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すきなきじ

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記事一覧

「俺をバカにしたやつを絶対見返してやる!」と泣いていた息子が、それは時間の無駄だと気づくまで。

「俺をバカにしたやつを絶対見返してやる!」と泣いていた息子が、それは時間の無駄だと気づくまで。

ある日、学校から帰ってきた息子が唇を震わせていた。
小学2年になった息子は学校でのことをあまり家で話したがらないが、その日は様子が違ったので「何かあったの?」と聞いてみた。

「仮面ライダー幼児って言われた。仮面ライダーが好きなのは赤ちゃんか幼稚園児だって。」

マジか、そんな超くだらないこと1ミリも気にしなくていいじゃん、と内心思ったが息子はひどく傷ついていた。

「あなたは仮面ライダーが好きな

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自分の好奇心でダークサイドに落ちないために、「うまく扱う」という考え方

自分の好奇心でダークサイドに落ちないために、「うまく扱う」という考え方

ーー好奇心に振り回される

これは私にとって大きな課題である。

好奇心は、度が過ぎると扱いにくくなる友人から興味深いトピックやおもしろい人・モノなどを教えてもらうと、とにかく深く掘りたくなる。深く掘って新しい知識や考え方を発見し、感動してその世界へそっと片足を踏み入れてみたり、時には思いっきりジャンプして探検する。この覗き見欲求から生まれる探求力と行動力のおかげで直感の精度もあがり、好機をたくさ

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私、僧侶。29歳。何から解放されたいかって、そりゃあ◯◯から解放されたいです。

私、僧侶。29歳。何から解放されたいかって、そりゃあ◯◯から解放されたいです。

自信を持って自己紹介できたことがありません。

私はこういう人です!(ビシッ)
こういうことをしています!(バシッ)
今後はこれを目指しています!(ジャーン)

こんな立派に自己を紹介できたことはなく、私の自己紹介にはいつも(一応…)という枕詞が必要でした。

(一応…)こういう人です…
(一応…)こういうことしてたり…
(一応…)今後はこれを目指したいなーとか…

そこにあるのは、自信のなさ。

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あなたになれない わたしと、わたしになれない あなたのこと #9

#9 見知らぬ三十九歳のこと

大人になりそこなってきた、という体感がある。二十三歳までにこなさなければいけなかった儀礼のいくつかをスルーしてしまった、というほうが正確かもしれない。

たとえば、大学に入るまで、友だちと夕食を食べたことがなかった。どうやらみんなは高校の放課後に買い物をしたりゲームセンターに行ったりしているらしい、そして家族ではなく友だちと夜ご飯を食べることがあるらしい、そう勘付

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サボることを教えてくれた上司たち

サボることを教えてくれた上司たち

学級委員ぽい、とよく言われてきた。自分ではあまり自覚はないけれど、確かに宿題は必ず終わらせるし、待ち合わせには遅れないし、やってはいけないことは、絶対にやらない方だ。

学生のときは、この性格に助けられていた。

与えられた課題を期日までに終わらせ、決められた時間に授業に出る。やるべきことがクリアだったし、きちんとこなしていくことで評価された。夏休みの最終日に、終わらない課題に絶望するというシチュ

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薄毛で青髭のわたしが、毎日ワンピースを着て外に出かけていたら、少年と"かけっこ"になった話

薄毛で青髭のわたしが、毎日ワンピースを着て外に出かけていたら、少年と"かけっこ"になった話

「お姉さんが、うらやましい」

別にもう、"女の子"になりたいと思ってはいない。

夕日を硝子球にして、いちばん自信のある指にはめている。どこかあどけないものを残している、染み込んだ自分の香りに真珠。哀しい動悸が波打ち、ひとり、またひとりと追い抜かれている。

滲むような声が射す。毎日のように誰かに嗤われ、それでも自分がワンピースを着て外に出る理由を考えている。他人はわたしを気になど、ほんとうはし

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ツイートがバズったわたしは、口紅を買えていない

ツイートがバズったわたしは、口紅を買えていない

仕事を辞めた翌日、わたしは生きていた。

「当然である」と、言えるだろうか。わたしは自分のことを"よくやっている方"だと思っている。意味もなく宙を見上げ、水滴を仕舞う。人生を都合のいい妄想へ預けなければ、硝子のように心が割れてしまいそうだ。

