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The Ding Dong Song
夕暮れに青く染まったモスクから巡礼の声が聞こえ漏れてくる。瓦斯灯に灯りが点って、街々から人の気配が薄れていく。
僕は坂道を駆け上がって、滑り込みセーフで昆虫館の扉を叩く。館長は椋木の椅子に腰掛けていて、眠たそうにその黒い口髭を擦っていた。僕の姿を見ると立ち上がり、手を振ってくれた。
お父さんが僕をここに連れてきてくれたのだった。それから、もう毎週、毎週、通っている。本当には毎日来てもいいくらい
書店パトロール43 俺はいつだって回り道を選ぶぜ。
結局、いくら書店に行こうとも、毎回同じ場所に行っているわけだ。
哀しいかな、趣味嗜好というものは、そうそう変わるものではない。なので、私はいつものように、映画や美術本のコーナーを見る。大抵はラインナップは代わり映えしない。
その中で、一つ気になったのは淡交社から発売されているこの本。
落語と文学。そして、淡交社。淡交社は京都の出版社で、お茶関係の本を出している。私の家の近くにあるのだ。この近くの
孤独と愛と『異人たち』
『異人たち』を鑑賞。TOHOシネマズ二条にて。
お客さんは私を含めて4名だった。然し、映画館には人がそれなりにいた。恐らく、コナンやブルーロックを観に来たのであろう。私は空いている映画館が好きなので、貸し切りでも構わない。けれども、映画館側は困るだろう。
さて『異人たち』。
原作は山田太一の小説『異人たちとの夏』で、映画化もされているが、今回はイギリス映画である。
私は小説も、それを元にした映