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HA~HA 永遠が流れる時間
自分の身体に比べれば、まだ不格好に見えるほど大きなランドセルを背負って、理由もなく笑い、理由もなくどこかへ走りまわっていた頃。
その日、暖かでとてもよく晴れた空の下にもかかわらず、僕は自分ではどうにもならない何かに傷ついて、小学校からの帰り道、終始俯いたままでいつもとは違う道を歩いていた。
気がつけば、周りの風景はいつも僕が見慣れた景色とは全く違った、ただ白い壁がどこまでも続いていくように
『アヒル口の酒の妖精』〜愛すべき人々(三)〜
自宅近くの寿司屋のカウンターの隅に座っていたアヒル口の酒の妖精は、随分と久しぶりに出逢ってもやはり、相変わらずに美しい佇まいだった。
挨拶もそこそこに、空けて待ってくれていた右隣の椅子に座った瞬間、店内の男性客たちのまるで、ジロリという音が一斉に聞こえてくるような視線に思わずたじろいでしまった。
むべなるかな、女性客のひとり飲みの姿は美しい。
その立ち居振る舞いで、性格や男の趣味、生い立ち
『彼女の髪が肩まで伸びたなら(三)』
「昨日は悪かったな」
携帯電話への友人からのメッセージの着信音で目覚めると、すでに部屋のカーテンからは朝の日差しが入り込んでいた。
「いや、全然。逆に楽しく過ごせたよ」
まだ少し寝ぼけた頭で返信を打ち、ベッドから起き上がった。
「なんだ?なんかうまいことやりやがったな」
「ご想像にお任せします」
「ちぇ~っ、人が仕事で忙しいのによぉ」
メッセージを見ながら、ふっ、ふっと笑い、目覚めのコーヒー