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高屋敷坂
2023年12月9日 11:58
われは 家をもたぬ者われは 人目をはばかる者われは ひだまりを求める者われは 硝子のもこうを羨む者ときには 不吉に姿をあらわしてときには 藪陰で隠れたりときには 夜中に口笛をふきときには 縁の下に住みついたりわれは 闇夜をまとう者われは 虹の瞳を輝かす者われは 細い爪を隠す者われは 暮らしを求める者
2023年12月8日 11:46
海に投げいれたちいさな思い出ちいさなおもちゃ 早朝に流れゆく 白い星屑のようで 後悔をした砂塵ほどの弱い決心のゆるい綱で束縛してなにを成長というか 目のまえに広がるは 透きとおる大海原 後悔をした
2023年12月7日 10:52
りんごの皮くるくる おちてしまもようさわやかな香りがゆびさきにあいさつりんごの皮とげとげ つくりこうさぎよ愛らしいすがたにくちびるはすすむりんごの皮するする こすりあかい水晶いじきたなくても白いきばをたてる
2023年12月6日 10:44
空気のゆれ稲妻のように肌をさすビリビリと感電空気のゆれ未熟な楽器のように耳をつらぬく悲痛でくるしい空気のゆれ自由なピアノのように心を弾く明るくこわい空気のゆれ空気のゆれどこまでいっても空気は振動す
2023年12月5日 11:01
夜があけて まだ白霧がたちこめる寒冷の指は 肌をなであたたかな朝をつくりゆく 黒の陶器には あまい渦あつい波は血流をゆく
2023年12月4日 10:38
天かける空に青空を斬りすてあらわれた翼おおきな影をみたひとたび夜になりひとたび朝になる目覚めの鐘がなりはくちょうは冬をよぶ
2023年12月3日 10:57
あまい あまいとろける まほう少年少女はよごれを 知らずやほおばりゆく君にささげる 愛のかたちとけてなくなる 消耗品ちいさく かわいい抵抗バラより純粋ちょこれゐと
2023年12月2日 10:49
おぼろげに 夢のようにささやかに きえてゆく忘れたくない 思い出が私のなかで 泣いている忘れたくない 思い出よ 夜は明ける 夜は明ける 夜は明けるいくたびの 願い星指をおり 願っては幻想のなかに とじこめて私のなかで 泣いている忘れたくない 思い出よ 嘘でもいい むなしくて 声をかける 人もなく 切りとって 離れないで 夜は明ける 夜は
2023年12月1日 10:30
しろい射光 しろい雪 しろい海原 しろい雲そのすべてがわたしに一点集中 目がやける 目がやけるしろい吐息 しろい世界
2023年11月30日 10:42
玄関さきに おおきな足跡いくつもの雪を ふみしみて苦労も汗も おきさってわざと ありありみせていく郵便受けには 手紙ありすこしの灯油が 冬らしいくもり硝子の むこうにはつもりつもった 雪や雪家の裏には 車の音
2023年11月29日 10:52
まわせ まわせおいかけまわせその 爪のある四肢で野山をかけまわせ まわせおいかけまわせその 司令塔の鼻で宝をさがせまわせ まわせおいかけまわせその するどい牙で勇ましくあれまわせ まわせおいかけまわせその 愛らしいしっぽはきみのもの
2023年11月28日 10:46
白山に はねる はねる はねるるる小雪をちらして精霊のように白山に はねる はねる はねるるる雪のかたまりひとりでにゆく白山に はねる はねる はねるるる羽のようなみみ白兎は野をかける
2023年11月27日 11:21
つみきをたかく 晴れたかくゆがんだ地面に 手はこばみひと風嵐 いまは敵天までとどく 籠の孤城三角屋根を 大一番地鳴りがひびき 瓦礫あり三角屋根に 意味はなし耳のおくに 崩落のさけび
2023年11月26日 11:08
ひとつ 息を ただよわせ北風は 髪を ゆらしゆくひとつ 息を とどまらせ積雪は 音を かなでゆくひとつ 息を のみこんでからすは 雪を さしてゆくひとつ 息を はきだして耳の 痛さに よわりゆく