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郷酒 厨房 日記

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東京九段下/神保町にある小さな居酒屋『郷土料理と日本酒のお店 郷酒』 食べること飲むこと大好き!な料理人でもある女将が、季節の食材のストーリーと、こだわりのお酒、旬のおつまみレシ… もっと読む
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#郷土料理

しっかり食べて、よく休んで、粘り強く真っ直ぐに。

しっかり食べて、よく休んで、粘り強く真っ直ぐに。

今回は、普段のレシピとはあまり関係ないことを書きます。WBC、侍JAPANの試合、優勝を見て、感動していてもたってもいられなくなったからです。

私は大谷翔平君の地元出身です。

大谷君のインタビューが話題になり、とてもとても嬉しく思いました。

MVPの大谷翔平選手、「どこの惑星から来たの?」と聞かれ、どう答えた? その一言が素朴で最高だった (ハフポスト日本版)

大谷君の、あの田舎からこ

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【365日の魚介レシピ】鮮度と下処理が肝心!!〜あん肝ポン酢&あんこう鍋〜

【365日の魚介レシピ】鮮度と下処理が肝心!!〜あん肝ポン酢&あんこう鍋〜

居酒屋メニューでお馴染みのあんこうの肝の蒸し煮、あん肝。寒くなって来ると、鮟鱇の旬、なので同時にあん肝も旬を迎えます。

既製品や冷凍品が年中出回っていますが、私は旬を大切にしたいので、旬の時期の国産の鮟鱇を肝付きで取り寄せ、そこから取り出した肝で作ることが多いです。あんこう鍋といえば、茨城の北茨城や大洗あたりの郷土料理とされていますが、意外と三陸や青森でもあんこうの水揚げがあるんです。

スーパ

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道草食べながら帰ったあの頃、今はお取り寄せで楽しむ野草の味

道草食べながら帰ったあの頃、今はお取り寄せで楽しむ野草の味

子供の頃、地区にあるお店が片手で数えられるくらいしかない田舎に住んでいました。小学校近くの商店か、農協ストアか、そんなもんです。
買い食いはダメでしたし、当然買う店もありません。ですから、いつも食べられる草や実を探して摘みながら帰りました。

そんな経験を元に、野草に関するこんな記事を書かせていただきました。街に蔓延るドクダミの生命力に関心しつつ。

【食べられる夏の野草を調理して野山の香りを食卓

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大槌の鹿肉と『なめとこ山の熊』と宮沢賢治と、ジビエ料理(おまけレシピ)

大槌の鹿肉と『なめとこ山の熊』と宮沢賢治と、ジビエ料理(おまけレシピ)

料理になると忘れてしまう、この食材はかつて生きていたことを。人間は生きとし生けるものの生命をいただきながら生きていることを。

しかし、気にしだしたら何も食べられなくなってしまうから、ありがとう、いただきますと心の中で手を合わせ、感謝しながら、残さず、もったいないことのないように、食べることが大事、といつも思っている。

牧場で眺める羊のショーはとても可愛い。そのあと、残酷だねーと言いながら、ジン

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【365日の魚介レシピ】もう『飽きた』なんて、言わせません!タラを丸ごと味わうレシピ集

【365日の魚介レシピ】もう『飽きた』なんて、言わせません!タラを丸ごと味わうレシピ集

ジェットコースターのように、緩急目まぐるしかった2021年。こんな年は初めてでしたが、過ぎてしまえばこれもまた一つの経験ですね。年末前は忙しく、noteを書く暇もなかなか取れなくなりました。

(しかも、せっかく書いても消える、写真アップできない、フリーズするなどなどどうも不具合だらけで心折れることもしばしばありまして。やっと気持ちも調子も落ち着きましたが。)

さて、先日東京にも雪が降り、寒い日

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【365日の魚介レシピ】〜鮭の味噌ガーリックバター焼き〜カムイ・チェプ(神の魚)をありがたく食べる

