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No.1233 大人と子供の十七音

No.1233 大人と子供の十七音

大分県には、全国の大人や子どもの心の風景を望める五七五の大会があります。

父親が宇佐市出身というゆかりの作家・横光利一(1898年~1947年)の生誕100年を記念して、1999年(平成11)年から開催している「横光利一俳句大会」は、今年で第26回目を迎えます。

横光利一は、1898年(明治31年)3月17日に、父・梅次郎(大分県宇佐市出身)と母・こぎく(三重県伊賀市出身)の長男として福島

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春侯爵詩片

春侯爵詩片

緑が黄金のような輝きを帯びる
なだらかな山に囲まれた盆地にて

一度人生を味わい尽くして
故郷に流れ戻された私には

宙空を凝視しながら
時代の相似点を探し

フラクタルに
気づきました

ナチスが暗黒の津波のように
押し寄せる欧州のユダヤ人達

B29の絨毯爆撃が毎日やってくる
東京の下町の行くあてもない人々

大本営発表と鬼畜米英
マスゴミとロシア中国

何も変わらない
同じ風景と運命

やが

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美しき流れに心をゆだねる

美しき流れに心をゆだねる

第52週 3月30日〜 の記憶。 それを探る試みです。
一年間のルドルフ・シュタイナー超訳に挑戦中です。

今週は、1年間の締めくくりです。
この地球で美しき流れに心をゆだねられるように、という祈り
そして、ひとつになる。

では、読み解いていきましょう!



  心奥の
  気持ちが地球での存在へと向かう
  そして、宙の広がりから美がうねり出し
  そのとき、身体に宿すべき生命力が
  

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【現代詩】『熱湯✿3分』

【現代詩】『熱湯✿3分』

『熱湯✿3分』
あかきみどりむらさき

カップラーメンが出来上がる迄の
心地良いこの誰のものでもない3分間を
どうぞ私にお捧げ、くださいませ

今、世の中は、残酷にも、春なのです、よ。

自分を駄目だと思う事で
精神の安定を保っていた
我が愛しき婆ちゃん
ここへ、どうぞヒラリ
舞戻ってくださひな



思い出す、華を凍結させた
私達の夢。
願いを込めて、押し花したのは
明日、明後日、それよりず

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詩『青い色は』

詩『青い色は』

雨が降る
濡れた人しか分からない
冷たさがある

涙が流れる
泣いた人しか分からない
胸の内がある

雨が川となり
滝となって流れ落ち
深い淵となるように

これまで流した涙も
心の中に湛えられ
淵となっていくのだろうか

地図になく 
知る人もない淵の
深さを知るのは自分だけ

ぼくは願っている
雨が上がることを
雲が消え去る日を

いつか青空が広がり
見上げる時が来たなら
一歩 踏み出してみよ

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詩『届け! ぼくの歌』

詩『届け! ぼくの歌』

寂しい時 青い空の下で
ぼくは歌を歌う
大きな空に寂しさが吸い込まれる

楽しい時 道を歩きながら
ぼくは歌を歌う
太陽がいつもより眩しい

悲しい時 真っ赤な夕日に向かって
ぼくは歌を歌う
悲しみが涙に流れていく

歌を歌っていると
嬉しい時はもっと嬉しく
悲しい 寂しい気持ちが半分になる

だからぼくは歌が好き
誰かに聴いてほしいけど
上手くないから恥ずかしい

風が吹き抜けた
野原がなびく

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プリズムで人生を照らす -傑作映画『天が許し給うすべて』の魅力

