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エッセイストになりたいねん

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自分の人生や日々の生活に起きたことをエッセイにしています。
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#ライフスタイル

エッセイ「ウケてウケられて生きるのさ」

エッセイ「ウケてウケられて生きるのさ」

日々こまごました冗談を言うのが一番コスパが良い。なんのコスパ?というと笑いの自給自足の、である。コストに対するパフォーマンスがコスパということなので、無から笑いを生み出す力があればコスパ優秀☆プチプラ人間になれるし、笑いの永久機関が機能し始めると箸が転んでもおかしくて生きるのが楽しくなる。そういう一連の循環を私は「笑いの自給自足」と呼んでいる。

笑いの自給自足は誰のためにやるかというと自分のため

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ミニエッセイ「ほんの小さな」

ミニエッセイ「ほんの小さな」

暑い日は麻の敷き布団にばたんきゅーするのが好きだ。

ずっと同じ体勢で寝ていると飽きてくるので、仰向けのままばんざいをすると気持ちが良い。
枕に両腕を乗せて、ぐーんとする。脇の下が伸びるとなんだか良い感じがする。

表向きに飽きてきたら、もうそろそろ頃合いかな、というところで体を裏返す。焼き魚もこんな気持ちなのかしら、と七輪の上の開きに想いを馳せる。

ほんの小さな気分転換。

ミニエッセイ「梅雨明け」

ミニエッセイ「梅雨明け」

梅雨が明けて、スコールみたいな夏の雨が降った。外は明るい。庭の椿の葉っぱに雨粒がばらばら跳ねて良い音がした。葉っぱから葉っぱへと雫が垂れていく。緑のシャンパンタワー……。

癒やされて寝てしまった。目覚めると蝉が一匹、鳴いていた。夏。

残像スライドショー(寝る前にいろいろ見えたり聴こえたりする現象の話)

残像スライドショー(寝る前にいろいろ見えたり聴こえたりする現象の話)

あれは4度目のイギリス旅行から帰る飛行機でのことだった。シートベルトをして離陸するのを待って、さあ3週間の滞在よ、愛しのイギリスよさようなら。なにか映画でも観るか……と、座席前のモニター画面を、スーファミのコントローラーと固定電話の子機のキメラみたいなリモコンでポチポチ操作して見つけたのが、『ブリティッシュベイクオフ』という番組だった。

イギリスBBCの人気料理番組で、アマチュアのベイカー(Ba

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自家製レモンウォーターでリフレッシュしつつ痩せる目論見(もくろみ)🍋

自家製レモンウォーターでリフレッシュしつつ痩せる目論見(もくろみ)🍋

発熱してからなんだかんだで11日が経ち、気が付けば明らかに太ってしまった。中盤からは胃腸もぶっ壊れて今もまだ帰らぬ胃腸のままなのに、消化の良いものしか食べられない割には食欲は普通にあったため、お米とお芋とお餅の炭水化物ダンシングオールナイトを過ごすことになり血糖値が爆上がりしたようである。

私は日頃から食後血糖値の乱高下にはかなり気を付けていてお米もお芋もお餅もあまり食べないようにしていたので、

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「腸のふるさとブルガリア」 #ヨーグルトのある食卓

「腸のふるさとブルガリア」 #ヨーグルトのある食卓

人には「心のふるさと」とか「第2のふるさと」があると思うのだが、あまり「腸のふるさと」については語られることがない。心にはふるさとがあるのに腸にはふるさとがないとはこれいかに。私はつねづね臓器には平等でいたいと思っているので(どういうこと?)、この機会に「腸のふるさと」に想いを馳せてみたいと思う。

さて、ありとあらゆる国の食べものを日々飲み込んでいく腸ではあるが、やはり「何が本当に腸に良いのか」

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「腸のごきげんを伺う人生よ、さようなら」 #ヨーグルトのある食卓

「腸のごきげんを伺う人生よ、さようなら」 #ヨーグルトのある食卓

振り返ればいつも腸のごきげんばかり気にしてきた人生だった。いつだってそうだ。腸にお伺いを立て、腸の意の向くまま欲するまま、口にするものを選択してきた。腸の怒りを買えばトイレに籠もって懺悔の時を過ごし、眼前に幾度となく押し寄せる大波小波に、我が人生もこれまでか、と覚悟を決めてきたものだ。

