秋田しげと

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    イマジネーションの源泉である、自分自身の体験談を綴ります。

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    実は、ファンタジーの入り口は身近なところに潜んでいるのでは…… という視点で描いています。 夢のようでもあり、現実のようでもあるファンタジー作品です。

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記事一覧

固定された記事

朗読小説『八日月の幻』発売開始☆朗読・伊吹まいなさん

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『繚乱コスモス』(9)☆ファンタジー小説

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復活の乙女 -ジャンヌ・ダルク外伝-

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『繚乱コスモス』(8)☆ファンタジー小説

※※※ 「雨の音……」  瞼を開くと曇ったレンズを覗いたように、視界がおぼろげだった。ただ、比較的大きな葉が雨を受ける音だけ、鼓膜を通り過ぎて脳裏で響いている。…

秋田しげと
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『繚乱コスモス』(7)☆ファンタジー小説

 徳子は、一刻も早くこの家から出て行こうと、目眩を耐えながら立ち上がった。すると、窓の外に人影が見える。部屋の様子を窺っているようだった。従業員かとも思ったが、…

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生き抜く ー南極観測船『宗谷』秘史ー

昭和十八年一月二十八日 早朝 ニューギニア ブカ島 クイーンカロライン 日本海軍 特務艦『宗谷』艦上 「右舷後方、雷跡四っっ!」 『宗谷』は、見張員の絶叫で測量作…

秋田しげと
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雪の中の歩兵銃 ー八甲田山雪中行軍秘話ー

明治三十五年 一月二十八日 青森県 八甲田山中 弘前歩兵第三十一連隊・雪中行軍隊 「真っ白、真っ白で前が見えませんっ!」  歩兵第三十一連隊八甲田山雪中行軍隊長、…

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『繚乱コスモス』(6)☆ファンタジー小説

「もう遅いけど、いいのかしら?」 「わたしは大丈夫よ。それに、帰りは車で送るから心配しないで」 「そうしてもらえると嬉しいわ」  美奈子が立ち上がると玄関にゆき、…

秋田しげと
3か月前
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『繚乱コスモス』(5)☆ファンタジー小説

 女将が襖を開けると、12畳の和室があった。しかし、畳はその半分ほどしか敷いておらず、残り半分は縁側に沿って板の間があり、その左右両側に花が飾ってある。 「綺麗…

秋田しげと
4か月前
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『繚乱コスモス』(4)☆ファンタジー小説

※※※ 「山代さん、昼間はごめんなさい。お茶こぼすというか、ぶちまけちゃって……」  頭を下げる徳子に、美奈子は慌てた様子で手のひらを横に振る。 「いえ、気にし…

秋田しげと
4か月前

『繚乱コスモス』(3)☆ファンタジー小説

※※※ (美奈子さんにこのお茶を飲ませるワケには……)  徳子は震える手で茶碗を持ち上げつつ、猛烈に考えた。お局OLに気遣いするのとは別の脳ミソを、フル回転させ…

秋田しげと
4か月前
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『繚乱コスモス』(2)☆ファンタジー小説

※※※ 「おはよう」  美奈子が教室に入ると、その場は一瞬静まり返り、次いでクラスメイトたちの声は囁き声に変化する。 「おはようございます」  徳子は思わず、教師…

秋田しげと
4か月前
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柳田国男『遠野物語』式・驚きのクマ対策

昨今のクマ被害については、ご存知の方も多いと思います。 わたし自身、登山中に5mの距離でクマに遭遇した経験があり、万が一襲われたときの対策を調べるうちにふと、こ…

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4か月前
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『繚乱コスモス』(1)☆ファンタジー小説

 宮島(みやじま)徳子(のりこ)は、所属する課のお局OL、黒田の言葉に内心呆れていたが、さも感心したように装っていた。  黒田はそれに気付きもせず、話を続けている。…

秋田しげと
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V-22 オスプレイ私見

サイクリング中、オスプレイが飛んでいたので、思わず感想を漏らしてしまいました。沖縄ではありません。関東地方の田舎です。 近所に基地があるわけでもないので、フラッ…

秋田しげと
5か月前
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朗読小説『八日月の幻』発売開始☆朗読・伊吹まいなさん

