naoki(suiden)

*文化人類学研究室 ⇒ メーカー ⇒ コンサル ⇒HR⇒ITベンチャー *1991年…

naoki(suiden)

*文化人類学研究室 ⇒ メーカー ⇒ コンサル ⇒HR⇒ITベンチャー *1991年生 *好きなものはアルピーのラジオ

記事一覧

舌を慕って

記念日に、少し良いレストランに妻と行った。 一皿が出されるごとに、地図を使いながら発祥の地を解説してくれて、素材や調理法の美味しいポイントもしっかり伝えてくれる…

naoki(suiden)
8か月前
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ひとにレキシコンあり

朱鷺色(ときいろ)という色があることは、中学の美術の先生から教えてもらった。 水彩画の講義中に、その聞きなれない色名が出てきたのだ。 ”オレンジの中でも、もっと…

naoki(suiden)
10か月前

歩く会話~自動運転車いすに乗って感じたこと~

先日、出張で羽田空港を訪れた。 昔から、空港にはとにかく早く着く派で、だいぶ時間に余裕をもって手荷物検査を終えた。 本でも読みながら搭乗を待つつもりでゲートに向…

naoki(suiden)
11か月前

二度寝的なシュールレアリスムとシェアオフィスとしての私

ーーしばしばシーシャを吸うことがある。 ボコボコと泡立つ音がして綺麗な白い煙が上がってくる。 30分おきくらいに店員さんが来て、炭を変えてくれる。 シーシャのお店…

naoki(suiden)
1年前
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私の群れよりはなれて

本で自己ハーディングという語に行き当たった。過去の自分が複数回とってきた行動・考え方が自分の中に固着し、「自分はこういう性格で、こういう動き方をする人間である」…

naoki(suiden)
1年前
1

LOVE IS BLIND JAPAN前半戦、なんでこんなに面白いのか

妻ともどもnetflixの恋愛リアリティショー「LOVE IS BLIND JAPAN」にはまっている。 元々はアメリカの番組を日本に持ってきたもので、複数名の男女が番組の中でパートナー…

naoki(suiden)
2年前
12

grayish rainbowな多様性を語りだすということ(EUGENE STUDIO展 感想)

清澄白河でやっていた寒川裕人(EUGENE STUDIO)の展示に会期ギリギリで滑り込んできた。会場の東京都現代美術館は、駅から徒歩15分という攻めた立地にあるけれど、その分広…

naoki(suiden)
2年前
6

聞き書きワークライフ~雑誌編集・アニメ宣伝P~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも…

naoki(suiden)
2年前
6

聞き書きワークライフ~編集~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも…

naoki(suiden)
2年前
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聞き書きワークライフ~経理~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも…

naoki(suiden)
3年前
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聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。 「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも…

naoki(suiden)
3年前
4

仕事場がソンクローニ族の集落だとしたときにコーギは何か?~小川哲、『ゲームの王国』

『ゲームの王国』という小説を読んだ。ポルポト政権下のカンボジアを舞台にしたSFで、ムイタックという天才少年が脳科学を駆使したゲームを作り上げていく話だ。 「書きた…

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3年前
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『裁判官も人である』、推論することの怖さ。理解の欲動と賦存効果

GWが終わった。 人から譲ってもらったWiiUでやるゼルダが面白すぎた、というのが正直な過ごし方であった。プレステ2以降、10年近くゲームをやってこなかったので、たまた…

naoki(suiden)
4年前
7

マインドフルーツ

遅く起きた休日。 天気が良いし暑くもないので、少し散歩するつもりで外に出る。 夕方あたりに腹が減りそうだから何か買っておこう、という気で近くのスーパーマーケットに…

naoki(suiden)
4年前
4

仕事の狩人たち

早川書房から出ている「新薬の狩人たち」という本が面白い。アスピリンのような薬の開発秘話を、短編形式で綴ったノンフィクションだ。 本書では、新薬の研究者たちを「ド…

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4年前
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Positive peer-pressureとは?#0to1スタートアップのためのプログラムが面白そう過ぎた #あと、ミドルの孤独