「大丈夫ですか?」

歩きながら眠っていた。目が血走り、足が痙攣する。どこかから声が聞こえた気がしたが、辺りを見渡しても人は少なかった。ロクにごはんも食べて

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「おかあさんの怒りはひとつ残して僕が食べた。」

「おかあさんの怒りはひとつ残して僕が食べた。」

寝る前に息子が不思議なことを言った。

「お父さんは100個怒るけどお母さんは1個しか怒らない」

私は何度も何度も怒ってしまっているというのに。



自粛期間の在宅保育。

夫に久しぶりに仕事が入ったこの2週間、私はワンオペで仕事の割合を減らしながら昼間は子供たちを優先して過ごしていた。

それまで、夫の仕事がコロナの影響でなくなったのをいいことに(?)夫に日中の保育を任せきりにして私はこれ

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「他人の家族の事情を聞かない」ことについて息子に説明したはなし。

「他人の家族の事情を聞かない」ことについて息子に説明したはなし。

先日、保育園で息子のクラスの個人面談があった。

とてもいい園と先生に恵まれていて、息子は保育園で日々楽しく過ごしている。

先生から、お友達と分け隔てなく遊んでいる様子を聞かせてもらった。

息子のクラスにはたまたま外国にルーツをもつお友達も多い。

私自身は外国にルーツがあろうがなかろうが、友達を区別する必要性を感じていない。

なので、息子がそういうお友達とも積極的に遊んでいる様子を聞きな

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今までで一番いいお金の使い方はカウンセリングだった

カウセリングを受けて、私の強烈な「誰かに認めて欲しい」という欲求は「何かすごいことをしてそれを認められたい」ではなくて、「弱さや過去の辛いことを引きずっている自分のことも、友人として、パートナーとして認めて欲しい、ただ生きてて良いことを認めて欲しい」だと理解することになりました。

ずっとそんなこともわからなかったんです。



「えっ、もっと早くに行っておけばよかったよ……」

というのが正直

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20代のやるべきことは「挑戦」ではなく、「ちょうどいい」を探すことかもしれない

20代のやるべきことは「挑戦」ではなく、「ちょうどいい」を探すことかもしれない

20代のうちにやるべき◯つのこと、後悔しない20代の生き方、などのタイトルがついた記事や書籍はたくさんある。20代というものは「貴重」で、「これからの人生の基盤を作る期間」で、「恐れずにどんどん挑戦するべきだ」という言葉は腐るほど目にする。

私自身もあと数週間で20代が終わるので、「やっぱり20代はどんどん挑戦するのオススメだよ」みたいなことを書こうとしていた。だけど、私にとって本当に「挑戦」は

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好きな人と「付き合う」ってどういうことなんだろう、と考えた話

好きな人と「付き合う」ってどういうことなんだろう、と考えた話

今日は、恋愛の話。

とても私事で恐縮なのですが、先日から好きな人とお付き合いしています。

ぼくの方から「付き合ってください」とお伝えしたのですが、実は伝えるまでに葛藤もあって。

「付き合うってどういうことだろう」
「ぼくは付き合うことに何を求めているんだろう」

そんな問いに、納得できる答えが見つかっていなかったんです。

それでも、「付き合えたらいいな」という気持ちも強くて、告白して、付き

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「会社はだれも君に残って欲しいとは頼んでないよ」と、新卒時代の上司は言った

「会社はだれも君に残って欲しいとは頼んでないよ」と、新卒時代の上司は言った

『会社は誰も平岡に、会社に残って欲しいとは頼んでいないよ。』

これはぼくが社会人1年目の頃に、上司に言われた言葉だ。それもずっとずっと役職が上の上司に。

新卒入社した会社の本社は東京・六本木。「東京で働くんだ。」そんな希望と憧れを持って大阪から出てきた。研修で仲の良い同期ができた。東京の電車にも、人の多さにも少し慣れてきた。

研修が終わって配属の内示で言い渡されたのは、縁もゆかりもない名古屋

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ケンカじゃない方法で、よりよい関係をつくるためのコミュニケーションについて

できればケンカをしたくない。

ケンカはコミュニケーションだという文化もあるかもしれないけど、わたしは、コミュニケーションのゴールが「人を言い負かしたい」とか「自分が正しいと認めさせたい」という勝負の土俵には一瞬たりとも上がりたくない。なので、そういう人がケンカを売ってきたときは無言でダッシュで逃げる。

だけど、仲良くしたい相手やこれからも関係性が長く続く相手とも、意見が食いちがったり考えが伝わ

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