モモチカケル
サッカー狂に乗っ取られた落研に残るか否か。与えられた猶予は五分――。 横浜市某所の私立男子校『|一並《ひとなみ》高校』の落語研究会が乗っ取られて『草サッカー同好会』化。とある筋の陰謀によりプロレス同好会と元U15日本代表候補を加えてビーチサッカー大会に出る羽目に。漫画原作を念頭に執筆しておりますので通常の小説とは若干構成・表現等が異なります。
【もう一度、人を信じて良いですか】 若葉ゆい。三十三歳。独身一人暮らし――。 ファミレスとスポーツクラブのダブルワークで生計を立てる彼女は、とある事情で生きづらさを抱え続けている。 そんな彼女の前に現れた十九歳の大学一年生、鈴木拓人。 生真面目なゆいとは対照的におだやかで伸びやかな彼との出会いで、長い間凍り付いていたゆいの心は再び動き出す――。 ※本作はいかなる実在の団体個人とも一切関係の無いフィクションです。また無断転載、AIによる学習等は固くお断りいたします。
気に入ったCDやライブ等の感想を独断と偏見でうざく語ってます。クラシックからHMHR、テクノにアイドルまで超雑食で思いついたらメモ代わり。
【男を獣にする呪われた美女キルケと六十人目の『生贄』】 呪いにより過去の記憶を失い、孤島に一人寂しく暮らす妖女キルケ。島に漂着して一目惚れされた「私」は、男を獣に変える化け物と恐れられるキルケの元に現れた六十人目の男であった。 「私」は元人間である犬・ヤマネコ・イルカ達の協力を得て、『ハイブリッド型パイケーエス式潜水艦』を完成させ島を脱出しようと目論むも――。 (カクヨム/小説家になろう/アルファポリスにも掲載中作品/全五十五話) ※題名を「六十人目 妖女と男と獣たち」から「孤島のキルケ」に改題いたしました(2022/10/30)
試合本番まで後一日。 〔父〕「五郎君お帰り。明日は五郎君の大切な試合でしょ。試合と言ったらトンカツ。敵に勝つってね」 帰宅した仏像を迎え入れたのは、レシピサ…
〈三日後 早朝練習時〉 〔三〕「やってられねえよ」 朝早くから電車を乗り継いで室内練習場にやって来た三元に、多良橋は目を丸くした。 〔多〕「三元が朝っぱらから…
〔シ〕「俺の恋人?! こっちが知りてえ」 〔仏〕「しほりちゃんにキスマークだらけにされたんだろ」 シャモの恋人疑惑に、野球部の今井と陸上部の里見が色めき立つ。 …
〔う〕「やあやあ良く来たね。若様、そちらさん方が夏の新入りさんだね」 津島と長津田。 仮新入部員二人をにぎわい座に引率した三元は、松脂庵うち身師匠の元を訪れた…
〔坂〕「三十分だけなら音楽準備室を使って良いよ」 坂崎の手によって教室から締め出された松尾に飛島と新入部員候補二名は、怪我をおもんばかった坂崎によって音楽準備…
登校日。それは夏休み中に避けては通れぬうっとうしいイベントである。 だるい暑いと言い交わす生徒達を横目に、服部と餌は新入部員募集ポスターを手に多良橋の元へ出…
仏像と松尾が枕を並べて『三回目の世界』について語り合っている頃――。 新香町商店街名物の夏祭りが数年ぶりに復活するとあって、歩行者天国になった商店街には子供…
あの晩、ゴーさんの記憶の中の僕らは何をしていたのですか――。 松尾の問いに鼓動が跳ね上がった仏像は、わざと時間を置いてから探るように言葉を紡いだ。 〔仏〕「…
〔仏〕「大山阿夫利神社と鶴巻中亭。そこにセットで行った前と後で世界が変わるって。そんな馬鹿な話があるかよ」 松尾が神妙に切り出した話を、仏像はぴしゃりとはねつ…
グラビアモデルに釣られた男子達がエゾウコギなめ茸監督の走狗と化している頃の事。 上毛高原きらめきメモリアルパークへ墓参りに向かう松尾と共に車の後部座席に乗せ…
仏像が猫のように丸くなって寝息を立てている頃、長門の父親の車で餌が連れてこられたのは猫の額ほどの小さな海岸だった。 〔餌〕「話が違うんだけど。これじゃナンパ出…
「政木君も本当に大変だったのね。怪我人が出たことに責任を感じてスノボを辞めたの。もしそうなら」 苦い思い出を吐き出した仏像がふと顔をほころばせるのを見て、千景…
〔千〕「松尾ちゃんの室内楽の審査が終わったら、結果を待たずに車で群馬に戻る予定だったのよ」 仏像を松尾の実家に誘った千景は、いたずらを思いついた子供のような目…