朗読小説『八日月の幻』発売開始☆朗読・伊吹まいなさん

拙著、短編小説『八日月の幻』が、声優の伊吹まいなさんによる朗読小説として発売開始しました。

本作は、同名の短編集『八日月の幻』に収録された4作品中、表題作の1作品をピックアップしたもの。ジャンルは青春・純文学。

朗読の担当は、声優事務所・INSPIONエージェンシー所属の声優、伊吹まいなさん。

男女年齢もさまざまな登場人物を、一人で演じ分けする技術の高さはもちろんですが、その演技が限りなく演

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昨日、熊と遭遇。ー教訓として熊対策の深堀ー

昨日、熊と遭遇。ー教訓として熊対策の深堀ー

GWも関係無しの日々、ふと時間が空いたので癒しを求めて一人登山に出かけました。
無事登頂し、風はありましたが天候に恵まれた良い日……になるはずだったのですが。

※※※

下山する道は、登ってきた道とは別のルートを選択しました。
14:30ごろ。
道幅は1.5mくらい、僕の右側が杉林、左側が竹藪です。
下山中ですが、ゆるい登り坂です。
そして、右にカーブ。。。

登山道に、真っ黒い子熊を発見、子熊

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『繚乱コスモス』(9)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(9)☆ファンタジー小説

 眠れたのか、それとも起きたままだったのか。
 不快なまどろみの中で朝が来た。

 徳子は重い身体を起こして扉を押し開け、嫌味なほど燦々たる陽光に照らされた風景を見て、本格的な『ヘンなこと』はこれからなのだと悟った。
「おい、大丈夫か?」
 ウタウラが心配して、ふらりと戸口に寄りかかった徳子の肩を支える。

 今考えると充分すぎるほどの予兆はあったが、覚悟が無かった。日常から隔離された衝撃によって

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復活の乙女 -ジャンヌ・ダルク外伝-

復活の乙女 -ジャンヌ・ダルク外伝-

1436年5月
フランス ロレーヌ地方 メス

一人の男が街頭に立ち、興奮気味にわめき散らしている。
「復活したのだっ! 間違いない。私は見た、声を聞いた、あのときのように私の額に十字を切ってくれたっ!」

その身なりは、襟を立てた白いシャツに青いチョッキ。その上から赤いハーフコートを羽織り、白いズボンに皮のブーツを履いている。手にはドラゴン細工のステッキを握って、それを振り回していた。
そのどれ

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『繚乱コスモス』(8)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(8)☆ファンタジー小説

※※※

「雨の音……」
 瞼を開くと曇ったレンズを覗いたように、視界がおぼろげだった。ただ、比較的大きな葉が雨を受ける音だけ、鼓膜を通り過ぎて脳裏で響いている。リズムや音階とは程遠い、生命の鼓動に近い音色が、心を落ち着かせた。事件が夢だったと思わせるほど、静謐な時が流れている。
 かけられている毛布はゴワゴワした肌触りだったが、柔らかい枕、白いシーツが心地良く徳子を包んでいる。
(犯人、捕まった

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『繚乱コスモス』(7)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(7)☆ファンタジー小説

 徳子は、一刻も早くこの家から出て行こうと、目眩を耐えながら立ち上がった。すると、窓の外に人影が見える。部屋の様子を窺っているようだった。従業員かとも思ったが、従業員が垣根を越えて美奈子の部屋を覗くとは考えにくい。
「誰っ?」
 徳子は短く言って窓から外を見る。そして、影の手元に一筋のナイフが光るのを見て息を飲んだ。
「ひっ!」
 母屋からは、何の警戒もしていない桐下駄の鳴る音が近付いてくる。美奈

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生き抜く ー南極観測船『宗谷』秘史ー

生き抜く ー南極観測船『宗谷』秘史ー

昭和十八年一月二十八日 早朝
ニューギニア ブカ島 クイーンカロライン
日本海軍 特務艦『宗谷』艦上

「右舷後方、雷跡四っっ!」
『宗谷』は、見張員の絶叫で測量作業から瞬時に戦闘態勢に入った。

 全員、絶望的な眼差しで右舷に視線を走らせる。
『宗谷』は全速でも12ノット。米軍の潜水艦でも追いつく程度の速力しか出ない。速力の遅い船は当然舵の利きも悪く、魚雷が近付いてからではとても回避できるもので

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雪の中の歩兵銃 ー八甲田山雪中行軍秘話ー

雪の中の歩兵銃 ー八甲田山雪中行軍秘話ー

明治三十五年 一月二十八日
青森県 八甲田山中
弘前歩兵第三十一連隊・雪中行軍隊

「真っ白、真っ白で前が見えませんっ!」
 歩兵第三十一連隊八甲田山雪中行軍隊長、福島大尉の耳に、嚮導の叫び声が地吹雪に混じって、途切れ途切れに聞こえていた。

 彼らの前進する意志が鈍っていることを察した福島は、風に負けじと声を張り上げる。
「だからと言ってこんなところで停止したら、死ぬだけだっ! 進めっ!」

 

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『繚乱コスモス』(6)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(6)☆ファンタジー小説

