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記事一覧
きっと、恋をしていた
「あなた、本当はいい人いるんじゃないの」
祖母の言葉に食べかけの豆苗を詰まらせそうになる。隣では妹がお茶をむせていた。
・・・
その日、昼前に電話がかかってきた。
「あなた、今日は予定は?」
「特には。あれ、ママから検査入院って聞いてるけど、持っていくものとかある?」
「なら恵比寿に出てきてちょうだい。今日、退院したのよ。で、今、恵比寿のいつもの中華のお店にいるから。食べさせてあげるか
私が散歩を辞めた理由(ワケ)【創作大賞2024応募作エッセイ部門】
ここ4か月、あの道を歩いていない。
週末必ず通っていた散歩道。
景色を見たら、苦く切ない感情が溢れてしまうから、歩けない。
全ては一つの出来事に行きつく。
1. 失恋
人を好きになるってどんな気持ちだったっけ?という感じでずっと生きてきた。
人生半世紀を迎えようとした昨年、その人は職場にいた。
今まで仕事が中心の生活。資格の勉強もはかどっていて、友達と食事や旅行を楽しむなど、それなりに
モンブランは好きですか
ガラスケースに並ぶ、キラキラのケーキたちの中でも異彩を放つフォルム、安心するほっくりとした甘さの「モンブラン」、あなたは好きですか。
僕は、大好きです。
いつから好きか覚えていませんが、子どもの頃からケーキはモンブランを選ぶことにしていますし、いまでもモンブランだけを見つめています。
そんな”モン”のこと、語らせてください。モンは僕が勝手に呼んでいるモンブランの愛称ですが、フランス語のモン(
わたしが韓国人と結婚して「バツ1/2」になるまでの12か月【#創作大賞2024】
わたしの離婚歴は、1と1/2回。
中途半端になってしまったのは、このうちの1/2回分が国際結婚だからだ。
国際結婚というのはけっこう複雑で、2つの国で婚姻届を出さないと成立しない。
わたしの場合は、韓国と日本。韓国で結婚し、日本では婚姻届けを出せぬまま、12か月後には離婚した。
「言葉の違いが、原因でしょ?」
「文化の違いが、大変だったんでしょ?」
離婚をしたばかりのころはよく言われたけ
小説「ある朝の目覚め」第一章
あらすじ化粧はわたしの「戦闘服」。わたしを強くしてくれる。
内気で感受性の強い自分に「武装」してIT企業の技術営業職として働くあや子は、お気に入りのノートと万年筆で日々の出来事や自分の考え・思いを書き出して整理する習慣を仕事や生活に活かしている。
出勤前のおひとり様時間を楽しむカフェでのある女性バリスタとの交流が、あや子の日々と内面とに、最初は小さな、徐々に大きな波紋を起こしていく。
ある日
モテたい彼と依存する彼女 第6話
1話目はこちらから(下部に全ページリンクあり、全11話です)
https://note.com/koito_0_0_/n/n08a382d38b6d
吉川に話を聞いたあと、吉川の知那に対する態度が変わった。
相変わらず教室へ遊びに来る知那に対して歓迎していたが、もうひとつ踏み込むようになったように見えた。
それがはっきりわかったのは、知那の噂を聞いた3日後のことだった。
「知那ちゃん!