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とりとめない感情の記憶と記録。

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不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私物心ついたころから、何故だかはわからないが日本の教育や社会に馴染めなかった。都心にある中高一貫の私立の女子校。校則とか時間割とか部活とか意味…

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3年前
67

残されたものには楽しく生きる責務がある

同僚が脳出血で死んだ。40歳だった。仕事柄、死には慣れているはずだったが、今回の死は突然だったことや歳も近かったこと、何より昨日まで一緒に働いていた人だったという…

Mikuru.M
2年前
11

家に引き込もれる大義名分がほしい

緊急事態宣言が終わってもなお私は資格試験という名の元に堂々と家に引きこもっている。資格試験が終わって自由の身になったらと想像するだけで、なんだか憂鬱な気持ちにな…

Mikuru.M
2年前
10

平凡礼賛

仕事の復帰を決めた。平凡な生活がいちばんなのかもしれないという思いが胸を過った時、自分でも思わず自分を疑った。ずっと自分にしか送れない人生を送りたいと思っていた…

Mikuru.M
2年前
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自分のために書けと友は言う

先日、最近仲良くなった女友達の家に遊びにいった。泊りだったので、夜から銭湯に連れだって行くことに。行きはわずかな小雨だったが、帰りは見事などしゃぶりだった。ビー…

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2年前
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門司港ららばいは続く。

北九州から東京行きのスターフライヤーの機内で「門司港ららばい」を久しぶりに観た。関門海峡に面した古き良き港町、門司港を舞台にした短編映画だ。私はいまその街で暮ら…

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2年前
10

ひとりで死なせてしまった

ずっと喉に突き刺さった小骨のように消えない痛みがある。昨冬亡くなった上野さんのことだ。 上野さんはごりごりの北九州男子。小柄で細身だがとにかく酒を浴びるように飲…

Mikuru.M
2年前
7

私の人生を1000円でお会計した話

独りで過ごす夜が苦手だ。雨の日なら尚更。いつもは居るはずのシェアメイト達が留守にしていておらず、孤独死確定しそうな夜だったので、近所の友人を誘って回転寿司に出か…

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2年前
5

平和がいちばん

ふと亡くなった佐野さんのことを思い出したのは、今日が原爆の日で終戦記念日も近いからかもしれない。 佐野さんは私が勤めるデイサービスに通所していた。昭和2年生まれ…

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2年前
7

意味ない仕事するくらいなら切腹したい

或る人に「あなたは仕事に意味を求めすぎている」「仕事に意味をつけるのは自分だ」という正論を訥々と聞かされて、久しぶりに心のHPポイントがゼロになった。ここで試合終…

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2年前
11

元恋人の話、取り扱い注意にて

「あなたってよく元恋人の話をするよね」と最近親しくなった人に言われて、一瞬考えこんだあと、そりゃそうだわと思った。20代の大半を共に過ごし、良くも悪くもたくさんの…

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2年前
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同棲の終わり、ペットの忌引

同棲の終わり、ときいて思い出すのは西日が射す空っぽになった部屋に2人で横たわっていときのこと。その頃の私にはすでに泣き叫ぶ体力なんて残っていなくて、元恋人の胸に…

Mikuru.M
2年前
10

夢は忘れた頃に叶う

2008年、当時18歳だった私は地球の裏側のアルゼンチンの愛に溢れた家庭で多感な時期を過ごした。 いつまでもラブラブな両親と三つ子のように仲良しな兄弟(上から女17・男…

Mikuru.M
2年前
11

タイムマシンはいらない

同世代の他人の人生に比べて、自分の人生がややこしく思えるときがある。それもそのはずだ。私は心の奥底では平穏な人生なんて望んでいなくて刺激に満ちた人生を望んでいる…

Mikuru.M
2年前
5

イカダから流されて溺れる話

昔から「イカダで溺れ死ぬ」という謎の妄想に取り憑かれている。3人でイカダに乗っていて、私ともうひとりが落ちたときに、私じゃない方のひとりは手を握ってもらって助か…

Mikuru.M
3年前
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風邪と永続可能な関係性

風邪をひくと世界でひとりだけ取り残されたような気分になる。 体調を崩したその日、私は車いすのおいちゃんの受診同行をしていてた。病院の入り口で検温があって、おいち…

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3年前
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不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私のアルゼンチン門司港逃避行日記