【365日の魚介レシピ】〜鮭の味噌ガーリックバター焼き〜カムイ・チェプ(神の魚)をありがたく食べる

先日の郷酒ランチは秋鮭の味噌バター焼きでした。

いくらも使いたかったので、岩手産のメスの秋鮭を仕入れました。

地元では今の時期、北上川などで鮭の遡上が見られます。遊具も公園もなく、ボーッと川を眺めるくらいしかやることないな〜という帰り道も、いま思えば豊かな時間でした。

さて、秋鮭は脂がさっぱりしていて、塩焼きやフライにすると淡白になりがちです。なので、ちゃんちゃん焼き風の味噌バター焼きにしま

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人の心に残るのは結局、普段の何気ないごはんなのかもしれない。

人の心に残るのは結局、普段の何気ないごはんなのかもしれない。

友達にもらった梅で梅干し(土用干ししてないから梅漬け)漬けたのだけど、おばあちゃんの作ってたみたいな、しょっぱすっぱくはならなかった。

塩分20%でやったけど、意外と食べやすい。

寝かすとさらにまろやかになるというから、もしかしたらさらにマイルドになるかもしれない。いただいた梅の熟し方や特性もあると思うのだけど、なんだかフルーティでジューシー。

一昨年、別の友達にいただいた梅はアクが強くて、

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偉いぞ、カツオ!

偉いぞ、カツオ!

『サザエさん』では、わんぱくでおバカでずる賢くて、いたずらしたり、何か企んでは怒られてばかりいるカツオ君。

私も子供の頃、大人の真似をしたり、へりくつを言ってはよく怒られていたから、座敷に呼び出されて、「ちょっとそこに座りなさい」なんて言われて波平さんにお説教されるカツオ君になんだか共感していた。でも、カツオ君はいたずらばかりするので、なんでわざわざ怒られるような事をするんだ、と冷ややかに観てい

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ぶきっちょさんの狂詩曲

ぶきっちょさんの狂詩曲

毎日厨房に立っているけど、今でも、包丁握るのは少し怖い。散々指切ったし、縫ったし、やけどもしたし。鈍臭くて、もう。

10何年やって、やっと人並みになれたかなぁと思っている…。

それでも、お刺身には苦手意識があるし、魚おろすのも、毎日真剣にやっているけど、満足のいくきっちりした卸し方が出来る日はそう多くない。

恥ずかしいけど。

機械を扱うのも嫌いじゃない。ファミレスやイタリアンにいた時は色ん

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さんさと花火とフェスとビール

さんさと花火とフェスとビール

涼しくて長かった梅雨も明け、ギンギラギンの夏がきた。厨房もクーラーと、ミニ扇風機3台をフル稼働させているけど、ランチとディナーで着替えなきゃいけないくらい、流れる汗が止まらない。料理担当の私達東北人には少々、暑さが辛い。

でも、夏は毎年楽しい事が多くて、意外とあっという間に過ぎてしまう。夏野菜は色とりどりで扱っていて楽しいし、枝豆やゴーヤ、露地物のトマト、とうもろこしは美味しいし、暑い中ビアガー

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映えないけど、地味で茶色いおかずの魅力☆〜夕顔の話〜

映えないけど、地味で茶色いおかずの魅力☆〜夕顔の話〜

先日、田舎に帰ったら、行きつけのお店の小鉢に夕顔の煮物がついてきた。

最初、何かわからなくて、凍み大根かと思ったら、夕顔だった。

夕顔は、岩手の夏の味。

冬瓜に似たような姿だけど、夕顔は実はかんぴょうの素になる。夏に身体の熱を取ってくれるウリ科のものなので、夕顔も外で働く農家のほてった身体を冷やしてくれていたのだろう。

おばあちゃんは、カツオのなまり節(カツヲを茹でたり、蒸したりした加工品

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