マガジンのカバー画像

私生活(エッセイ)

53
感じたことをテーマでまとめたエッセイです。
運営しているクリエイター

記事一覧

底抜けの実感を貯めるための記録

底抜けの実感を貯めるための記録

 去年は二度、「母と和解した」と私は宣言をしたらしい。パートナーに、それを俺は日記に書いてるから事実だからねと念を押された。「あなたは一度起こったことを、経験値に数えずにいつもなかったことにするよね」とも。
 母と和解したのは確かだが、その後、都度湧き上がる幼少期の怒りの感情や、「もうこのひとたちのことは親として諦めたのだ」という諦念、自分ひとりで生きていく心地よさなどに毎度揺さぶられるたびに、母

もっとみる
やった方がいいとはわかってますが。 

やった方がいいとはわかってますが。 

「ご飯大盛りにしますか?」に対して、本当は食べたいのに瞬発的に「はい」と言えず、お腹いっぱいになれなかったとき。
 替え玉無料のとんこつラーメン屋なのに「替え玉ください」と言うタイミングを失ってなんか損しちゃったとき。
 コーヒー屋で、「S(エス)サイズください」と言ったのに「L(エル)サイズ」と伝わってしまい、間違って伝わったかもと内心わかっていても訂正する機を失い、そのままLサイズの料金を支払

もっとみる
愛着を持ち続けるということ

愛着を持ち続けるということ

「ザ・スーパーマリオブラザーズ・ムービー」を遅ればせながら劇場鑑賞し、あまりの完璧な面白さに泣きそうになりながらエンドロールを眺めていたところ、任天堂チームの日本人の名前をちらほら見つけた。ワタナベとかサイトウとかもちろん知らない誰かの名前なのだけど、作品に携わりその作品にクレジットされることへの憧れの気持ちを思い出した。仮に自分の名前が超超面白い映画のエンドロールにクレジットされたのならどんなに

もっとみる
父と母について(9月末の日記)

父と母について(9月末の日記)

 親は私に会いたがるのに、私は親を遠ざけてきた。遠ざけたといっても、たったの二ヶ月だけど。

 どうしても家を出たくて三軒茶屋で一人暮らしを始めたのが23歳。親は毎週うちに来たがったし、結婚してからは少なくとも1ヶ月にいっぺんは会ってほしいと言われた。1ヶ月会わなければ、全然ひさこと会えてないからと寂しがり、うちに訪ねてくる。それが昨日だった。

 2ヶ月ぶりに両親がうちに来た。車で1時間の距離に

もっとみる
正常か異常か

正常か異常か

仕事が始まる。新しい仕事を受け、本を2冊作る。色々働き方に迷ったけれど、直感でやってみたいことをやってみることにした。

それでも相手から来たメールを読むだけで気落ちし、きっとこの先自分を追い詰めるようなことを自分にしちゃうんだろうなぁなんて観測をし、先のことを考えて萎えている。

いつも落ち込むのは先のことだ。未来を勝手に妄想して、勝手に決めつけて、自分を攻撃する。いい加減やめたい。

仕事が嫌

もっとみる
「忙殺」され続けた私が4年越しに気づいた"歩く"という癒しの方法

「忙殺」され続けた私が4年越しに気づいた"歩く"という癒しの方法

想像できたか?

こんなにゆっくりと歩き、ぼーっとして、風の音を聞きながら、喧騒を逃れ、土を踏みしめることを。平日の真っ昼間に。

数年前、「忙殺」という言葉がぴったりだった私にとって、このような平穏はまさに信じられない事態だったと思う。例えば、4年前の自分に対して「4年後には平日の昼間に仕事もせず散歩を2〜3時間平気でやってのけるようになるんだよ、じつは」なんて言ったとしても多分信じられないって

もっとみる
年齢計算のクセがすごい

年齢計算のクセがすごい

昨日観た舞台に吹越満が出ていた。あるシーンで逆さまになってセリフを言う(5分くらいだったけど体感は15分以上だった)シーンがあって、役者魂を感じたんだけども。そういうとき、すぐに気になるのが年齢だ。

