氏家 法雄 ujike.norio

「哲学は常にあなたの暮らしの真正面から始まります」ーー。 戦う哲学者、神学者、書評子、…

氏家 法雄 ujike.norio

「哲学は常にあなたの暮らしの真正面から始まります」ーー。 戦う哲学者、神学者、書評子、大学教員を経てNPO法人あおぞら理事(多度津町)。無教会主義の吉野作造研究者。考えることと暮らしの新しい接続を試みた『暮らしを哲学する』明日香出版社を刊行。地域再生と福祉の接続を提案中。

マガジン

  • 多度津にいったい何があるというんですか?

    氏家法雄の地域再生の記録。香川県仲多度郡多度津町、芸術喫茶清水温泉、お惣菜処てつや周辺から地域の未来を考える試み。しかし、多度津にいったい何があるというんですか

  • あんときのフィルムカメラ

    最近、趣味のフイルムカメラでの撮影を再開しました。現像代が思った以上に高額なことに驚いていますが、少し古いフィルムカメラを使って、景色を切り取り、時間を残していきたいと思います。

  • あんときのデジカメ

    少し古いデジタルカメラを使って、景色を切り取り、時間を残していきたいと思います。毎週木曜日か水曜日に更新しています。

  • B面のウジケさん

    『朝日新聞』の投書欄や折々のことばに「気づいた」ことに「ツッコミ」をいれていきます。学びや気づきのきっかけを目指します。

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固定された記事

暮らしと学問 1 学問というよろこび

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等身大の人口減少対策

自治体の消滅防げ 県内危機感対策を加速 人口戦略会議「可能性」指摘=『四国新聞』2024年5月2日(木)付。 報道では、「(消滅可能性自治体を脱却した)5市町を含む他…

地域のセーフティネットとしてのこども食堂

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こども食堂の可能性 参議院議員三宅伸吾代議士の訪問

4月27日のこども食堂では、認定NPO法人むすびえ・湯浅誠さんのご紹介で、参議院議員三宅伸吾代議士(香川県選挙区・自民党)を、多度津町では唯一のこども食堂にご案内…

普遍的真理の立場とそれをたらしめる実践

最近、つくづく思うのは、物事の正邪を峻別し続けていかない限り、世界は前へ進まない、あるいは一人ひとりの人生は豊かになっていかないという念を強く抱かざるを得ないし…

香川県広域水道企業団のこと

今日は、関係者を招き、香川県広域水道企業団の全員協議会(多度津町議会議員)が開催されました。令和9年度まで事業計画の状況のヒアリングなど2時間ちかく討議の時間と…

消滅可能性市町村についての一考察

人口戦略会議は、昨日24日、将来的に「消滅の可能性がある」と見なした744市町村の一覧を公表した=『四国新聞』2024年4月25日(木)付。 報道によれば、「2020…

いきいきとした職場について

正直なところ、毎日、何かを投稿するという時間もないのですが、日々の軌跡を記録するだけでなく、それを他者の目に晒されるという契機を通じて公共性が担保できればと思い…

何のための高等教育なのか

出来事の一回性のうちに入り込みそのなかで思考しつづけること

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現場を知っているわれわれが「ちがいますよ」と言わないといけないんです。

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群れることと仲間をつくること

群れることと仲間をつくることは全く違うことです。仲間は意見や個性が違っても相手を受け入れますが、群れているだけの者はちょっとしたことで喧嘩別れします。短期間の人…

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時間があればよい仕事ができるのか

ここ数日は、年度末年度はじめの書類作成に追われ、ほとんど現場に入ることができず申し訳ないなあと思いながらも、自分自身がやらなければならないという話で、協力しなが…

新社会人のみなさんへ

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暮らしと学問 1 学問というよろこび

暮らしと学問 1 学問というよろこび

(はじめに)20年以上にわたって学問をやってきましたので、読書は熱心ですし、文献を読み込み、それを精査して論文書いたりしています。すると「そんなに本を読んでばっかりで楽しいの?」と聞かれますが、まあ、「楽しい」ですよね。読書したり、幅広く言えば勉強したりすることの一体、何が「楽しい」のでしょうか? そのひとつを紹介したいと思います。