企画部署の孤独企画の仕事はそれなりに楽しい。定期的にマネージャーに進捗報告をし、レビューさえ受ければ、ある程度自由に仕事ができる。 でも、何だか最近テンションが…

naoki(suiden)
4年前
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舌を慕って

舌を慕って

記念日に、少し良いレストランに妻と行った。

一皿が出されるごとに、地図を使いながら発祥の地を解説してくれて、素材や調理法の美味しいポイントもしっかり伝えてくれる。
コース料理ならではだが、大きな皿に盛られた分量はちょこんとしていてつつましい。
事前の解説で期待が膨らんでいる分、あまりにも頼りない量に思える。
「何皿も出てくるのだからこのくらいの量が丁度いい」と分かってはいるのだが、一口食べた美味

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ひとにレキシコンあり

ひとにレキシコンあり

朱鷺色(ときいろ)という色があることは、中学の美術の先生から教えてもらった。
水彩画の講義中に、その聞きなれない色名が出てきたのだ。

”オレンジの中でも、もっとピンクに寄った淡い色のものを朱鷺色と呼ぶことがある。ちょうど〇〇が来ているシャツのここの色だ。「トキ」とは鳥の朱鷺のことで、その羽の色だな。”

そう言いながら先生は私の席にやってきて、私が着ていたシャツの袖の部分を指さして見せた。トキと

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歩く会話~自動運転車いすに乗って感じたこと~

歩く会話~自動運転車いすに乗って感じたこと~

先日、出張で羽田空港を訪れた。

昔から、空港にはとにかく早く着く派で、だいぶ時間に余裕をもって手荷物検査を終えた。
本でも読みながら搭乗を待つつもりでゲートに向かっていると、長い長い通路の途中、壁際にメカニカルな車いす的なものが4台ほど置かれているのを見つけた。
近づいているとWHILLという乗り物で、「着席して目的地を入力すると、自動運転で勝手にそこまで連れて行ってくれる」らしい。

脚が悪い

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二度寝的なシュールレアリスムとシェアオフィスとしての私

二度寝的なシュールレアリスムとシェアオフィスとしての私

ーーしばしばシーシャを吸うことがある。

ボコボコと泡立つ音がして綺麗な白い煙が上がってくる。
30分おきくらいに店員さんが来て、炭を変えてくれる。

シーシャのお店はだいたい薄暗くて、深く座れるソファが置いてある。

本を読んだり、何もしなかったりするのにシーシャに行くのがわりと好きだ。

良い香りの煙をゆっくり吸っていると、少しずつ頭がぼんやりする感覚がある。吸い過ぎるとクラっとする。

この

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私の群れよりはなれて

私の群れよりはなれて

本で自己ハーディングという語に行き当たった。過去の自分が複数回とってきた行動・考え方が自分の中に固着し、「自分はこういう性格で、こういう動き方をする人間である」という自己認識に至ることを指す語らしい。
要は「習慣が性格や自己認知を作る」的な話か?と思いつつ、”ハーディング”という言葉の意味が気になって調べてみた。

ハーディングというのも心理の用語で、要は集団への同調現象のことだ。AとBのいずれが

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LOVE IS BLIND JAPAN前半戦、なんでこんなに面白いのか

LOVE IS BLIND JAPAN前半戦、なんでこんなに面白いのか

妻ともどもnetflixの恋愛リアリティショー「LOVE IS BLIND JAPAN」にはまっている。
元々はアメリカの番組を日本に持ってきたもので、複数名の男女が番組の中でパートナーを見つけ、結婚していくまでの人間模様を描いていく。
構成は大きく前半と後半に分かれていて、前半の方にこの番組の特長がある。
男女は、お互いの顔が見えない状態で、一対一の会話を通してでしかお互いのことを知れないのだ。

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grayish rainbowな多様性を語りだすということ(EUGENE STUDIO展 感想)

grayish rainbowな多様性を語りだすということ(EUGENE STUDIO展 感想)

清澄白河でやっていた寒川裕人(EUGENE STUDIO)の展示に会期ギリギリで滑り込んできた。会場の東京都現代美術館は、駅から徒歩15分という攻めた立地にあるけれど、その分広くてどでかい。徒歩15分の"参道"も、古本屋や昔懐かしなお土産屋が立ち並ぶ雰囲気の良い通りで、歩くしんどさよりも散歩の楽しみを感じさせてくれる。
(途中にあるベトナム料理ダイナーがめちゃくちゃ美味しそうだった)

展示物はど

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聞き書きワークライフ~雑誌編集・アニメ宣伝P~

聞き書きワークライフ~雑誌編集・アニメ宣伝P~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。
「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。
今回は30代男性から、雑誌の編集とアニメの宣伝プロデューサーについてです。