休憩中に調べたら、55歳。母と同い年。母に「同い年だけどママは逆さまになれる?」と聞いたら笑いながら無理だと言われた。

55歳。80歳で死ぬとしたらあと25年しか生きられない。生と死についてよく考

もっとみる

「死ぬときは自分が止まるときですから」

「死」について、人によってはまったく考えないテーマらしい。

今日取材で会った30代男性(接客業)に死ぬのが怖いと話をしてみたら、ぽかんとした顔をされた。同僚にお昼に行こうと誘ったら「今日お弁当を作ってきたので」と断られるくらい軽やかに、「死ぬときは自分が止まるときですから」と普通の表情で答えた。なんでそんなこと聞くんですか?くらいのかんじで。

私は30歳を迎えるのが怖くて怖くてたまらないのに、

もっとみる
aikoを聞いていたあの頃は死についてなんて考えなかったのに。

aikoを聞いていたあの頃は死についてなんて考えなかったのに。

結婚が決まった途端、残りの人生の時間について真剣に考え始めてしまった。限りある生命について本気出して考えてみたら、大好きな夫とあと何年一緒にいられるんだろうと悩み込み、朝は泣きながら起きた。

歩けば、「死ぬまでにあと何歩歩けるか」と考え、ポケモンGOをして「死ぬまでにあと何匹ポケモンをGETできるんだろう」と悲壮感でいっぱいになった。

しまいには人はなぜ生まれてきたのかと考えるようになった。生

もっとみる
今の時代、「発信しなければ存在しないのと同じ」ってのはマジ?

今の時代、「発信しなければ存在しないのと同じ」ってのはマジ?

自分の分身、SNSアカウント以前読んだ本に「発信しなければ存在しないのと同じ」と記載があった。要は、TwitterやInstagram、noteなどSNSツールを通して写真や言葉、文章を発信しなければ、誰もあなたの存在には気づきませんよ、ということである。

2010年頃、TwitterやInstagramが広まり、一人につき1アカウントが当たり前となった。アカウントは自分の分身。学生なら、学校で

もっとみる
笑わない 女の子、平手友梨奈の異素材感について

笑わない 女の子、平手友梨奈の異素材感について

先日遅ればせながら映画『響 -HIBIKI-』を観た。完全暴力的な響ちゃんの行動や言動に圧倒され、「ああ〜そんなことしたら響が怒っちゃうよーひょえー!」と響ちゃんのまわりの人々の行動にビクビクするのもこの映画の楽しみ方だと思う。それにしても芥川賞と直木賞両方受賞しちゃうって響ちゃんはどんな話を書いたのだろう?

映画初出演・初主演の響ちゃん役の平手友梨奈。どこかの記事で監督も響をやるなら平手友梨

もっとみる
会ったことのない妹と第一子に、いつか向こうの世界で会いたい

会ったことのない妹と第一子に、いつか向こうの世界で会いたい

朝日新聞社運営Webメディア「かがみよかがみ」にエッセイが掲載されました。実体験を書いたお話です。よかったら読んでください。

魔女の宅急便のキキの後を追いたい

魔女の宅急便のキキの後を追いたい

魔女の宅急便はいつだって元気をくれる。観る年代によって感じ方は変わる。誰しもがそうだと思う。子どもの頃見たとき、キキが飛べなくなるシーンやジジがしゃべれなくなるシーンについてそこまで深く考えなかった。きっと「かわいそう」くらいの感覚。

だけど、大人になっていろんな生きづらさを感じている今、感じ方が変わった。

最近の私はなぜかnoteが書けず、下書きが溜まっている。書けなくなっている今、note

もっとみる

死ぬのが怖いって思ったことありますか?

死についてひどく考えはじめてしまったのが、今日この頃の俺だ。死ぬのが怖い。ってかなんで人間は死なないといけないのか?的な根本問題を毎日必死に考えている。

前置きするが、私は命が脅かされる病気になっているわけでもないし、余命宣告されたわけでもない。なんなら20代。そして、大事なことだが100日後にワニが死ぬ前からこのnoteの下書きをしたためていた。決してワニの流行に乗ったわけではない。志村けんの

もっとみる