不良になれなかった私物心ついたころから、何故だかはわからないが日本の教育や社会に馴染めなかった。都心にある中高一貫の私立の女子校。校則とか時間割とか部活とか意味わかんなかったし、学校にいると自分がどんどんロボットになっていく感じがした。

通学中に満員電車に乗っている大人とか観察してたら、何のために生きてるのかよくわからなくなった。MDのイヤホンでブルーハーツの1985年の『僕たちを縛り付けて一人

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残されたものには楽しく生きる責務がある

残されたものには楽しく生きる責務がある

同僚が脳出血で死んだ。40歳だった。仕事柄、死には慣れているはずだったが、今回の死は突然だったことや歳も近かったこと、何より昨日まで一緒に働いていた人だったということが私を大分動揺させた。人には天命というものがあると聞くが本当だろうか。死にたがりの私が今もなお生きていて、死など恐らく考えたこともない彼が天に召されてしまった不思議について考える。私はまた生き残ってしまった。

そんな話をしたら、2周

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家に引き込もれる大義名分がほしい

家に引き込もれる大義名分がほしい

緊急事態宣言が終わってもなお私は資格試験という名の元に堂々と家に引きこもっている。資格試験が終わって自由の身になったらと想像するだけで、なんだか憂鬱な気持ちになる自分がいる。

思えばこの数年はコロナという隠れ蓑の元に気の進まない約束はお断りし、やる気の出ない事柄は先延ばしにしてきた。好きな人と好きなときにだけ会いやりたいことを気が向いた分だけやる、ぬるま湯のような時間。

来年留学に行くことに決

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平凡礼賛

平凡礼賛

仕事の復帰を決めた。平凡な生活がいちばんなのかもしれないという思いが胸を過った時、自分でも思わず自分を疑った。ずっと自分にしか送れない人生を送りたいと思っていた。迷ったらやってみるが信条だったし、安定よりも面白くなる方に懸けて生きてきた。そのためには、文字通りどこにでも飛んで行き、無茶な仕事もたくさんしたし、泥沼みたいな恋愛にも足を踏み入れた。どれもこれも人生に必要な刺激を得るためだった。でも、こ

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自分のために書けと友は言う

自分のために書けと友は言う

先日、最近仲良くなった女友達の家に遊びにいった。泊りだったので、夜から銭湯に連れだって行くことに。行きはわずかな小雨だったが、帰りは見事などしゃぶりだった。ビーサンの隙間に雨の水が入り込む。Tシャツが湿り気を帯びる。それは銭湯にいってきたという事実を無に帰すようなことだったが、なぜだか生きているという感覚がしたので、それだけで充分だった。

女友達との会合は気楽でよい。ままならない仕事のこと恋愛の

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門司港ららばいは続く。

門司港ららばいは続く。

北九州から東京行きのスターフライヤーの機内で「門司港ららばい」を久しぶりに観た。関門海峡に面した古き良き港町、門司港を舞台にした短編映画だ。私はいまその街で暮らしている。

小さな画面の向こうにはコロナ前の私達の日常があった。休業補償なんかじゃ補いきれない門司港の日常。それが映画というかたちで残っていることを心強く思う。フィクションとは純度の高いノンフィクションだ。

いま正直、心が色々折れていて

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ひとりで死なせてしまった

ひとりで死なせてしまった

ずっと喉に突き刺さった小骨のように消えない痛みがある。昨冬亡くなった上野さんのことだ。

上野さんはごりごりの北九州男子。小柄で細身だがとにかく酒を浴びるように飲んだ。関東出身の私が標準語を喋ると「しゃあしい、東京もんは」と文句を言った。ドスのきいた北州弁で「きさん、ぶちくらすぞ」と言われたこともあった。私が北九州弁を覚えるようになったは今思えば上野さんのせいだったと思う。

上野さんには常識とい

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私の人生を1000円でお会計した話

私の人生を1000円でお会計した話

独りで過ごす夜が苦手だ。雨の日なら尚更。いつもは居るはずのシェアメイト達が留守にしていておらず、孤独死確定しそうな夜だったので、近所の友人を誘って回転寿司に出かけた。

近頃の回転寿司は予約注文したネタしか回ってこない。寿司が到着したことをお知らせするサインがあちこちでピーピーと鳴り響いて、なんだか世知辛いなと思った。それでも、回転寿司というアクティビティは私の心を躍らせる。

