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レビューとレポートとおすすめ記事

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学芸出版社の本に寄せられたレビューや、著者の皆さんの文章、書籍関連イベントのレポートなどをざっくりまとめます。
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『森ではたらく!』トーク・大交流会[古川大輔]|【イベントレポート】

『森ではたらく!』トーク・大交流会[古川大輔]|【イベントレポート】

盛況のうちに終えた7.15(日)「出版5周年プレ祝い『森ではたらく!』トーク・大交流会。2週間経っても熱気冷めやらぬ(?)なか、編者で当日のモデレーターをつとめてくださった古川ちいきの総合研究所・古川大輔さんが、当日のイベントをまとめてくださいました。

参加いただいた皆さん、この度は、ありがとうございました。4年前に出版した「森ではたらく!」。4年後に著者がどうなっているか、読者・ファンの皆さま

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ローカルメディアに求められる「編集」とは何か|尾内志帆|【ブックレビュー】

ローカルメディアに求められる「編集」とは何か|尾内志帆|【ブックレビュー】

地域に根付き、多様な人をつなぎながら継続するための考え方とノウハウを解説した『ローカルメディアの仕事術』。「住まいマガジン びお」編集長の尾内志帆さんによるレビューです。

「地域×編集」というテーマで特集される記事や媒体が目につくようになった。実際、都市から地方へ移住する編集者や、ある地域へ足繁く通う編集者ともよく出会う。かく言う私も、昨夏に15年住んだ東京を離れ、浜松市へ拠点を移した。全国にあ

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芸術と技術を融合するディテールに宿る情熱|関本竜太|【ブックレビュー】

芸術と技術を融合するディテールに宿る情熱|関本竜太|【ブックレビュー】

北欧を代表する建築家アルヴァ・アールトの美しく機能的なディテールを集めた作品集『アルヴァ・アールトの建築 エレメント&ディテール』に寄せられた、建築家・関本竜太さんによるレビューです。

アールトの建築はディテールである。逆に言えば、ディテールにこそアールト建築の本質は宿っているといえる。

アールトの建築の魅力は、作品集などからはけっして推し量ることはできない。アールトの建築に触れてみたいと、私

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“安全なまち”はいつも個別解。地方が抱えるジレンマ|【イベントレポート】

“安全なまち”はいつも個別解。地方が抱えるジレンマ|【イベントレポート】

密集市街地の防災と住環境整備:関西編 セミナーレポート(その3)
密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』の出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。

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再整備に欠かせない「世代を超えた生活設計」という視点|【イベントレポート】

再整備に欠かせない「世代を超えた生活設計」という視点|【イベントレポート】

密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』。
その出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。

今回はこのイベントレポートを3回に分けてお送りします。
大野

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「大義」だけでまちは動かない。都市整備35年の試行錯誤|【イベントレポート】

「大義」だけでまちは動かない。都市整備35年の試行錯誤|【イベントレポート】

密集市街地の防災性と住環境の向上に取り組んできたUR都市機構(以下、UR)の15の事業手法を総覧した書籍『密集市街地の防災と住環境整備』。
その出版を記念して2017年11月21日に行われた東京・密集市街地再生フォーラムに続き、「密集市街地の防災と住環境整備:関西編」と題した出版記念セミナーを2018年2月9日、大阪にて開催しました。

今回のセミナーは5名の方に登壇いただきました。
本書を執筆し

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リノベーションの次に起きたのは、建築の◯◯化だった|ナカムラケンタ|【ブックレビュー】

リノベーションの次に起きたのは、建築の◯◯化だった|ナカムラケンタ|【ブックレビュー】

もはや建築家は必要ないんじゃないか。世の中には建築が溢れているし、人口も減っていく。

そんな予感がした建築学生時代に、一つの答えを提示したのが、この本の著者の1人である馬場さんだった。それが「リノベーション」という手法。新築せずに既存の建築を活かすという意味で画期的。まさに薄暗い建築の世界に射す、一筋の光だった。

ただ、そのリノベーションによって、建築家の役割が変わるきっかけにもなったように思

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ポートランドが、ポートランドたりえている理由|林厚見|【ブックレビュー】

