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読んだ本、読みたい本。 漫画や本の話題多めの日のこと。
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喫茶店から一歩も動けない

喫茶店から一歩も動けない

夏、暑い、夏、暑い。
夏と暑がおなじ漢字に見えてきて、夏。

暑いということがすべてを凌駕して、今なにか優しい言葉をかけられたら容易に泣いてしまいそうなほどに身体がやられている。

せっかく神戸に来たのに。
行きたい本屋さんがたくさんあるのに。
本棚を眺める目が滑って、額から流れる雫ばかりが気になる。本棚に集中できないことがくやしくて、ああ、夏…と思う。

本屋めぐりのはずが、涼しいところをもとめ

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空っぽに見える夜

空っぽに見える夜

夜、ベッドで本を読んでいると、シピがお腹の上にやってきて眠りだした。安心する匂いとあたたかさにつつまれて、わたしも本を片手にうとうとと気づけば眠っていた。

隣のキッチンから、ぐぉんぐぉんの後に、ぽっぽっぽっぽっ、カランカラン、という音が順番に聞こえて目を覚ます。23時30分。同居人が夜な夜な電動ミルで豆を挽き、アイスコーヒーを淹れる音。「わたしもー」とすこし声をはるも届かない。仕方なくシピをおろ

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新しいものに息切れ

新しいものに息切れ

春は新しいものがどしどし作られる季節なので、家にこもってデザインすることが多いわたしも、撮影や取材などで外出が増える。そうすると、日頃、寝かせている体力をふんだんに使うこととなり、きっちり眠くなるので寝る前に開いた本は数ページ足らずで閉じられることとなる。(それは不服)

そんな中、移動中に読んでいた若林正恭の紀行エッセイ『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』がおもしろい。

若林が、資本主

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瞬間、瞬間、瞬間

瞬間、瞬間、瞬間

昨年の秋ごろまで働いていた会社の同僚ふたりと、春が来たら会おうね、それまではそれぞれにがんばろうねと約束していた。

朝は選挙へ行くので昼からでもいい?と連絡を入れてすぐに、ふたりのうちのひとりAは海外から日本へ来ているので参政権がないのだということに思い至り、落ち込む。ぽろっと発した言葉がもしかしたら誰かへの暴力になっているかもしれないと、いつも気をつけているつもりなのに、やってしまう。

そん

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日曜日の読書

日曜日の読書

朝、窓からそよそよと風が入りこみ、きもちのいい薄い青空に雲が浮かんでいた。昨日買ったプレーンとくるみのデニッシュを両方とも薄く切って軽めに焼き、アールグレイの紅茶をとぽぽと注ぐ。デニッシュはかりっふわっと口の中でうれしい。

同居人と日がな一日、窓際のソファの肘掛けの両側にもたれて向かい合わせに座り、本を読んだり、映画を観たり、音楽を聴いたり、おかしな踊りを披露したり、ときどき猫を愛でて過ごす。ベ

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本作りは壮絶。

本作りは壮絶。

今は書籍デザインの仕事を二冊ほど抱えていて、うれしい反面、締め切りに追われながら作家さんと編集さんと励まし合いながらひぃひぃ言っている。

毎日、明け方の4時頃にここまで書きました…いったん仮眠します……などとメールがきていて、寝てーーー!!!となりながら、でもやはり文章が届かないことには編集さん、校閲さんのチェック、文章に合わせたイラストの制作、そしてわたしの組版や修正が追いつかないし、さらには

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あの頃、夢見た世界

あの頃、夢見た世界

もうすぐ「ハリーポッターレガシー」というゲームのプレステ4版が発売される。普段はめったにゲームをしないけど、同居人がこれならすきなんじゃない?と教えてくれて以来ずっと、やるのを心待ちにしている。夏には東京に、ハリーポッターの舞台裏を体験できるパークもできるらしい。昔から母親が大のハリーポッター好きなので、その影響で自然とわたしも大好きになった。人が落ち着いた時期に一緒に行こうねと約束している。

