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暮らしの気づきや伝統工芸品のすてきな魅力をつづります

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「Ka」

気がつくと季節は、少し肌寒い朝を迎えていた。鈍感な人間たちは、天気予報のお姉さんが「今日から秋の気配ですね」と一言つぶやくと一斉に衣替えを始める。 人間は、いつ…

mimimi
2年前
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久しぶり

仕事で言葉が書けなくて、毎日悶々としている。 書くと言っても足りないのは2行、1行、1行。 文字数で見たらびっくりすると思う。 たった1行に何度もつまずいて、これだと…

mimimi
8か月前
5

遊び疲れたら川の字で寝よう 猫の隣で寝転ぶ幸せ テレビゲームの臨場感は、胡座から生まれる 赤ちゃんは地べたの冒険家 ショートケーキのいちごが落ちても泣かない 雨に飛…

mimimi
1年前
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SF物語

もう何も見たくないと思うことがある。 もう何も聞きたくないと思うことがある。 世の中、色んなものが溢れすぎている。 このまま強制終了でok。 人生は全部自分で決め…

mimimi
2年前
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ウクライナ

2月12日 ウクライナ政府が民間人から志願者を募り、領土防衛軍を強化しているという朝日新聞の動画ニュースをみた。領土防衛軍へ志願した男性は、色々と宣誓を述べた最後に…

mimimi
2年前
24

おわり、はじまり。

まいにち、交番の前を通るので必ず目に入るのが、入り口に表示されている昨日の交通事故。 負傷者はいつも90人から多い日は120人くらい。赤字で書かれた死亡者数が0だとほ…

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2年前
15

やらない目標

年が明けてはや19日。 年末年始に立てた今年の目標は順調ですか。 私は毎年あれこれ考えて、「今年こそは〇〇するぞ!」と意気込んでみるけれど、実際に達成できたことは半…

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2年前
10

揚げ餅を育てる

お正月気分もすっかり落ち着いてきた。 慌ただしい日常が戻りつつある裏で、静かな戦いは始まっている。 もちvsカビだ。 我が家では年の瀬に親戚が集まり餅つきをする。…

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2年前
13

存在のルール

死にたいは帰りたいという気持ちに少し、似ている気がする。 人は生まれた瞬間から死に向かう。 本能的に、形のない場所に帰ろうとするのが、きっと人間なのだ。 つり革に…

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2年前
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死ぬ前に食べたい回転寿司

ずいぶんとまえに回転寿司屋に行った。 席につくなり妹はメニュー画面をポチポチしながら、ネタを見定める。母は三人分のカップに粉末茶を入れて、お湯を注いでいた。 こ…

mimimi
2年前
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ケズリバナのつくりかた

ケズリバナは作物の豊かな実りを願い小正月につくられるモノツクリです。 作ったものは神棚や家の門口など様々な場所に飾っていたそうです。 ミズキを削ったもの まだま…

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3年前
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うまくってなんだ

知らないうちに10月が終わりそうだ。 知らないのは自分だけだったかな。 ここ最近、うまくいかないなと思うことが多くて、少し苦しい時間を過ごしていた。 落ち込んだり…

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3年前
18

秋風

秋は律儀なヤツで、もうすぐ秋が来ますよーと風に乗って日本中を挨拶に回る。 その挨拶が終わると秋が来る。 今日はそんな風が吹いている。 今年は何もない夏だったなん…

mimimi
3年前
19

窓辺のガガンボ

人がまばらの電車の中 窓の外をじっと見ているガガンボがいっぴき 逃してやろうか、どうしよか、 電車は揺れる、ガガンボは動かない 雨上がりの帰り道 窓の外は砂つぶ…

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3年前
21

少年と犬

歩道脇に止められた車を囲うように人だかりができていた。誰かの掛け声に合わせて車の片側を持ち上げている最中だった。抱きかかえられながら出てきたのは、手と口から血を…

