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文化・芸術

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民芸、音楽、絵画、彫刻、本、映画、アートなど、ジャンルを問わず建築と絡めながら記録。
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中世の革新的デザイナー重源

中世の革新的デザイナー重源

日本全国には神社はどのくらいあるのでしょうか。
その数は8万社を超えるといい、神社には摂社・末社などもあるため、建物の数でいうと数十万社にもおよびます。

さて、この数多くの神社建築の中で、一際目立つ造りの神社建築があります。それが岡山県にある「吉備津神社本殿」です。
神社建築には、ある程度の構造様式の種別があります。日本全国で最も多いのが「流造」といい、皆さんの氏神様の社もこの造りの可能性が高い

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映画『コロンバス』

映画『コロンバス』

数多くのモダニズム建築を見ることができる、アメリカの地方都市コロンバスを舞台にした映画『コロンバス』。

ざっくりと内容を述べると、

ということで、あえて細かく内容を紹介しないのには、今回の記事の内容にも関係しています。(映画の内容をストーリーに沿って、細かく伝えるのが苦手というのも実際ありますが。)なので、内容は下記のページが分かりやすいかと思います。

心に残ったシーンを一つ紹介したいと思い

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建築写真を世に広めた写真家「Julius Shulman」

建築写真を世に広めた写真家「Julius Shulman」

20世紀前半、インターネットが無い時代において、建築写真が及ぼす影響は多大なもので、建物の印象を、実際の体験を超える崇高なものにまで押し上げるほどの影響がありました。

それら建築写真を活用することは、当時の建築家にとって、営業ツールとして使用することはもちろんのこと、自身のマニュフェストを世に広める重要な役割を果たしました。近代建築3大巨匠の1人 ル・コルビュジェも建築写真を活用したメディア戦略

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岡山の革工房「ANDADURA」

岡山の革工房「ANDADURA」

購入したきっかけ

↓こちらが私の財布。

購入したきっかけは、暮らしのギャラリー(岡山本店)でふと目にとまってからです。

フォルムと革の自然な風合いが気になり、じっと眺めていると、その場にいた店主が声をかけてきました。

「こちらの形は、職人さん本人が自分でも一番気に入っているデザインだそうで、創業時から今も変わらず同じ型で作り続けているのですよ。」

正直、この財布。
厚みは無いし、あまり物

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名建築がまた休館「鳴門市文化会館」

名建築がまた休館「鳴門市文化会館」

こちらの写真をご覧ください。

日本にあるとは思えないような、なかなかフォトジェニックな建物ですね。

こちらは、「鳴門市文化会館」

残念ながら、昨年に休館してしまい中は見ることができません。

ですが、幸いにも"休館"です。
"閉館"ではありません。
取り壊す話もあったそうですが、新築よりも既存建物を改修した方が金額的に安くすむためとのこと。

それでも、"改修を実施する方針で検討しております

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ビーン・トゥ・バー・チョコレート『The Taste of Nature』映画

ビーン・トゥ・バー・チョコレート『The Taste of Nature』映画

先日観たドキュメンタリー映画で、また心の励みになる作品に出会いました。

『The Taste of Nature 世界で一番おいしいチョコレートの作り方』

世界最大級のチョコレートの祭典、サロン・デュ・ショコラ・パリで世界一位になったチョコレートを作る「グリーンチョコレート」の代表、安達建之のドキュメンタリー。

映画の前半は、ビーン・トゥー・バー・チョコレートの概要や安達氏がそれに注目しはじ

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有田焼と佐賀県立九州陶磁文化館

有田焼と佐賀県立九州陶磁文化館

先日、佐賀県有田町にある「佐賀県立九州陶磁文化館」に行ってまいりました。こちらでは、有田焼はもちろんのこと、九州各地の焼き物の展示や歴史資料、現代の作家の展示まで観ることができます。