ポートランドが、ポートランドたりえている理由|林厚見|【ブックレビュー】

本書の冒頭に登場するジョン・ジェイに僕が会ったのは14年前。東京ではむしろ場末ともいえる場所でパンクのライブが鳴り響くパーティにたまたま出くわして入ってみたら、それは意外にもルイ・ヴィトンのパーティで、それを仕掛けた“かの有名な”ジョンがいたのだった。まだ何の実績もない僕に対していきなり「来週オフィスに来な。話そうぜ」と言った彼の印象は強烈だったが、そこに表れていた“あの街”のノリを当時は知らなか

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人と社会を幸せにできる会社だけが未来に選ばれる

人と社会を幸せにできる会社だけが未来に選ばれる

坂本光司(法政大学大学院教授)×森摂(オルタナ編集長)会社は誰のものですか?
100年後も輝き続ける会社にするために大切なことは何ですか?
7000社以上の企業をみてきた経済学者と、企業経営の本質を取材する経済記者が語る、未来に選ばれる会社とは。

(2015年11月13日 『未来に選ばれる会社』出版記念トーク、マルノウチリーディングスタイルにて)

坂本光司
法政大学大学院政策創造研究科(地域づ

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場のホスピタリティを担保するのは、“暇人”の存在。|がくげいラボvol.4「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」大谷悠さん|【イベントレポート】

場のホスピタリティを担保するのは、“暇人”の存在。|がくげいラボvol.4「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」大谷悠さん|【イベントレポート】

1月20日(土)に開催したがくげいラボvol.4。テーマは「“CREATIVE LOCALなライプツィヒ”で今起こっていること」。

学芸社屋改修レポート#2 でもちょろっと触れたのですが、10月の夏休みにオランダ・ドイツを巡ってきた岩切が、ドイツでお世話になった大谷悠さんをお呼びしました。

定員を超えるたくさんの皆さんにご参加いただきました。

現地で大谷さんが連れて行ってくれたのは、アムステ

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エネルギーを自分事に“つなげる”ために|鈴木菜央|【ブックレビュー】

エネルギーを自分事に“つなげる”ために|鈴木菜央|【ブックレビュー】

本書の冒頭に登場する村楽エナジーの井筒耕平さんを「新しい時代のエネルギーベンチャー企業」として取材させていただいた。
廃業した温泉宿を「元湯」として復活させた井筒さんは、まもなく薪ボイラーを導入するということで、そうなれば、薪で沸かしたお湯に浸かって、エネルギーの地産地消を肌で感じることができる。

僕が編集長を務めるgreenz.jpでも何度か取材をさせてもらっているが、西粟倉村は「100年の森

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僕らが描き始めた都市の未来|馬場正尊|【イベントログ】

僕らが描き始めた都市の未来|馬場正尊|【イベントログ】

2016年5月に蔦屋書店代官山店にて開催された『エリアリノベーション』出版記念イベントでの、編著者・馬場正尊さんによるトークのログです。行政主導の「都市計画」でも市民の良心に依存した「まちづくり」でもない新たなエリア形成の手法「エリアリノベーション」とは――。

馬場正尊Open A代表/東京R不動産ディレクター/東北芸術工科大学教授。
1968年生まれ。早稲田大学大学院建築学科修了後、博報堂入社

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コミュニティを生み出し、可視化させるローカルメディアの力|仲俣 暁生|【ブックレビュー】

コミュニティを生み出し、可視化させるローカルメディアの力|仲俣 暁生|【ブックレビュー】

数年前から町中の書店で、さまざまな地方の小さな媒体をみかけるようになった。
それらはフリーペーパーだったり有料だったりし、発行主体も個人や少人数のチームだったり、出版以外の企業や自治体だったりと多種多様だ。
かつて「ミニコミ」と呼ばれ、最近では「リトルプレス」と呼ばれるたぐいの小規模な出版物が多いが、なかには数万部も発行されているものもある。

私自身、5年前に出した『再起動せよと雑誌はいう』(京

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団地は今こそ面白い! 団地読解の手習い in 和歌山|【イベントレポート】

団地は今こそ面白い! 団地読解の手習い in 和歌山|【イベントレポート】

12月3日は、『団地図解』刊行記念イベント@和歌山・本屋プラグさんでした!  これまでの東京・大阪イベントとは打って変わって、超ローカルな場所で団地を解剖した本イベント。結果として、また新たに大胆な団地(団地係)の見方が生まれてきた回でした。

蜜柑援農のチラシが貼ってある店内。さすが和歌山

今回はまず、設計手法詳解の前に、団地ってそもそもどういうものなの??という基礎解説から始まりました。さす

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