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【掌編】ウィル・オ・ウィスプ
己の呼吸と重たい衣擦れの音だけが、空間に響いている。もうどうれくらい此処にいるのだろう。周囲は、相も変わらず闇に支配されている。冷え切った床と壁は、あらゆる生命の営みを拒絶しているかのようだ。
私は罪を犯したとされた。家族や恋人、私にとって大切な人々の誰一人として減刑を嘆願しないのは、私の罪が王の怒りに触れるものだったからであろう。
しかし、である。私はただ一言、こう詠っただけだ。
――光こ
(シオラン)
求めなければならないのは、後世の、ましてや現世の尊敬ではなく、自分自身への尊敬だ。大切なのはこれだ。自分に恥じるところがない、すべてはこれにかかっている。こういう境地になれないからこそ、私はいつも、いたるところで、ぐらついているのだ。
詩『怒りと悲しみ 寂しさと』
感情が 降り積もる
心の中に 沈んでいく
怒りと悲しみ それに寂しさ
何かが 心をかきまぜる
波が立ち 荒れていく
沈んでいた苦しさが込み上げて
涙となって流れていく
何度も涙したのに
まだ流しきれてないのか
そんな自分もいやになる
でも
怒りは
許せないからなのか?
悲しみは
何かを失ったからなのか?
寂しさは
誰もいないからなのか?
それだけなのだろうか?
自分を 人を 思う気持