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「真摯に遊ぶ」ということ
はじめに久々の投稿です。いや、せっかくなので自分を励ますためにも、久々の"執筆"です、とここでは表現することにします。
何か物思いに耽けたり、自分の思考に余裕を作る目的で、noteで物書きをするという行為を2024年は増やしていこうと考えています。
そして最初に何を書くか考えを巡らせましたが、自己紹介の意味も含めて僕が掲げた今年のコンセプトについて綴ることにします。
今から一年経った時にこの文章
マラケシュで僕の身に起きた小さな奇跡の話
モロッコという名前はマグリブというアラビア語が由来になっており、それは日の没する処と日本語で訳される。名前の通りモロッコの夕陽は格段美しいのだ。
カサブランカから長距離列車に揺られて降り立ったマラケシュという街は、街中の建物がほんのりとピンクがかった褐色の赤土で彩られ、夕暮れ時に街にはオレンジいろの夕陽が優しく街を照らす。
街の中心に位置するフナ広場は陽が沈む頃にテントが組み立てられ、夜市が開
変哲の無い風景が好き@カサブランカ
カサブランカに到着したその日の夜に、Khalidというモロッコ人の男と《Casa Voyageurs》駅で落ち合う約束をしていた。彼はこの身寄りのないアジア人の旅人を自宅に泊めてくれる優しい男だ。空港線の鉄道で身を揺らしてこの駅に到着するなり、僕は慣れた手つきでiPhoneと微弱な公式Wi-Fiを接続する。彼からのメッセージを確認すると「遅くなる」と残っていたので「問題ないよ」と返し、僕は駅の周り
もっとみる食べて、踊って、そして歌うのだ
マドリッドの夜は賑やかだ。
ほっつき歩いて適当にたどり着いたバルでイベリコのハムとスペインビールをたらふく腹の中に入れて、店内で流れていた音楽チャンネルを眺める。常連客と店主は楽しそうにテレビを見つめて、店主は時々ハミングをしていた。そのハミングの音程は半音低いように聞こえたが店主が満足しているのだからそれでいいのだ。
店を出て、また歩く。スペインビールを勢いよく飲んだからか、いつもより酔いが
無宗教の僕がサグラダファミリアのミサに参列して変わったこと
生誕のファサード前には既に多くの人が列を成しており、僕は最後尾に並ぶ。鼻が高く顔の彫りが深いヨーロッパ系の人々の中に一人という状況に少しながら不安を覚えた。正確には人種の違いというよりもカトリックにとって大切な宗教儀式に異教徒である僕が参列することが彼らに対して侮辱的な行為として見做されるのではないかという不安だった。事実、僕以外に観光客らしき人間は一人もいなかった。今ならまだ引き返せると頭を過っ
もっとみる「好きなことを仕事にする」だけが正義じゃない
「お前は好きなことを仕事にしろよ。サラリーマンはやめておけ。俺がうちの家系で最後のサラリーマンでいい。」
車の部品メーカーに勤める親父は、僕の将来の話になるといつも口癖のようにそう言っていた。
少年時代、格段好きなことはなかった。漫画も読まなかったし、ゲームは友人付き合い程度で寝る間も惜しむほど熱中はしたことがない。週末はずっと野球をしていたから、相対的に野球ぐらいしか好きなことは思い浮かばな
ラパスが教えてくれた「無知の知」
世界で一番標高の高い位置場所に首都として旅人に知られているラパス。
世界一〇〇と言うのは、所詮人間のこじ付けであって、何かと常に比較をしなければ気が気では無い人間の愚かな一面だと考えてしまいます。旅を長くしていると世界一〇〇というのは頻繁に遭遇するもので、その感覚は「10年に1度の逸材」が毎年現れるような矛盾と似ている。そんなことを思っていてもやはり「世界一」という言葉に身構えてしまって、どこか