どうでもいいことを「知る」こと

 国語辞典編纂者の飯間浩明さ

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関係人口創出の場としてのこども食堂

関係人口創出の場としてのこども食堂

今日は、多度津町のRITA学園高等学校、桃陵クリニック主催の重機体験・医療体験マルシェに出張こども食堂として参加しました。

金剛禅総本山少林寺さんの駐車場をお借りして、おはぎづくりを体験してもらいました。こども食堂を知らない方には案内となり、いつもご利用してくださっている方にもこどもの日を楽しむ体験ができたのではないかと考えています。

また、いつも親子でこども食堂に参加してくださっている遠方の

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等身大の人口減少対策

等身大の人口減少対策

自治体の消滅防げ 県内危機感対策を加速 人口戦略会議「可能性」指摘=『四国新聞』2024年5月2日(木)付。

報道では、「(消滅可能性自治体を脱却した)5市町を含む他の自治体も人口減少には歯止めがかかっておらず、各市町は地域の維持に向けて対策を加速させる」とあります。

「子ども時代に『善通寺は面白い』と感じれば、長く暮らしたくなるはず」=善通寺市

「町の事業として宅地の造成や賃貸住宅の整備を

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地域のセーフティネットとしてのこども食堂

地域のセーフティネットとしてのこども食堂

こども食堂ひみつきちてつやは、多世代交流型の居場所として運営しておりますが、その魅力の1つは、関わるひとのすべての活力向上につながっているというところです。

多世代ですので、小さなお子さんからお年寄りの方や保護者の方など様々な世代が集います。福祉という枠組みで杓子定規に捉えると、通常は、こどもや高齢者は、どうしてもサービスの受給者として設定され、常に受け身になってしまう感が否めません。

しかし

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こども食堂の可能性 参議院議員三宅伸吾代議士の訪問

こども食堂の可能性 参議院議員三宅伸吾代議士の訪問

4月27日のこども食堂では、認定NPO法人むすびえ・湯浅誠さんのご紹介で、参議院議員三宅伸吾代議士(香川県選挙区・自民党)を、多度津町では唯一のこども食堂にご案内させて頂きました。

当日は、開始前の14:30にお越し下さり、小さなお子さんからお年寄りさんまで集う私ども多世代交流形のこども食堂を実際に体験して頂きました。

こども食堂にわざわざ遠方よりお越し下さり、現場を肌で感じてくださったことに

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普遍的真理の立場とそれをたらしめる実践

普遍的真理の立場とそれをたらしめる実践

最近、つくづく思うのは、物事の正邪を峻別し続けていかない限り、世界は前へ進まない、あるいは一人ひとりの人生は豊かになっていかないという念を強く抱かざるを得ないし、それが自分自身の社会的責任だと自覚を強めているのですが、それと同時に、あらゆる手立てを尽くしてでも、世界を前へ進めていくための創意工夫が求められているのだろうということです。

命がけになろうとも言うだけというのはどこまでも簡単なのですが

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香川県広域水道企業団のこと

香川県広域水道企業団のこと

今日は、関係者を招き、香川県広域水道企業団の全員協議会(多度津町議会議員)が開催されました。令和9年度まで事業計画の状況のヒアリングなど2時間ちかく討議の時間となりました。

市町別々で担っていた水道事業を香川県ではいち早く広域化させたのですが、今後の標準料金化へ向けた動きや市町への負担の話となりました。

口を挟んでどうにかなるというシンプルは話題でもありませんが、丸投げにもいかないというなかな

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消滅可能性市町村についての一考察

消滅可能性市町村についての一考察

人口戦略会議は、昨日24日、将来的に「消滅の可能性がある」と見なした744市町村の一覧を公表した=『四国新聞』2024年4月25日(木)付。

報道によれば、「2020年~50年の30年間で、子どもを産む中心世代の20~30代女性が半数以下になるとの推計」が根拠で「人口減少の深刻さを示し、行政や民間の対策」が求められるとあります。