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3年前
26

白昼夢

コロナの影響で仕事も在宅勤務をするようになり、1ヶ月くらい家の中から出ることがなくなりました。そんな状況に立って初めて、「日常」の尊さを痛感する日々を過ごしてい…

mimimi
4年前
18
「Ka」

「Ka」

気がつくと季節は、少し肌寒い朝を迎えていた。鈍感な人間たちは、天気予報のお姉さんが「今日から秋の気配ですね」と一言つぶやくと一斉に衣替えを始める。

人間は、いつの間にか夏が終わってしまったなどと、いかにも秋が気まぐれにやってきたかのような言い方をする。でもね、蚊のアタシから言わせれば全くなっちゃいないよ。

八月の厳しい残暑の中、アタシが覚えているに、八月の七日あたりだろうか。時折吹く清々しい風

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久しぶり

仕事で言葉が書けなくて、毎日悶々としている。
書くと言っても足りないのは2行、1行、1行。
文字数で見たらびっくりすると思う。
たった1行に何度もつまずいて、これだと思っても赤字だらけ。言われたことを守っているつもりでも、また別の場所が赤になる。

新しく考え直しても赤。
赤字を取り入れても赤。

ちゃんと考えられてないから赤ばかりなんだ、と言う自分もいれば、もう何が正しいのかよくわからない、と言

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無


遊び疲れたら川の字で寝よう
猫の隣で寝転ぶ幸せ
テレビゲームの臨場感は、胡座から生まれる
赤ちゃんは地べたの冒険家
ショートケーキのいちごが落ちても泣かない
雨に飛び込む
夏の水虫知らず
できないのは、いまだけ
孤独から生まれるものを愛している
ため息にも華を
いのちの代弁者
お母さんの来ない運動会なんて、
雨で中止になればいい
今宵の月をきみもどこかで見てるかな
虹のしっぽ
いとばなが咲いた

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SF物語

もう何も見たくないと思うことがある。

もう何も聞きたくないと思うことがある。

世の中、色んなものが溢れすぎている。

このまま強制終了でok。

人生は全部自分で決めたことの積み重ねならば、終わりだって自由に選んでもいいのではないかと。

もしも自由に死ぬことができたら、明日死ねばいいやって、結局死ぬのすらめんどくさくなるのかな。

生きてても面倒、死ぬのも面倒。

それはそれで大変そうだね。

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ウクライナ

ウクライナ

2月12日
ウクライナ政府が民間人から志願者を募り、領土防衛軍を強化しているという朝日新聞の動画ニュースをみた。領土防衛軍へ志願した男性は、色々と宣誓を述べた最後に「ウクライナ国民を決して裏切らないことを誓います」といって契約書に署名をしていた。

雪がちらつく寒空の下には、迷彩柄の服を着た屈強な男性から、ファーフード付きのコートを着た普通の女性まで、大勢の人が集まり軍事訓練をしていた。
ひとりに

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おわり、はじまり。

まいにち、交番の前を通るので必ず目に入るのが、入り口に表示されている昨日の交通事故。
負傷者はいつも90人から多い日は120人くらい。赤字で書かれた死亡者数が0だとほっとする。

1や2がある日は、誰かも知らない人のことを少しだけ考える。とつぜん、知らせを受けたお家にとって、一夜明けたこの朝は色なんてなにもないだろう。

誰も年の明けためでたい日に、ことし自分がしぬかもしれないなんて思いもしないだ

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やらない目標

やらない目標

年が明けてはや19日。
年末年始に立てた今年の目標は順調ですか。
私は毎年あれこれ考えて、「今年こそは〇〇するぞ!」と意気込んでみるけれど、実際に達成できたことは半分もなかったりする。我ながら情けない。
「毎日〇〇するぞ!」なんていう目標も三日後には忘れていたりするので本当に情けない。

