、環境を含めて見せようというところがまずもって素晴らしかった。雑誌『現代の眼』編集者として出発した中平にとって、写真とはそれについて言葉で考え、撮ったものをどのよ

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神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』 2024

神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』 2024

《Documenting20240110》
神田伯山 新春連続読み『畔倉重四郎』 2024
於:イイノホール(2024年1月5日〜10日上演)

 確か2021年以来の生伯山。連続読みとなると神田松之丞時代に行なわれた2019年の『慶安太平記』以来で、完全抽選の今回もあまり期待はしていなかったが当選した。結局、前夜祭と連続読み初日の一〜四話を干してしまったが、あいかわらず超人的な言語能力を体感でき

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岡﨑乾二郎「頭のうえを何かが」

岡﨑乾二郎「頭のうえを何かが」

《Documenting20231221》
岡﨑乾二郎「頭のうえを何かが」
於:南天子画廊

 アラザル同人の前田礼一郎と銀座ギャラリー巡り。いわゆる「ア美研」と我々が呼んでいる会。お目当ては南天子画廊で開催中の岡崎乾二郎の個展で、2021年10月に重篤な脳梗塞によって倒れた岡崎が入院中に描いていたドローイングと、最近作った陶土の立体などが展示されていた。
 ドローイングに描かれているのは「ポンチ

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折坂悠太 らいど 2023/小栗康平『眠る男』

折坂悠太 らいど 2023/小栗康平『眠る男』

《Documenting》20230929

折坂悠太 らいど 2023
於:昭和女子大学 人見記念講堂

 2023年の折坂悠太ツアー最終公演。音楽活動10周年を記念した今回のツアーは、ここ数年取り組んできたバンド編成の「重奏」ではなく、ソロの弾き語りによる「独奏」スタイル。
 人見記念講堂の広いステージの中央に、シェードランプ、椅子、衝立、ローテーブル、そしてアコースティックギターが置かれてい

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豊岡演劇祭2023 安住の地『かいころく』/市原佐都子×岡田利規×相馬千秋×平田オリザ『国境を超えた創造性』

豊岡演劇祭2023 安住の地『かいころく』/市原佐都子×岡田利規×相馬千秋×平田オリザ『国境を超えた創造性』

《Documenting》20230918
豊岡演劇祭2023
安住の地『かいころく』
於:日本基督教団 但馬日高伝道所
(2023年9月18日11時30分の回)
市原佐都子×岡田利規×相馬千秋×平田オリザ
『国境を超えた創造性』
於:豊岡市民プラザ 交流サロン
(2023年9月18日13時30分〜)

 私の豊岡最終日は安住の地『かいころく』。関西で活動する劇団/アーティストグループの安住の地は

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豊岡演劇祭2023 福井裕孝『インテリア』/y/n『カミングアウトレッスン』

豊岡演劇祭2023 福井裕孝『インテリア』/y/n『カミングアウトレッスン』

《Documenting》20230917
豊岡演劇祭2023
福井裕孝『インテリア』
於:豊岡市民会館 ギャラリー
(2023年9月17日12時30分の回)
y/n『カミングアウトレッスン』
於:芸術文化観光専門職大学 C311教室
(2023年9月17日15時の回)

 豊岡演劇祭参加2日目。まずは福井裕孝の構成・演出による『インテリア』。市民会館の多目的室のような一室の中に、白テープで区切ら

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豊岡演劇祭2023 ぱぷりか『柔らかく揺れる』/Q『弱法師』

豊岡演劇祭2023 ぱぷりか『柔らかく揺れる』/Q『弱法師』

《Documenting》20230916
豊岡演劇祭2023
ぱぷりか『柔らかく揺れる』
於:豊岡市民プラザ
(2023年9月16日11時の回)
Q『弱法師』
於:城崎国際アートセンター
(2023年9月16日14時の回)

 2019年からスタートした豊岡演劇祭に初参加。豊岡は「東京からもっとも時間のかかる土地」と言われているそうで、前日の金曜日に電車で6時間かけて前のり。
 最初に観劇したの

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ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』

ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』

《Documenting》20230914
ウンゲツィーファ『リビング・ダイニング・キッチン』
於:アトリエ春風舎
(2023年9月14日・20時の回を観覧)

 作・演出を務める本橋龍の育児経験をもとにした作品だという。とてもいい芝居だと思った。

 アクティングスペースにはごく一般的なLDKの部屋が再現されており、キッチンやソファやテーブルといった家具の他に、子供の玩具やさまざまな植物がそこか

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Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展/民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある/大友克洋全集『AKIRAセル画展』

Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展/民藝 MINGEI―美は暮らしのなかにある/大友克洋全集『AKIRAセル画展』

《Documenting》20230809
Parallel Lives 平行人生 — 新宮 晋+レンゾ・ピアノ展
於:大阪中之島美術館

 新宮晋の30cm〜数メートルのモビールが大量に展示されていた。シンプルな幾何学形態の美しさもさることながら、わずかな風でそれが信じられないほど滑らかに動くのにびっくり。造形と物理学の止揚。
 レンゾ・ピアノの方は作例の写真とちょっとしたコメントのみで資料性が

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お布団「ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス」

《Documenting》20230721
お布団「ザ・キャラクタリスティックス/シンダー・オブ・プロメテウス」@アトリエ春風舎(7月21日14時の回)

 私はお布団の公演を1本か2本しか観たことがない上に、演劇を十全に味わう知識も経験値もないので、たぶん面白ポイントを取りこぼしている部分もあるだろう。しかし知人がこぞって絶賛しているだけに、批判的な意見もどうしても記録しておきたくなった。
 ま

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『君たちはどう生きるか』メモ ※ネタバレ注意

《Documenting》20230714
『君たちはどう生きるか』メモ

※ネタバレ注意。未見の方は読まない方がいいです。

●ストーリー
・塔の中は一族の者それぞれの内面世界。大叔父は石(知識/自己完結した論理の象徴)と契約して積み木を積んでいる。義母も息子とそりが合わず産場にこもろうとする。
・登場時の主人公は頭を割って嘘をつくような「弱さ」があった。塔の中で成長し(インコ=敵=肥大化した自

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青年団第94回公演『ソウル市民』

青年団第94回公演『ソウル市民』

《Day Critique》163

青年団第94回公演
『ソウル市民』
作・演出:平田オリザ
@こまばアゴラ劇場(2023年4月15日15時の回)

 『ソウル市民』は、1994年初演の『東京ノート』より先立つこと5年、1989年に初演された青年団の初期代表作。作・演出の平田オリザは、今回の当日パンフに以下のような文章を寄せている。

「『ソウル市民』は1989年に初演された作品です。当時、私た

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