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【詩作】忘れな草 -Forget-me-not-
悲しめる母なる大地の子守歌を聴け
雛鳥たちは 虚空を舞う翼を求めて
春の訪れを 心待ちにさえずり
夏には 蒼穹の天を仰ぎながら
向日葵が お日さまと笑っている
やがて 麦の穂の実る秋は過ぎ
真白に広がる雪の絨毯を 橇が走る頃
調子のよい 勇ましい軍靴の音は
地響きを立てて やって来た
踏みしめられた 黒い土の下に
まことを知る 春の蕾は
かたく口を閉ざされて
とうとう 涙も枯れてしまった
【食レポ】焼きビーフンに取り憑かれた人間の末路
プロローグ「ケンミンの焼きビーフンに、ピーマン入れんといてやー」
大阪弁でしゃべる可愛げのないガキや婆さんやおばちゃん達やオッサンの独特のセリフ回しと、視聴者への媚びをことごとく排除した、ほとんどトラウマになるほどの不気味さで見る者を洗脳する、ケンミン食品株式会社のCM。
さんざんテレビに流されてきたこれらのCMにより、あまりの恐怖とダサさに震撼させられた元大阪人こと筆者は、子どもの頃に心底「
【詩作】名前たちの歌
紙とペンがないので
歌にして 彼らは記憶した
一つひとつの名前に
刻まれる 生きた証を
在りし日の想い出を
忘れ去ることのないように
かの地で 奪われた尊厳を
取り戻すために
看守の目を欺き
人知れず 唇を震わせ
嗚咽にかすれた声で
亡き人の名を呼ぶとき
その旋律は
祖(おや)から授かりし
幾世紀もの歴史を流れて
永遠(とわ)へと響く
― dedicated to the film "Th
【随想】結局、女の敵は男ってこと? ―映画『ふたりの女王 メアリーとエリザベス』が提起した歴史の新解釈―
世にもドラマティックな女の戦いを、現代に再現する意義今をときめくアイルランドの女優、シアーシャ・ローナン(Saoirse Ronan)にどハマリして2年目。昨年日本で公開された映画『アンモナイトの目覚め(原題:Ammonite)』(2020年)を観て以来、彼女が出演している作品という作品を見まくってきました。
そして遅ればせながら、今回観たのが『ふたりの女王 メアリーとエリザベス(原題:Mary
【随想】秋の夜長にホラーな歌をあなたに…… ~「あわて床屋」をめぐる一考察~
泣く子も黙る、日本一怖い童謡はなぜ書かれたのか?昭和を生きた日本人なら、誰もが一度は聴いた(かもしれない)童謡の、名曲中の名曲。
そう、「あわて床屋」です。作詞は北原白秋、作曲は山田耕筰。1923(大正12)年に発表されました。大正デモクラシーの華やかなりし時代に創られた、奇跡のような一編ですね(マジか)。
Wikipediaには、「カニの床屋と、客であるウサギのユーモラスなやりとりが面白おか
【旅日記】カンボジアの旅(2)雨のアンコール・ワットもまたよろし
潤いたっぷりの(?)アンコール・ワットさあ~シェムリアップ到着の翌朝から、もうメインディッシュに参りますよ。早朝3:45amに起床し、4:45amにはオプションで別途予約しておいた「アンコール・ワット半日ツアー」が始まります。
Ayaさんという、とても明るい感じの若い女性のガイドさんが、ロビーで待機してくれていました。政府公認のガイドで、黄色い制服を着ています。
雨の降りしきる中、ホテルから一
【旅日記】カンボジアの旅(1)ハノイ経由で、いざシェムリアップへ
旅立ち新型コロナウイルス感染症のパンデミックが始まって、はや2年。思うように外出さえもできない日々が続き、600日以上も経ちました。毎年、海外への旅を人生のルーティーンにしている人間からすると、もはや禁断症状が出て脳味噌がイカレてしまいそうな頃合い(?)ですが、心の鎮静剤的にもよろしいかと思い、この機に過去の旅を振り返って、旅日記にまとめてみようと思います。
さて今回は、2018年9月に訪ねた、
【旅気分】おうちで旅する世界(2) ―カザフ刺繍などエスニック布雑貨編―
日本にいながらにして異文化に親しむ世界中がコロナ禍に見舞われて2年目に突入、あっという間に“ステイホームな黄金週間”も過ぎて……。もちろん、補償ゼロにもかかわらず行政に不当に敵視された飲食店などが痛手を負ったり、コロナによる雇い止めなどで経済的に困窮したりする方々もいるという現実を看過してはなりませんが、こと「自粛生活」という点に絞っていえば、もともとインドア派な人間なら十分に楽しめる、という側面
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