――まずは雑誌の編集から聞かせて下さい。どんな仕事なん

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聞き書きワークライフ~編集~

聞き書きワークライフ~編集~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。
「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。
今回は20代女性から、出版社2社での編集経験についてです。

――すごく大掴みの質問ですけど、編集って何をする仕事なんですか?
■本

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聞き書きワークライフ~経理~

聞き書きワークライフ~経理~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。
「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。
今回は20代女性から、大企業メーカー・ベンチャーそれぞれで経理をした話です。

――歴史も古く、企業規模も大きなメーカーと、ベンチャ

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聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

聞き書きワークライフ~営業・営業企画~

世の中にある色々な仕事・職種の話を聞くのが好きです。
「営業は会社の顔!」とか「経営企画は社長の参謀!」とかの、印象的だが実際のところよくわからないフレーズでも語られがちな「職種」について、肌身で分かる話を人から聞いて、溜めていくのを細々としたライフワークにしたい。
今回は30代男性から、広告営業とIT系の営業企画の体験談です

――web広告の営業の話から聞かせてください。アクセス数が多いサイト

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仕事場がソンクローニ族の集落だとしたときにコーギは何か?~小川哲、『ゲームの王国』

仕事場がソンクローニ族の集落だとしたときにコーギは何か?~小川哲、『ゲームの王国』

『ゲームの王国』という小説を読んだ。ポルポト政権下のカンボジアを舞台にしたSFで、ムイタックという天才少年が脳科学を駆使したゲームを作り上げていく話だ。
「書きたいものを楽しんで書いた」という筆者の言葉通り、輪ゴムと意思疎通ができる少年や、綱引きの神髄を究めた男など、変なキャラが色々出てきて楽しい。
そんな騒がしさを含みつつも、作中の一貫したテーマとして「ゲーム」と「ルール」が扱われている。

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『裁判官も人である』、推論することの怖さ。理解の欲動と賦存効果

『裁判官も人である』、推論することの怖さ。理解の欲動と賦存効果

GWが終わった。
人から譲ってもらったWiiUでやるゼルダが面白すぎた、というのが正直な過ごし方であった。プレステ2以降、10年近くゲームをやってこなかったので、たまたま最新のゲームをやってみたら「今ゲームってこんな綺麗なの!?」とカルチャーショックを受けた。
おかげでGWの色々な予定が、ゼルダに置き換わってしまった。が、外出自粛で暇を持て余しそうな気もしていたので、まあまあ良かったことにする。現

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マインドフルーツ

マインドフルーツ

遅く起きた休日。
天気が良いし暑くもないので、少し散歩するつもりで外に出る。
夕方あたりに腹が減りそうだから何か買っておこう、という気で近くのスーパーマーケットに向かう。
が、大きな店舗と、店先にこれでもかと並んだ色々な商品を見て、食べ物一つを買うのには大げさな気がして引き返す。

信号を渡った先のまいばすけっとに入り、ケースに入っている果物やパンや弁当を一つ一つ見ていく。
チキンカツはいらない。

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仕事の狩人たち

仕事の狩人たち

早川書房から出ている「新薬の狩人たち」という本が面白い。アスピリンのような薬の開発秘話を、短編形式で綴ったノンフィクションだ。
本書では、新薬の研究者たちを「ドラッグハンター」と呼ぶ。最初にその呼び方に触れたときは少し違和感だった。なぜなら「新薬開発」という言葉は、白衣のドクターと清潔なラボ、コンピューターによる計算と論文の山を連想させるからだ。なんとなく、アクティブで原始的な「ハンター」という呼

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Positive peer-pressureとは?#0to1スタートアップのためのプログラムが面白そう過ぎた #あと、ミドルの孤独

Positive peer-pressureとは?#0to1スタートアップのためのプログラムが面白そう過ぎた #あと、ミドルの孤独

企画部署の孤独企画の仕事はそれなりに楽しい。定期的にマネージャーに進捗報告をし、レビューさえ受ければ、ある程度自由に仕事ができる。
でも、何だか最近テンションが続かない。悪い意味で仕事に慣れてしまったような気さえしている。なんなんだこの閉塞感は--

きっと「ミドル」とも呼ばれる企画部署の担当社員は孤独になりがちだ。

①:企画メンバーは、2つか3つのプロジェクトにつき中核メンバーとしてアサインさ

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