薄っぺらい寿司をつ

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平和がいちばん

平和がいちばん

ふと亡くなった佐野さんのことを思い出したのは、今日が原爆の日で終戦記念日も近いからかもしれない。

佐野さんは私が勤めるデイサービスに通所していた。昭和2年生まれ。私が出会ったときは90歳ちょっと手前。デイサービスの誰よりも年長者であることを誇りに思っていた。

佐野さんは腰がすごく曲がっていて、いつも前かがみで杖をついて歩いていた。後ろから見ると首無しおばけみたいで、数歩進んでは時々、周囲を見渡

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意味ない仕事するくらいなら切腹したい

意味ない仕事するくらいなら切腹したい

或る人に「あなたは仕事に意味を求めすぎている」「仕事に意味をつけるのは自分だ」という正論を訥々と聞かされて、久しぶりに心のHPポイントがゼロになった。ここで試合終了のゴングが鳴る。

私は世の中の大半の仕事ができない。今も昔も自分の経験に根差して「これは自分または社会に絶対に必要だ」と思えることしかどうしてもできない。文明が無闇に進むのは反対派で、先住民の暮らしにずっと憧れていた。資本主義の発展に

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元恋人の話、取り扱い注意にて

元恋人の話、取り扱い注意にて

「あなたってよく元恋人の話をするよね」と最近親しくなった人に言われて、一瞬考えこんだあと、そりゃそうだわと思った。20代の大半を共に過ごし、良くも悪くもたくさんの影響を受けてきたわけだから、私の話をしようとすると必然的に元恋人の話が出てきてしまう。

生きづらい世の中であることは分かってはいたけれども、どう生きれば分からなかった頃、インドをふらふら旅をしていて出会ったのが元恋人だった。当時幼かった

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同棲の終わり、ペットの忌引

同棲の終わり、ペットの忌引

同棲の終わり、ときいて思い出すのは西日が射す空っぽになった部屋に2人で横たわっていときのこと。その頃の私にはすでに泣き叫ぶ体力なんて残っていなくて、元恋人の胸に顔をうずめて静かに涙を流すだけだった。ずっと私を安心させてきたこの匂い。

冬の日の入りは早く、部屋がだんだんと暗くなる。もうこの家には照明すら残っていなかった。夜の気配が漂う玄関先で、これまでもそうしてきたように、彼にハグとキスをして私は

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夢は忘れた頃に叶う

夢は忘れた頃に叶う

2008年、当時18歳だった私は地球の裏側のアルゼンチンの愛に溢れた家庭で多感な時期を過ごした。

いつまでもラブラブな両親と三つ子のように仲良しな兄弟(上から女17・男16・男15)、それから大きな黒いラブラドールと小さい三毛猫というのが、その家族の構成だった。それに日本からやってきたスペイン語も喋れない私。

それだけでも充分賑やかなのに、家の扉はいつでも開け放たれていて、夕方になると親戚やら

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タイムマシンはいらない

タイムマシンはいらない

同世代の他人の人生に比べて、自分の人生がややこしく思えるときがある。それもそのはずだ。私は心の奥底では平穏な人生なんて望んでいなくて刺激に満ちた人生を望んでいるのだから。

たった30年そこらの人生だけれども、天を衝き上げるような喜びも地の底に叩きつけられるような悲しみのどちらも経験してきた。それでも私が未だ自分の人生を落ち着かせる方向に舵を切ることができていないのは、刺激に満ちた人生こそが自分を

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イカダから流されて溺れる話

イカダから流されて溺れる話

昔から「イカダで溺れ死ぬ」という謎の妄想に取り憑かれている。3人でイカダに乗っていて、私ともうひとりが落ちたときに、私じゃない方のひとりは手を握ってもらって助かり、私は激流に流されて溺れ死ぬというものだ。

何が言いたいかというと、私は友人やご近所仲間や同僚やその他たくさんの人に愛されて生きている自覚はあるけれども、危機的状況に置かれたときはみんな家族やパートナーを優先的に助けると思うので、私の手

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風邪と永続可能な関係性

風邪と永続可能な関係性

風邪をひくと世界でひとりだけ取り残されたような気分になる。

体調を崩したその日、私は車いすのおいちゃんの受診同行をしていてた。病院の入り口で検温があって、おいちゃんは何ともなかったけれども、私は37℃以上あったので隔離されてしまった。診察だけ同行して、おいちゃんの健康に何も問題ないことだけ確認した。診察室の去り際に「職員さんも頑張ってくださいね」と看護師さんから声をかけられた。帰りの車中でおいち

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