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哲学

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西洋哲学と私自身の哲学の話だよ
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『禅とオートバイ修理技術』 要約と解説

『禅とオートバイ修理技術』 要約と解説

はじめに

 『禅とオートバイ修理技術』は、1974年に出版されました。著者パーシグが息子クリス、そしてサザーランド夫妻の3人と共に17日間の旅をした自伝的な内容です。
 かつて大学教師だったパーシグは、思索にふけるあまり狂人であると見なされ、(当時は合法だった)電気ショック療法を受けました。彼は記憶の大部分を失いながらも、教師時代に残したメモを再び読みながら、『クオリティとは何か?』という問いに

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古典哲学:プラトンと「イデア論」

古典哲学:プラトンと「イデア論」

 紀元前300年頃に活躍したギリシャの哲学者プラトンは、「この世の全てには、その源が存在する」と考えました。山とか馬とかいったものには、その大元に別の何かがあるのだ、と。しかも、やさしさとか美しさといった、目に見えないものにもその本体があるというのがプラトンの考えです。
 プラトンはこれらの本体を『イデア』と呼びました。英語のidea(アイデア)という言葉の元になった言葉です。
 ソクラテスと同じ

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古典哲学:ソクラテスと「無知の知」

古典哲学:ソクラテスと「無知の知」

 あなたは、10年後の1月1日にどこで何をしていますか?それは本当ですか?絶対にそうしていると言い切れますか?
 今こんなことを質問されて、答えられるでしょうか。

 誰にもわからないことについて、真剣にわかろうとした人たちがいました。ソクラテスもそのうちの一人です。彼は『無知の知』を発見した偉大な人物です。
 紀元前400年頃、ギリシャのアテナイという町に生まれたソクラテスは、後の哲学者に多くの

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一神教の限界

一神教の限界

山上容疑者の母親は統一教会をやめる気がまったくないらしい。

やめるかどうかは置いといて、彼女はグループの中にいる人たちに対して抗議してないのだろうか。

統一教会の信じる神がイエス様なのか他の誰かなのか、私は知らない。

もし母親が、神か、もしくは同じグループの誰かに「おかしくないですか?」と伝えられなくなっているとしたら、それは恐ろしいことだ。

1と0別の記事にも書いたが、一神教は「正しい神

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占いが絶対に当たる理由

占いが絶対に当たる理由

この記事とおなじタイトルでspoonというアプリからラジオ配信をしたら、コメントがめちゃくちゃ荒れた。

後のほうに詳しく書くが、その荒れたことによって私の仮説が証明されてしまった。

占いが当たる理由まず私は次のように主張した。

・人生を「自分が主人公の物語」と思う気持ちが強ければ強いほど占いはよく当たる。

・占いがよく当たる人は、引き寄せの法則もよく当たる。

そのあと時間をかけて、私がそ

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「引き寄せの法則」がある・ないの意味

「引き寄せの法則」がある・ないの意味

spoonで配信していたら友人が「引き寄せの法則はあると思う」と言った。

私はないと思っている。よくよく彼の話を聞いてみると、納得できるところがたくさんあった。

ただし、やっぱり「引き寄せ」はないと思う。ややこしい話だがどうか最後まで読んでほしい。

「引き寄せ」の起源引き寄せの法則は、「人間は微弱な磁力を帯びている」という説からくる。人間は微弱な電気なら帯びているから、昔の人が「磁力もあるん

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time is NOT money

time is NOT money

時間がない、と言う人がいる。その人はもうすぐ死にそうだからそう言ってるのかというと、そうではない。おそらく時間が「足りない」と言っているのだ。

また「時間を短縮する」とか「時間を節約する」という人もいる。それは時間をお金に例えるような感覚だと思う。

瞑想に時間を「費やす」昨日また神社に行って、今度は池の前のベンチで30分以上も瞑想していた。もちろん30分通しでやったわけではない。時々目を開けて

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無知は勇気

無知は勇気

手違いでkindle unlimitedに登録してしまった。もう解約したが3月までの料金を払ってしまったので、3月までは電子書籍が読み放題だ。

そこで、久しぶりに『ソクラテスの弁明』を読み返して感動している。

私はパソコンで電子書籍を読む派だ。元々『ソクラテスの弁明』は紙の本で持っていたのだが、友人に貸したっきりだ。でも私はその友人が好きなので、返してくれとは言わないでおこうと思う。

このn

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超越主義:自分の手で真実って掴めるの?