だから今年は「〇〇をしない」という目標をつくった。これまたズボラな考えだけど、行動を起こすより我慢する方が実行

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揚げ餅を育てる

揚げ餅を育てる

お正月気分もすっかり落ち着いてきた。

慌ただしい日常が戻りつつある裏で、静かな戦いは始まっている。

もちvsカビだ。

我が家では年の瀬に親戚が集まり餅つきをする。
昔はちょっとしたお祭りのようだった。

祖母世代が熱々のもち米をガーゼに絡んで、臼に入れると、祖父や父親世代の男手がドス、ドスと餅をつく。

母親世代や子どもは、お供え用の鏡餅をつくったり、あんこを丸めて大福をつくるのが恒例だった

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存在のルール

死にたいは帰りたいという気持ちに少し、似ている気がする。
人は生まれた瞬間から死に向かう。
本能的に、形のない場所に帰ろうとするのが、きっと人間なのだ。

つり革につかまりながら、目の前の広告を見て思った。一昨日まで、誰にでも夢と笑顔を振りまいていた人気アイドルの写真が、大きく写っている。その横に赤く塗りつぶされた背景に、黒文字で「自殺」と書かれた週刊誌の広告は、湿っぽい電車の中に妙に馴染んでいた

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死ぬ前に食べたい回転寿司

ずいぶんとまえに回転寿司屋に行った。
席につくなり妹はメニュー画面をポチポチしながら、ネタを見定める。母は三人分のカップに粉末茶を入れて、お湯を注いでいた。

こんな時期にわざわざ行かなくてもと思っていた
わたしは、モヤモヤしながら流れてくるお寿司を眺めていた。

テーブル席はどこもいっぱいだった。
注文したお寿司が流れて来るとそれを手に取り、嬉しそうにお母さんに手渡す子どもの声がする。

エビが

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ケズリバナのつくりかた

ケズリバナのつくりかた

ケズリバナは作物の豊かな実りを願い小正月につくられるモノツクリです。
作ったものは神棚や家の門口など様々な場所に飾っていたそうです。

ミズキを削ったもの

まだまだ不恰好ですが、簡単に作り方を紹介したいと思います。

材料はニワトコやミズキ、オッカド(ヌルデ)などの、節の少ない木を削って作ります。

右がニワトコで2メートル近くあります。左はミズキ

ハナカキと呼ばれるケズリバナ専用の小刀を使い

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うまくってなんだ

うまくってなんだ

知らないうちに10月が終わりそうだ。

知らないのは自分だけだったかな。

ここ最近、うまくいかないなと思うことが多くて、少し苦しい時間を過ごしていた。

落ち込んだり、苛立ったり、消えてしまいたくなったり、うまくいってない自分を許せない気持ちがむくむくうまれて、

うまくいってない自分はどんどん、しぼんでいくようだった。

うまくいってない自分はみじめで、はずかしいと思った。

けれど途中で、う

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秋風

秋は律儀なヤツで、もうすぐ秋が来ますよーと風に乗って日本中を挨拶に回る。

その挨拶が終わると秋が来る。

今日はそんな風が吹いている。

今年は何もない夏だったなんて言わないで。

夏は秋の挨拶を横目に少し寂しそうにつぶやいた。

窓辺のガガンボ

人がまばらの電車の中

窓の外をじっと見ているガガンボがいっぴき

逃してやろうか、どうしよか、

電車は揺れる、ガガンボは動かない

雨上がりの帰り道

窓の外は砂つぶ色に憂鬱な雲

外に出たいな、帰りたいな

点と線で描いたような簡単な体

触ったら足がとれる

手がとれる

些細な力が全てを崩し

風にゆられて、雨に打たれて

しまいには

本当に点と線になってしまうのではとハラハラする

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少年と犬

歩道脇に止められた車を囲うように人だかりができていた。誰かの掛け声に合わせて車の片側を持ち上げている最中だった。抱きかかえられながら出てきたのは、手と口から血を出しながらも、吠えることを止めない黒い柴犬だった。

どうゆう訳だか車の下敷きになっていたらしい。救助された柴犬の顔が見えると周囲は一気に安堵に包まれた。
ふと、人だかりの隅に目をやるとひとり、両手で顔を覆って泣く少年がいた。彼は泣きながら

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白昼夢

白昼夢

コロナの影響で仕事も在宅勤務をするようになり、1ヶ月くらい家の中から出ることがなくなりました。そんな状況に立って初めて、「日常」の尊さを痛感する日々を過ごしています。

コロナもそうですが、私は誰もが体験したことがない“わからない”という恐怖が、人の心のかたちまで変えてしまうようで、そのことが一番こわいです。

どんな時も人が人であることを忘れてはいけない。
そう思いながら生きていても、テレビやネ

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