記事一覧
【詩】 土讃詩(つちさんし)
土はキャンバスに似ている、といえなくもない。
土の上でなら、自由な采配で様々な種類の種を撒き、未来という名の絵を描くことができるから。
土はベビーベッドに似ている、といえなくもない。
発芽した種がやがて苗になって、伸び伸びと成長していく様は、子育てに勝るとも劣らぬ充足感を与えてくれるから。
土は未開拓の鉱脈に似ている、といえなくもない。
土が育んだ豊かな実りに遭遇する度、この上ない喜びで心がい
【短編小説】 ユニバース ==≒=≒=≒=≒==≒==≒=≒=≒=≒= エレキギター
よう、よく来たな。良いアジトだろ? ヤニ臭いのが玉に瑕だけど。
まあ、その辺のアンプの上にでも適当に腰掛けてくれ。シールドの束に足を引っ掛けないように気ぃつけて。
はい、コーヒーで良かった? ああ、これ? そう、昨日のライブで使ったエレキギター。俺の三十年来の相棒さ。
ジャガーのサンバースト、と見せかけて、実はただのコピーモデル。でも、安物にしてはスゲー良い音出すんだぜ。
せっかくだから
【短編小説】 天国と煉獄の境界点 ー少年と子ウサギの物語ー
生きていることとは、暖かくて柔らかいこと。死んでいることとは、冷たくて硬いこと。
これは、幼い生寿が「生死」という概念に初めて接触した際の心の動きを仔細に描写した、言葉による細密画です。
「はい、じゃあ、プリント後ろの席に回してー」
(待っててね、ウサギさん)
「飴が何個と何個で十になるかな? 答えられる人」
(蒸し暑いだろうけど、我慢してて)
「おい生寿! 俺の揚げパンいる? あと林檎も」
【エッセイ】 忘れ者な僕の、忘れ物にまつわる話
僕は忘れ物のA級常習犯だ。僕以上のツワモノにはいまだかつてお目にかかったことがない。(自慢するようなことでは決してないのだが)
家に貴重品の類を忘れてくるのはもちろんしょっちゅうのことだけど、それだけなら別段問題はない。厄介なのは、外での忘れ物だ。
僕が忘れ物をする場所は、トイレの個室と大方相場が決まっている。それも、鞄を丸ごと置き忘れてしまうケースが大半。
どれだけ気をつけていても、年
【短編小説】 木の精霊 ー「星の王子さま」冒頭文のオマージュー
六つの時、庭のツツジを観察していて、気がついたことがあります。木は、長い期間じっと佇んでいたかと思うと、ある時期から急に若芽を発展させ、またじっと佇んで、というのを繰り返しながら大きくなっていくのです。
僕はそれが幼心に不思議でなりませんでした。人間や動物は、日に日に少しずつ成長していくのに、どうして木はそうではないんだろうって。
あれは確か、僕が八つか九つの頃だったと思います。長い冬が終わ
【短編小説】 「インスピレーションの女神様」が備え持つ特質を、人間行動科学の見地から考察した文学的レポート
インスピレーションの女神様は、なかなかに意地の悪いお人だ。
僕は半裸姿で座布団の上にあぐらをかき、額にかかった油っぽい前髪を遮二無二掻き上げたり、無精髭を意味もなく親指で擦ったりしながら、
(もういっそのこと、全部ダメになっちまえばいいのに)
そんな破れかぶれな思考と戯れていた。
周囲から見下されるばかりの三流クリエイターとして底辺を蠢き続ける人生は、もうまっぴらごめん。これ以上はご勘弁被
農家の手習いvol.4:畑で演奏してみた(Rain Song - Led Zeppelin)
秋も深まりつつある近頃、ブルーベリーの紅葉が徐々に始まっています🍁
最近はとんとご無沙汰でしたが、最近練習している曲を弾いてみました。
急に思い立ったので指向性マイクを持ってきておらず、音量が若干小さい上に、車道を走るトラックの音、思い切り拾っちゃってます。でもまあ、これはこれで良し。
今月末から、しばらくの間はパートナーがイベント出店のため各地へ出かけます。最近は札幌でもいつもお越しくだ もっとみる
農家が伝授する、質の高い農産物の見分け方 【新商品「カシスとりんごのジャム」を発売しました】
こんにちは! 北海道北斗市のブルーベリー・カシス栽培農園「ハウレット農園」を営んでいる道産子カナダ人農家Justinです。
ノートにアクセスしてくださりありがとうございますm(_ _)m
今回は、僕が就農する前、北海道各地の農家を回って研修をしていた頃に学んだ、美味しくて安全な野菜と果物の見分け方について書いてみようと思います。
農園を一緒に営んでいるパートナーの友達で、青森県で減農薬のりん
アメリカ先住民のブルーベリーパンケーキ「ソウトゥティーグ」を作ってみた 【レシピとおいしい食べ方】
こんにちは。北海道北斗市でブルーベリーとカシスを栽培している道産子カナダ人農家のJustinです。ノートをご覧いただきどうもありがとうございますm(_ _)m
僕は、カナダ人と言いつつも(父親(農園の創業者)の国籍がカナダなだけで)北海道生まれ北海道育ちの生粋の道産子。
中身は日本人みたいなもんで、日本が大好き、というよりむしろ、心の故郷である日本を心から愛しています。
もちろん、自分が生ま
イギリス人とカシスの話 【ジャムづくりの歴史談義】
こんにちは! 北海道でブルーベリー・カシスを栽培している道産子カナダ人農家のJustinです。
ウチの農園がある道南地方は、11月末にさしかかろうとしている今も、なぜか春のような陽気。
今年は全国的に暖かいんでしょうか? 仕事柄日々自然と触れ合っていると、確実に生態系が変化してきているのを肌で感じます。
最近、ウチで栽培しているカシスの歴史について改めて学んでみたくて、ちょくちょく色んな英語
最近考えていること 【•カシスジャムは僕たちのアート作品 •人間は「影響」の生き物 •幸福の正体=循環の中に身を置いている実感】
こんにちは! 乾燥がひどくなってくるこの時期、毎年決まって必ず喉をやられてしまう道産子カナダ人農家のJustinです。秋もだいぶ深まって風が冷たくなってきた近頃、いかがお過ごしでしょうか?
風邪は大抵喉から来るので、最近は大事を取ってさっさと寝るように心がけているのですが、今日はなんだか頭だけが妙に冴えてなかなか寝付けないので、話しの流れもオチも特に決めず、なんとなくノートを書き始めてみました