「佐賀県立九州陶磁文化館」は1980年に設立されたのですが、設計した建築家は内田祥哉先生。東京大学の元総長でキャンパスを設計した内田祥三の息子であり、建築構法学の父とも言われている。内田祥哉先生は5年前にお会いした

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福岡市美術館 ミナペルホネン

福岡市美術館 ミナペルホネン

建築家、前川國男設計の「福岡市美術館」に行ってまいりました。

大濠公園にある美術館で、前川國男の建物は本当に公園にふさわしい建物だとつくづく思います。

大階段やプロムナード、庇も兼ねる大きく跳ね出したバルコニー、内部の吹抜けも死んだ空間にならずに人がよく行き交う。そこに大きな開口部と中庭を設けているから、人が溜まる場所が明るくなり、建物がまさに立体的な公園のように広がりをみせる。

福岡市美術

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自然と建築

自然と建築

モノや情報に溢れているのに、資源や愛情が枯渇している時代。環境破壊や争いはエスカレートし、科学の発展の行先は何なのか。
これからはまたシンプルに自然と共にある建築の需要が増すのではないかと思っている。

Alexander Girard「ウッデンドール」

Alexander Girard「ウッデンドール」

先日、倉敷民藝館に行きましたが、やはり民芸品の素朴さや人の手の温かみが感じられる品は良いですね。

民芸からインスパイアされたオブジェで、私も1つだけ飾っているものを紹介します。

それが、アレキサンダー・ジラルドの「ウッデンドール リトルデビル」です。

アレキサンダー・ジラルドはミッドセンチュリーを代表するデザイナーの一人です。ウッデンドールは何種類かデザインがあり、コレクションして飾ってもイ

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作曲家「Luke Faulkner」

作曲家「Luke Faulkner」

新年度が始まり新しい生活を始める方や今までと環境は変わらずとも新たな気持ちを迎えようとしている方。春が訪れ、晴れやかな気持ちで新年度を迎えたい。

と、言いたいところだけど、春と共に訪れるのは、晴れやかな事ばかりではありません。人それぞれに人生があり、何かを失い悲しい出来事に打ちひしがれている方もいるでしょう。そんな時におすすめの音楽を添付します。タイトルはまさに「Life and Loss」。

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カロリング朝の建築

カロリング朝の建築

カロリング朝の建築は8世紀後半から10世紀頃に西ヨーロッパを中心に建てられた建築。ロマネスク建築と区別して「プレ・ロマネスク」とも呼ばれる。古代の比例感覚を外したプロポーションがなんだか人間的。

ほとんどの学校では、西洋建築様式史を↓のように教えられるのではないでしょうか。

エジプト建築→オリエント建築→ギリシャ建築→ローマ建築→初期キリスト建築→ビザンティン→イスラム→ロマネスク→ゴシック→

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近代建築の解体、保存について

近代建築の解体、保存について

昨今、近代建築といわれる建物がその文化的価値を考慮せずに、老朽化や経済的に非合理のため、壊されていく事例をよく見かけます。最近のニュースで私が本当に悲しんでいるのは、「東京海上日動ビル」が解体されてしまうというニュース。

設計したのは東京文化会館や東京都美術館など全国各地で数多くの美術館や博物館を設計した前川國男。私が前川國男をはじめて知ったのは実はこの東京海上日動ビル。18歳の時に東京駅に降り

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イタリアの巨匠「Angelo Mangiarotti(アンジェロ・マンジャロッティ)」

イタリアの巨匠「Angelo Mangiarotti(アンジェロ・マンジャロッティ)」

イタリアの巨匠
「Angelo Mangiarotti(アンジェロ・マンジャロッティ)」


時計や食器などのプロダクトデザインから家具、建築、都市計画まで、マンジャロッティ自身のコンセプトをブレる事なくデザインに昇華していったイタリアの巨匠。
日本との交流も深く、彼のミラノの事務所には、日本人デザイナーや建築家が所員として常に在籍している状態だったとか。



『アンジェロ・マンジャロッテ

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