プリズムで人生を照らす -傑作映画『天が許し給うすべて』の魅力

【木曜日は映画の日】



以前、映画のカメラマンを紹介したことがあります。その中でも、自然な光を捉えるタイプと、人口の光を捉えるタイプのカメラマンがいました。

人工的な場面を作るカメラマンや映画監督は、光に意味を持たせます。自然ではない光によって、登場人物の心情に意味を持たせて、鑑賞者にそれを味合わせるのです。

そうした人工的な光によって彩られた傑作メロドラマの一つに、ダグラス・サーク

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詩 「そこにいて」

詩 「そこにいて」

そこにいて

ただ そこにいて

まだ そこにいて

ずっと そこにいて

でもさ とか

もっとさ とか

そんなの ないよ

きみが

そこにいて

そうやって 

いきていることが

うれしいから 

そこにいて

ねえ

ねえ

あのさ

そこにいて

陽光の中の回想 -モーツァルト『ピアノ協奏曲27番』の美しさ

陽光の中の回想 -モーツァルト『ピアノ協奏曲27番』の美しさ

よく、自分の葬式で流してほしい曲、というアンケートがあります。私の場合何かと考えると、ロックやポップ音楽と別に、クラシックの中だと、多分モーツァルトのピアノ協奏曲27番(K595)を選ぶと思います。

この曲には、落ち着いた午後、かつての楽しかった過去を思い出しているような、甘美さと静寂があるからです。


第1楽章の導入。静かに弦が入り、麗しいメロディが奏でられます。しかし、長調の明るいメロ

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No.886 花香り、蝶の来る。

No.886 花香り、蝶の来る。

♪ 山には山の 愁いあり   
海には海の 悲しみや     
ましてこころの 花園に    
咲きしあざみの花ならば 

♪ 高嶺の百合の それよりも   
秘めたる夢を ひとすじに   
くれない燃ゆる その姿    
あざみに深き わが想い

♪ いとしき花よ 汝(な)はあざみ
心の花よ 汝はあざみ     
さだめの径は 涯(は)てなくも
かおれ

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無垢が現代を染める -ウォーホルについてのいくつかの随想

無垢が現代を染める -ウォーホルについてのいくつかの随想

少し前、現代美術家、アンディ=ウォーホルの作品がニュースになったことがありました。環境活動家が、ウォーホルが制作したアートカー『BMW M1』に小麦粉をぶちまけて、逮捕されたというニュースです。

そのことの是非はここでは問いません。私がこのニュースを聞いて思ったのは、きっと、ウォーホルが生きていたら、大喜びするだろうな、ということです。

ウォーホルなら、こんなことを言ったのではと妄想します。そ

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ボードレール『バルコニー』Le Balcon|訳してみました

ボードレール『バルコニー』Le Balcon|訳してみました

『バルコニー』

想い出の母なる泉、恋人のなかの恋人よ
君こそは歓びのすべて、我が忠誠のすべて
あの甘やかな抱擁を思い起こさないだろうか
暖炉辺の安らぎ、夕な夕なの魅惑を
想い出の母なる泉、恋人のなかの恋人よ!

石炭の熾火で彩られた黄昏
薔薇のヴェールにけむる バルコニーでの夕まぐれ
君の胸はなんと柔らかく、その心臓はなんと心地よかったことか!
我らは不滅のことどもについてよく語り合った
石炭の

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詩 「存在」

詩 「存在」

1.

生まれなかった息子よ
今どこで何してる
顔も知らぬ娘よ
苺味の飴をあげる

広い宇宙のどこかに
影を持たない君がいて
まだかまだかと待っている
わたしの連絡待っている

草や木のように
石や砂のように
揺るぎない信念で
ただそこで待っていて

2.

どこへ行くのときかれたら
ちょっとそこまでと答えます
存在しない手のひらの
ぬくもり探しに出かけます

愛をささやく船が出て
君の名前を呼び

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走りながら思想しよう “列車霊と女神のエクソソーム”

走りながら思想しよう “列車霊と女神のエクソソーム”

困難な仕事に一区切りついて、春の嵐の先駆けが吹く日。私の中にロマンチシズムが兆し、余計なものにとらわれない、純粋な探索の一日にしようとでかけた。胸の中にもやもやと詩情が湧くと、風や雲の形、ゆき花が物を言う。
駅で3歳くらいの男の子と若い父親がおり、男の子がアナウンスに父親を急かす。「来るかもしれないよ」。次の瞬間、濃緑の気配をまとう瑞風が走り過ぎてゆく。男の子のために瑞風は気品ある出会いの記憶をプ

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