「もう遅いけど、いいのかしら?」
「わたしは大丈夫よ。それに、帰りは車で送るから心配しないで」
「そうしてもらえると嬉しいわ」
 美奈子が立ち上がると玄関にゆき、靴を履いて外に出る。

 徳子は不思議そうに聞いた。
「ねえ、美奈子ちゃんのお部屋に行くんじゃないの?」
「そうよ」
(んもぅ、ナゾの行動が多いんだから)
 しかし、ここに来るまで美奈子のナゾ行動には必ず意味があると学習した徳子は、そのま

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『繚乱コスモス』(5)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(5)☆ファンタジー小説

 女将が襖を開けると、12畳の和室があった。しかし、畳はその半分ほどしか敷いておらず、残り半分は縁側に沿って板の間があり、その左右両側に花が飾ってある。
「綺麗なお花ですね」
 部屋には、乱舞した蝶が今にも飛び出してきそうな円山応挙の絵や、瑠璃色に光沢を放つ明時代の壷など、どれも一級品が飾ってある。それらを褒めるより先に、まず花を褒めたのは、女将か美奈子の趣味だと思ったからである。
 予想は当って

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『繚乱コスモス』(4)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(4)☆ファンタジー小説

※※※

「山代さん、昼間はごめんなさい。お茶こぼすというか、ぶちまけちゃって……」
 頭を下げる徳子に、美奈子は慌てた様子で手のひらを横に振る。
「いえ、気にしないでください。それに会社では宮島さんの方が先輩ですから、丁寧な言葉遣いでなくてもいいですよ」

 美奈子が6月入社であることを思い出したが、敬語を使う理由は、彼女が一つ年上というだけではなく、尊敬する気持ちがあるからだ。よって態度を変

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『繚乱コスモス』(3)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(3)☆ファンタジー小説

※※※

(美奈子さんにこのお茶を飲ませるワケには……)
 徳子は震える手で茶碗を持ち上げつつ、猛烈に考えた。お局OLに気遣いするのとは別の脳ミソを、フル回転させる。
(これしかないっ!)
 決めるが速いか、徳子はコケた。茶碗を持ったまま。

 中身はテーブルにぶちまけられ、美奈子以外の3人は初め驚いた表情を浮かべ、次第に迷惑そうな表情へと変化する。
「おいっ、ナニをやっとるんだっ、イヤすみませ

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『繚乱コスモス』(2)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(2)☆ファンタジー小説

※※※

「おはよう」
 美奈子が教室に入ると、その場は一瞬静まり返り、次いでクラスメイトたちの声は囁き声に変化する。
「おはようございます」
 徳子は思わず、教師に挨拶するかのように丁寧に返してしまう。徳子のほかに挨拶を返す生徒はいない。

 美奈子は静かに席に着いて一限目の数学の教科書を用意すると、もう一冊、文庫本を取り出した。そして、本の中ほどに挟んだしおりを開いて読み始める。

 徳子の耳

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柳田国男『遠野物語』式・驚きのクマ対策

柳田国男『遠野物語』式・驚きのクマ対策

昨今のクマ被害については、ご存知の方も多いと思います。

わたし自身、登山中に5mの距離でクマに遭遇した経験があり、万が一襲われたときの対策を調べるうちにふと、こう思いました。
「クマが出没するのは、今に始まったことではないはず。クマに関するプロであるマタギは、どのように対処していたのだろう?」

昔のマタギの情報は多くありません。現在の猟師は銃を持っているので、一般人の参考にはなりません。
そこ

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『繚乱コスモス』(1)☆ファンタジー小説

『繚乱コスモス』(1)☆ファンタジー小説

 宮島(みやじま)徳子(のりこ)は、所属する課のお局OL、黒田の言葉に内心呆れていたが、さも感心したように装っていた。

 黒田はそれに気付きもせず、話を続けている。
「でね、気に入らないヤツが来客対応するでしょお? そしたら、社内システムの会議予定表を見るのよ」
 徳子はほんの少し茶色い、ロングの髪を耳の後ろに手ですいて、コクコクと細い顎をしきりに頷いてみせた。しかし黒田の言う、気に入らないヤツ

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V-22 オスプレイ私見

V-22 オスプレイ私見

サイクリング中、オスプレイが飛んでいたので、思わず感想を漏らしてしまいました。沖縄ではありません。関東地方の田舎です。

近所に基地があるわけでもないので、フラットな立場で簡潔に私見を述べようと思います。

まず、音です。これが、youtubeにUPした動画ではわからないと思うのですが、UH-60のような、よく飛んでる普通の?軍用ヘリと比較すると、お腹にズンズン響く音です。
すぐに「オスプレイだ」

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