仏像の父が【ざるうどんしこしこ@日吉大経済卒】を名乗るようになってから三日目の早朝――。 「フレンチトースト目覚ましについにギブアップですか」 「松尾、本当に…
~~~仏像の夢~~~ 『五郎君。ダディ特製のフレンチトーストだお。はいあーん♡』 『熱っ』 仏像があわてて飛び起きようとすると――。 『ごおーにーたーん(ゴー兄…
〔仏〕「何でまた大山阿夫利神社に。どうして俺の周りは大山に行きたがるんだ」 落語『大山詣り』の舞台にもなるぐらいに昔からの観光名所ではあるが、観光名所化した神…
2024年5月17日 20:49
試合本番まで後一日。〔父〕「五郎君お帰り。明日は五郎君の大切な試合でしょ。試合と言ったらトンカツ。敵に勝つってね」 帰宅した仏像を迎え入れたのは、レシピサイトを参考にしながらトンカツを準備している父の姿である。 朝四時のフレンチトーストはさすがに控えるようになったものの、基本的にスーパーハイテンションなピーマン研究会モードのままだ。〔仏〕「あのなあ父さん。試合の前は食事制限があるの
2024年5月12日 20:38
〈三日後 早朝練習時〉〔三〕「やってられねえよ」 朝早くから電車を乗り継いで室内練習場にやって来た三元に、多良橋は目を丸くした。〔多〕「三元が朝っぱらからこっち側に来るなんて、大会当日は雪でも降るんじゃないのか」〔下〕「いっそ試合前だけ雪が降ってほしいっす。まだ朝七時だって言うのにもうこの暑さですよ」〔シ〕「例のプールで浮かびたい」 下野のボヤキに、シャモが一部の好事家に有名なプ
2024年5月7日 20:34
〔シ〕「俺の恋人?! こっちが知りてえ」〔仏〕「しほりちゃんにキスマークだらけにされたんだろ」 シャモの恋人疑惑に、野球部の今井と陸上部の里見が色めき立つ。〔シ〕「待て待て、あの死にかけ牛筋バアサンの事か」 竜田川千早改め藤崎しほり(新芸名)の事だと気づいたシャモは、彼女疑惑を全身全霊で否定した。〔餌〕「残念ながら『シャモさんの彼女』は今回は出演しないですね」 だからあれだけは絶対
2024年5月2日 18:50
〔う〕「やあやあ良く来たね。若様、そちらさん方が夏の新入りさんだね」 津島と長津田。 仮新入部員二人をにぎわい座に引率した三元は、松脂庵うち身師匠の元を訪れた。〔三〕「そうだよ。特にこちらの津島修二君は、俺には教えられないような難しい噺も一発で覚えてきやがる。大した才能だよ」 哲学談義を餌に吹っ掛けた津島修二は秀才として名高い人物だ。 ただし、余りに生真面目すぎて危なっかしいとは、津
2024年4月29日 18:15
〔坂〕「三十分だけなら音楽準備室を使って良いよ」 坂崎の手によって教室から締め出された松尾に飛島と新入部員候補二名は、怪我をおもんばかった坂崎によって音楽準備室に通された。 早速の部員候補の報に、三元とシャモも音楽準備室に駆け付ける。〔三〕「仏像は」〔餌〕「服部君側にいる」 ビーチサッカーの練習見学に早速やってきた三人プラスアルファの対応に、服部と二人で追われているらしい。〔津〕「
2024年4月25日 18:10
登校日。それは夏休み中に避けては通れぬうっとうしいイベントである。 だるい暑いと言い交わす生徒達を横目に、服部と餌は新入部員募集ポスターを手に多良橋の元へ出向いた。〔多〕「本当に貼るのか。人が集まりすぎてもさばけないぞ」〔服〕「そこまで集まらないと思うし、練習と試合見学から入部に至るまでにかなり人数は減ると思います」〔多〕「で、伴も演芸部門を募集するの。誰が面倒を見る」〔餌〕「しば
2024年4月20日 20:29
仏像と松尾が枕を並べて『三回目の世界』について語り合っている頃――。 新香町商店街名物の夏祭りが数年ぶりに復活するとあって、歩行者天国になった商店街には子供から老人まで人の波が出来ていた。「よっしゃあと一枚で完売」 和装とおしゃれ小物の店『新香町美濃屋』の四代目として店先に立つシャモは、うどん粉病Tシャツの余りを財布のひもが緩(ゆる)くなった客に売りつけている。「あああっ、それ探し
2024年4月17日 21:41