多度津町では、消滅可能性があるとの指摘はありませんが、それでも2

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いきいきとした職場について

いきいきとした職場について

正直なところ、毎日、何かを投稿するという時間もないのですが、日々の軌跡を記録するだけでなく、それを他者の目に晒されるという契機を通じて公共性が担保できればと思いながら、仕事をしています。

今日は別の自治体の市役所を訪れる機会があったのですが、正直、ちょっと新鮮でした。

職員一人ひとりが、(僕が見た実感という印象批判には過ぎませんが)、まあまあ、元気に和気あいあいとやっていた姿にちょっとだけ瞠目

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出来事の一回性のうちに入り込みそのなかで思考しつづけること

出来事の一回性のうちに入り込みそのなかで思考しつづけること

時間がないことを理由に研鑽できないのは、言い訳以下の自己怠慢にほかならないわけなので、時間をこじ開けてでも研鑽を再開しなければとの思いで新年度をスタートしています。

いま、紐解いているのはフーコー研究の大家・重田園江先生の『真理の語り手 アーレントとウクライナ戦争』(白水社、2022年)。

帯には、次のようにあります。

「ポスト・トゥルース」、そして全体主義の時代の基底へ

とありますが、考

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現場を知っているわれわれが「ちがいますよ」と言わないといけないんです。

現場を知っているわれわれが「ちがいますよ」と言わないといけないんです。

政治家は現場を知らない、知らなすぎます。だから、現場を知っているわれわれが「ちがいますよ」と言わないといけないんです。そうでないと、現場を知らない人たちが日本の政治をどんどん動かしていって、全部、決まりましたというかたちで、われわれのところに来るのです。
(出典)永六輔『親と子』岩波新書、2000年、150頁。

4月は新年度の事業計画や収支予算書の提出なんかが山積みで、加えて介護保険制度の大幅な

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群れることと仲間をつくること

群れることと仲間をつくること

群れることと仲間をつくることは全く違うことです。仲間は意見や個性が違っても相手を受け入れますが、群れているだけの者はちょっとしたことで喧嘩別れします。短期間の人間関係しか築けないのです。
(出典)小池一夫『人生の結論』朝日新書、2018年、49頁。

今日、4月17日は、『子連れ狼』などで知られる漫画作家・小池一夫さんのの命日(2019年)。

最近、いろいろな人と話をすることが多いのですが、「仲

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釈尊の本当に伝えたかったこと

釈尊の本当に伝えたかったこと

4月13日の土曜日のこども食堂では、灌仏会のお話を尼僧さんにお願いしていたのですが、急遽難しくなったということで、僕の方から、簡単に「釈尊の伝えたかったこと」をこども食堂に参加しているお子さんやそのお父さん、お母さん宛に話をすることになっちゃいました。

キリスト教学を専門としますが、それでも、ふつうの方よりは仏教全般を学んでいますし、サンスクリット語も少しはかじっていましたので、釈尊の話をさせて

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時間があればよい仕事ができるのか

時間があればよい仕事ができるのか

ここ数日は、年度末年度はじめの書類作成に追われ、ほとんど現場に入ることができず申し訳ないなあと思いながらも、自分自身がやらなければならないという話で、協力しながら、なんとか形にすることができ、

ホッとしたいなあ

と思いながら、もうすぐ次の計画やら何やらが迫っており、休む暇が無いというほど、考え方によれば、まあ、

誰かのためになっている

こと自体は間違いではなく、日々進むほかないという心境で

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新社会人のみなさんへ

新社会人のみなさんへ

仕事をするということは、ある意味では、食べていくという側面が必然するため、個々人の嗜好や得意不得意に左右されるよりも、まず「やらなければならない」という側面が強いことは否めません。

それでも、自分自身がその仕事を楽しんで取り組んでいかなければ、例えば、その仕事がもたらすサービスの受益者には、その価値が伝わらないんじゃないのかなあとぼんやりと考えています。

いまさら?ってつっこまれそうでもありま

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