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ありがとうとごめんねだけはちゃんと言う派

ありがとうとごめんねだけはちゃんと言う派

朝起きてすぐ、昼ごはんの前、夕暮れどき、夜寝る前と、ことあるごとに湯を沸かす。お気に入りの魔法瓶にルイボスティーやら紅茶やらのパックをいれ、とぽぽと湯をそそぐ。このお茶をつくる流れがすきだ。

入れたて熱々のお茶をカップにそそぐと湯気がたち、ふわぁといいにおいがする。これもすきだ。でも熱々は飲めないので、すこしだけ冷ましてちょい熱くらいで飲むのがすきだ。

すこし冷ます間に読む本を選び、1ページ2

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朝。

朝。

ぜんぜん朝じゃない時間に、起き抜けのあたまでぼんやりと、世界について考えている。すこしずつ目をひらき、にぶる思考をたぐりよせて。

朝がにがてだ。

いやな夢を見た。夢くらい毎日幸せな夢がみたい。夢を選べる道具があればきっと売れるだろうな。

私たちは弱いので
嫌なことは忘れて
ささやかな
良いことだけを
噛みしめて
生きていくんだ
ー『かしましめし』

噛みしめて、か
はむはむと力なく食パンを噛

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にがて、と、むきあう先に

にがて、と、むきあう先に

どこもかしこも交戦体制でぴりっとしているからいつも選挙の前後はにがてだ。
みんなが言論の重要性を意識し、すこしでも世の中を良くしたいと渇望しているからなのだと思いたいけれど、それにしてもそれにしても今回は異質で、誰もに余裕がなく、言葉が暴力的で見ていられない。

じゃあ見なければいいのかというと、そうでもなくて、しっかり見届け、自分のペースでいいから参加していたいという感覚がずっとあって、政治との

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全身が青春

全身が青春

今日も駅の階段をのぼるのはしんどい。でも天気がよくて、金曜日だから体調がいい。よく寝て、よく夢をみた。

先日、磯上竜也さん、大前粟生さん、町屋良平さんの日記本『全身が青春』の購入特典オンラインイベントを視聴して。

自然な会話のながれで、タイトル『全身が青春』の伏線回収となりおぉ〜とうなった。

これまで自分の体におもしろみを感じたことなどなかったけれど、日々変化するものとして体調をとらえたとき

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星野道夫、約束の川

星野道夫、約束の川

昨夜、星野道夫さんの『約束の川』を読み終えた。

とってもよくて、ああ、この人のように世界に向き合えたら、この人のように言葉が紡げたら、と、とてもうれしくなり、ほかのも読みたい、写真集も眺めまわしたいっとネットで調べていたら、その流れで星野さんの最期を今更ながら知り、とても落ち込んでしまった。

ねこを撫でながら、ぽろぽろ泣いて、なにがかなしいのかうまく伝えられないけれど、とにかくショックで、

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冬の日誌

冬の日誌

今年ほど、新年という実感のすくない年ははじめてで、なんとなく冬の空気に押し込められているような、静けさや暗さの方につよく引っ張られる感じがつよい。なぜなのかは不明。

正体不明の不安に駆られることは時々あるけれど、ひさびさに、おっとこれはいけねぇ。というかんじ。なぜだろうか。

人より自信があるわけでもないし、人より自信がないわけでもない。そして人と比べることに何の得もないことはとっくにわかってい

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2021年、だいすきだった本。

2021年、だいすきだった本。

はじめは3冊選ぼうと思ったけれど、どうがんばってもこれ以上ははずせない……ということで6冊になりましたとさ。どれもこれも、そうでしょうねぇ日記で興奮してらっしゃいましたもんね…という声が聞こえてきそう。

そして、引越しのためダンボールに本をすべて詰めてしまい写真がとれなかった………過去の読書記録でものせておきます。

○ 断片的なものの社会学
○ STONER
○ 世界はうつくしいと
○ エドウ

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