あの晩、ゴーさんの記憶の中の僕らは何をしていたのですか――。 松尾の問いに鼓動が跳ね上がった仏像は、わざと時間を置いてから探るように言葉を紡いだ。〔仏〕「お前の部屋に行って、急に立っていられないほど眠くなった。その先を何も覚えてねえ。変な夢を見て飛び起きて、それで連絡を入れた」〔松〕「変な夢って」〔仏〕「朝起きたら、なぜか千景先生が俺の父親と結婚していて、それで俺と松尾が兄弟になって
2024年4月14日 21:27
〔仏〕「大山阿夫利神社と鶴巻中亭。そこにセットで行った前と後で世界が変わるって。そんな馬鹿な話があるかよ」 松尾が神妙に切り出した話を、仏像はぴしゃりとはねつける。〔松〕「僕だってそう思いますよ。だけどシャモさんは、なぜか変わる前と変わった後の記憶が両方あるんです」〔仏〕「奴は憑依体質みたいなところがあるからな。余り真に受けない方が」〔松〕「そうかもしれませんが、正直僕も興味があるも
2024年4月10日 21:29
グラビアモデルに釣られた男子達がエゾウコギなめ茸監督の走狗と化している頃の事。 上毛高原きらめきメモリアルパークへ墓参りに向かう松尾と共に車の後部座席に乗せられた仏像は、少しナーバスな表情で車窓をながめていた。〔松〕「連れまわしちゃって済みません。墓参りはすぐに終わるので」〔仏〕「車で寝てるから、ゆっくり行って来いよ」 松尾の父が、上毛高原きらめきメモリアルパークの帰りに日帰り温泉
2024年4月6日 21:20
仏像が猫のように丸くなって寝息を立てている頃、長門の父親の車で餌が連れてこられたのは猫の額ほどの小さな海岸だった。〔餌〕「話が違うんだけど。これじゃナンパ出来ないじゃん」〔長〕「海水浴って言ったっしょ」 むさくるしい男ども占めて十名近くがやって来た海岸には、ナンパできそうな若い女の子は一人たりともいない。〔餌〕「海水浴は出会いの場でしょーっ。何でぴっちぴっちの水着姿の」〔加〕「ここ
2024年4月3日 21:32
「政木君も本当に大変だったのね。怪我人が出たことに責任を感じてスノボを辞めたの。もしそうなら」 苦い思い出を吐き出した仏像がふと顔をほころばせるのを見て、千景は一拍入れてから口を開いた。「いえ、そう言う事では無くて。潮時かなと。背も伸びすぎて競技には不利になりましたし」 仏像はカモミールティーのカップに目を落とした。「そうだったのね。それで、話を戻すけど私たちと一緒に松尾ちゃんの家に来
2024年3月31日 21:07
〔千〕「松尾ちゃんの室内楽の審査が終わったら、結果を待たずに車で群馬に戻る予定だったのよ」 仏像を松尾の実家に誘った千景は、いたずらを思いついた子供のような目を仏像に向けた。〔仏〕「もう実家に泊まれる状態にはなったんですか。マイアミのコンクールに優勝した後、変なやつが湧いて出て大変だったらしいじゃないですか」 仏像は、松尾から聞いた話を思い起こす。〔千〕「犯人は捕まったし、それに松尾ち
2024年3月28日 20:07
仏像の父が【ざるうどんしこしこ@日吉大経済卒】を名乗るようになってから三日目の早朝――。「フレンチトースト目覚ましについにギブアップですか」「松尾、本当に済まん。このままだと家庭内暴力を起こしかねん。朝四時にフレンチトーストで起こすのはやめろと言ったら、朝五時にフレンチトーストを」 そう言う事じゃねえんだよと、仏像は運河沿いの公園で肩を落とす。「うちに来るのは大丈夫。ですが、僕は朝練
2024年3月24日 21:32
~~~仏像の夢~~~『五郎君。ダディ特製のフレンチトーストだお。はいあーん♡』『熱っ』 仏像があわてて飛び起きようとすると――。『ごおーにーたーん(ゴー兄ちゃん)♡』『ぐへえはああっ』 仏像は寝ぼけたままのたうち回る。〔?〕『あらあら松尾ちゃんったら。また五郎君に抱き着いて』〔父〕『こうして一緒に寝ていると本当に兄弟みたいだね。僕ら思い切って一緒になって本当に良かった。群馬に
2024年3月21日 22:09
〔仏〕「何でまた大山阿夫利神社に。どうして俺の周りは大山に行きたがるんだ」 落語『大山詣り』の舞台にもなるぐらいに昔からの観光名所ではあるが、観光名所化した神社は他にいくらでもある。 仏像はいぶかし気な顔もあらわに、父親をじっと見る。〔父〕「へえ。五郎君のお友達も大山に行くの。そりゃマーベラスだね」〔仏〕「そうらしいよ。こっちは行ったことないけど」 多良橋のような口ぶりに、そう言えば