正直に言おう。今も私は腸の支配下にある。お腹がぶっ壊れているのだ。「ピーヒャラピーヒャラ」などとのん気なBGM

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スーパーマーケット文学 〜ライフは私の人生でした。〜

スーパーマーケット文学 〜ライフは私の人生でした。〜

原始、ライフは太陽であった(個人的には)(このフレーズが使ってみたかっただけ)。

今は昔、私こと綿生しあのは数年だけ東京で働いていたことがありました。東京に憧れて……というよりは、犬も歩けばブラック企業に当たる勢いで転職活動が下手だったため、出稼ぎ労働者の心持ちで上京したのであります。

そんな私が東京で一番困ったのが「馴染みのスーパーがない」問題でありました。私が関東出身であれば話も違ったので

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変わる変わるよ音楽性は変わる 〜ショパンを弾いていた少女が大塚愛経由でDesperadoに辿り着くまで〜

変わる変わるよ音楽性は変わる 〜ショパンを弾いていた少女が大塚愛経由でDesperadoに辿り着くまで〜

音楽が好きな人ならきっと、聴いた途端センチメンタルスイッチが入る曲ってあると思うんだけど、私にとってのそれはイーグルスの”Desperado”だ。

1973年の発売当時に相当売れた曲みたいなので、私にとっての、というよりは全世界共通のセンチメンタルスイッチと言えるかもしれない。まあ、みんながみんなセンチメンタルな気持ちで聴いているのかどうかはわからないけど、少なくとも私はめちゃくちゃ胸が熱くなる

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はじめてのパスポート、はじめての原宿 〜中学生と証明写真〜

はじめてのパスポート、はじめての原宿 〜中学生と証明写真〜

はじめてパスポートを申請したのは中学生の時だった。申請には顔写真が必要ということで、スーパーの証明写真機で撮影をすべく自転車を漕いで出掛けていった。近くのスーパーに行く時ほど自転車のペダルの漕ぎ心地が軽快なことってないと思うのだがなぜだろう。単純に近いからかな。走行時間10分足らず、なんとなくソワソワドギマギしながら風を切って走った。ドギマギしちゃうお年頃です。

確か証明写真機自体その時が初めて

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エディタの上でダンスする

エディタの上でダンスする

言葉遊びが大好きなので文章を書き始めると意味もなく韻を踏んだりリズムを刻んだりしてテキストエディタの上で踊ってしまう。運動神経ゼロ芸人なので体を使ってのダンスは苦手だけど、その分こうやってエディタの上で踊るのは得意な気がする。

ダンスしている文章というのはダンスするのが最大の目的なので、振り付けとなる言葉とか表現の方向性とか真の意味とか伝えたいメッセージとかは特に重要ではない。ただ踊りたいから踊

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脱・みうらじゅん 〜1年ぶりの断髪式〜

脱・みうらじゅん 〜1年ぶりの断髪式〜

1年ぶりに髪を切った。前回のカットは昨年の6月の中頃だっただろうか、昔から通っていたサロンの美容師さんに家まで来てもらった。台所にブルーシートを敷き詰めて、私は車椅子、美容師さんはキャスター付きの椅子に座ってチョキチョキ。当時の時点で既に人と会うのは3か月ぶりだったので緊張したが、信頼している方なので安心しておまかせすることができた。

本来サロンのメニューに出張はないと思うのだけど、こちらの事情

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『ザリ子の旅』のこと 〜夏休みのおもいで〜

『ザリ子の旅』のこと 〜夏休みのおもいで〜

夏休みの出来事で最も思い出深いのは『ザリ子の旅』のことだ。小1の夏休み、クラスで飼っていたザリガニのザリ子を預かったことから全ては始まった。

当時の私は大変に気の良い子供だったらしい。誰もやりたがらない空気の中、なぜか率先して夏休みのザリガニの世話を引き受けることにした。1学期の最終日にザリ子入りの水槽を自宅まで持ち帰り、庭のど真ん中に置くと、快適な住まいづくりのために水槽に砂利を入れてみたり水

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アイスランドの朝焼けと、いつもの部屋の夕焼けと。

アイスランドの朝焼けと、いつもの部屋の夕焼けと。

世の中にはありとあらゆる楽しいものや綺麗なものが溢れているけど、空ほど面白いものはないと思う。ふと見上げた空の美しさにもハッとさせられるけど、「さあ空でも見るかな」と腰を据えて何十分もじっくり眺めると、これはもう何物にも変えがたい見応えがある。

雲は流れたり止まったりして姿形を変えて、太陽は少しずつ傾いていつの間にか朝は昼になり、昼は夕方になり、夕方は夜になっている。そのうち月が現れて、「今日は

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