超越主義:自分の手で真実って掴めるの?

宗教とかスピリチュアルはでたらめだ、自分自身で真実を掴むのだ。という人やそういうメッセージに触れるたび、「それって、けっきょく自分の好きな物に操られるだけじゃないのかな?」と思ってしまう。

自分で体験したからってアメリカでは19世紀〜20世紀に『超越主義(ファンダメンタリズム)』として、そういった生き方が確立された。古いヨーロッパのキリスト教から卒業したいという思いも強かったのだろう。昔のアメリ

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ポジティブ思考で身を亡ぼすケース

ポジティブ思考で身を亡ぼすケース

ポジティブ思考をもって生きたら人生ぜんぶうまくいくよ、ということを書いた本がいっぱいある。

でも実はポジティブ思考によってむしろ人生がダメになる場合もある。

貯金しないアメリカポジティブ思考というフレーズはアメリカで『positive thinking』という言葉として生まれた。19世紀終わりから発展したnew thought(ニューソート)という思想の派生である。このnoteでもニューソート

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哲学を日常に役立てたいなら

哲学を日常に役立てたいなら

大学の哲学の科目で100点を貰えた。嬉しい。

哲学に詳しい人はたいがい、日常生活には何の役にも立たないよという。

私はそんなことないと思う。むしろ役に立つと思う。というか、役に立たないというのは「利益にならない」と言ってるんじゃないだろうか。

哲学を利益につなげるのは難しい。しかし、財産にすることならできる。

大学の哲学科私は英文学科を取っているので哲学科ではない。

哲学科を取った学生は

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役にたつ言葉たたない言葉/自分の曲を歌え

役にたつ言葉たたない言葉/自分の曲を歌え

誰が試しても、何度試してもだいたい同じ結果になるものごとなら、それには他人のアドバイスが役に立つ。

しかし、いろいろな条件でランダムに結果が変わってしまうものごとであれば、他人の真似をしてもその通りにならない。

そこらへんを勘違いしていた。

自己啓発本が役に立たたないシンプルな生き方、とかミニマリズムとか、あとメンタルタフネスだったかな、より豊かに柔軟に生きるヒントが欲しくて、そういった本を

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文系と理系に差は無いとパスカルは言う

文系と理系に差は無いとパスカルは言う

パスカルの「パンセ」をひさしぶりに読んで、いろいろ学んだ。

文系な人と理系な人の差は、習慣と精神性だけである。

あたらしい習慣を身につければ、どちらの思考も手に入るだろう。

繊細と幾何学の精神実際には「繊細」と「幾何学」として書かれていた。繊細というのはデリカシーだとして、幾何学って何かわかりますか?

幾何学とは物の形を計算する学問です。これにより、ちょうどいいサイズのマグカップや、こわれ

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哲学に生き方を求めた若者

哲学に生き方を求めた若者

大学の哲学科に入り「自分の生き方を見つける」ことを期待して肩透かしをくった子がいるらしい。

友人からそういう話を聞いた。

その子は入学後、哲学の授業が歴史の勉強みたいなことばっかりでがっかりしたそうだ。

たぶんその学生は人生の指針かモットーを求めていたのだろう。正直、その気持ちもわかる。

哲学のからくり本屋でも、生き方のガイドブックのようにしてニーチェの本が置いてあったりする。私たちはどう

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