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文化、あるいはCulture。

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Культура、またはसंस्कृति、ときどきالثقافة。
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ロシア連邦の刺繍モチーフ

ロシア連邦の刺繍モチーフ

ロシア旅行に行く前に何かの本で読んだ。

娘は結婚するまでにその家に伝わる刺繍を母親から習うのだそうだ。

そして、ロシア北方のカレリア共和国にあるキジ島を訪れた時に、民家に刺繍の展示があり、感動した。

その後も、ロシア連邦に来るたびに、住んでからも美術館や博物館などで刺繍を見つけると写真を撮っていた。

これは、2015年にチェブラーシカ博物館で見た刺繍。

2016年8月にロシア美術館で見た

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「笑い」と「恥」の境界線をずらせ!

「笑い」と「恥」の境界線をずらせ!

"異文化を知れば、人生がほんの少し軽くなる。"

侮辱とジョーク。羞恥とお笑い。
これらは皆、紙一重である。
そしてその境界は、文化によってガラッと違う。
あなたが無意識に引いているその境界、グラつかせませんか?

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日本とアメリカは、どちらも、「平等」を愛する国だ。
そういうと、すぐに双方から反論されるだろう。
日「あんな、貧富の差の激しい、不平等な国が?」
米「あんな、上下関係の厳しい、不

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一億総批判家〜我々は何に服従しているのか?〜

【問1】「忖度」の責任はどこにある?

我々はどうしようもなく批判が好きらしい。
アメリカ大陸では、特定の政治家を支持する集団が街を練り歩くが、
日本列島では、特定の政治家あるいは政治全体を批判する集団が街を練り歩く。

戦時下でも、平和下でも、コロナ下でも、
「上司批判」と「政治批判」はお盛んだったらしい。

部下は上司を、上司は部下を、
子は親を、親は子を、
若者は老人を、老人は若者を、
大衆

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森鴎外の『当流比較言語学』が大好きな件について。コロナ禍の日本を見て書いたかのよう。

森鴎外の『当流比較言語学』が大好きな件について。コロナ禍の日本を見て書いたかのよう。

 『当流比較言語学』は、ドイツ語にはあるけど日本語にはない言葉を紹介しながら、日本人にない感情を指摘するという本です。
 紹介されるドイツ語は3つで、構成はとてもシンプル。文字数も極めて少ないので、数分で読むことができます。
 ただし、明治時代に書かれた文章である上に、紹介される言葉以外にもドイツ語が頻繁に出てくるので、ところどころ意味をとれないところがあります。しかし、分からない言葉を飛ばして読

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ありがとう、のない国

ありがとう、のない国

機体を一歩踏み出すと、じわりとあったかくて安心するような湿度の、ひとの体温と熱気に満ちた空気が広がった。

乗り込む前に最後に吸い込んだ空気は氷水のような冷たい冬の空気だった。

その温度の違いは、私に何よりも早く旅の始まりを教えてくれた。とうとう、やってきたのだ。

はじまりの国、ベトナム出発点はベトナム、ホーチミン。タンソンニャット空港。
ホーチミンはベトナム最大の都市である。

本当に大丈夫

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足りないのは、お金でもスキルでもなく、「直接性」かもしれない

足りないのは、お金でもスキルでもなく、「直接性」かもしれない

▼ほかる は『イスラムが効く!』を手に入れた!
▼これまで「社会」に対してなんとなく抱いてきた、何とも言えない気持ち悪さの理由、そして自分に足りなかったものが解消された!
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以下、あなたにも効くかもしれない、イスラムの世界観。

1.【直接性】いつでも1on1/もの(実態)と名前(概念)は一致していなければいけない・神の前に一人立つ教会や聖職者、僧侶など、神(仏)と自己との間を仲介するものがな

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これで外国語が面白くなる!多言語のはなし

これで外国語が面白くなる!多言語のはなし

基本的に人類が苦手だから、異民族はもっと苦手。だが多言語に手を出す。
−−なぜか?
ひとえに、母国語にない表現と概念を輸入するためである。
だから、世界中に友達ができる!とか、現地の人と話せる!とかは、実はどうでもいい。

現状、母国語だけで十分生きていけるし多言語なんて面倒くさい、と思う。勉強すればするほどそう思う。言語なんて学べば学ぶほど分からなくなる。できればやりたくない。
だけど、日本語な

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なぜ日本人はマスクに違和感がないのか?

なぜ日本人はマスクに違和感がないのか?

インターネットが登場し、電子メールから始まった文字でのコミュニケーション。それ以前からの「手紙」では使われることがなかったが、ネットで登場したのが「顔文字」ではないだろうか。ネット前からあったのかもしれないけど。

前から疑問に思っていたことがあった。それは、アメリカ始め欧米の友人とメールやSNSなどでやり取りしている時の、顔文字の日本との違いだ。

海外では、なぜか顔が90度横倒しになっている。

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グローバル人材?――いいえ、グローバル村に住んでいるだけ

グローバル人材?――いいえ、グローバル村に住んでいるだけ

異文化が好きということと、異文化に溶け込んで暮らすことは全く違う。

理不尽と、異文化は似ている。
というよりも、異文化は理不尽で成り立っている。
ローカルがローカルであるためには、ローカルルールが必須だ。ローカルルールなきところにローカルはない。
若者がムラ社会を嫌う理由と、世界の都市が似てくる原因は同じなのだ。
ローカルルールを疎み、共通化していくと、無個性な都市ができる。
そしてそこにもルー

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いまわたし、トスカなの。(鬱なんてイケてない言葉で呼ばないで。)

もしかしたら、あなたも、トスカの被害者なのかもしれない。

"もしロダンがロシア人だったら、あの有名な彫刻を「考える人」ではなく「トスカ」と名付けたにちがいない。"

こうとも言われているこのトスカ。
端的に言うと、以下のようなものらしい。

"否定的感情の総和よりさらに大きい何か、まったく異なる何かなのである。"

ますますよくわからない。
では、その症状を確認してみよう。

”万力で心の臓を締

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ラオスにいて考えるようになった「消費」のあり方

ラオスにいて考えるようになった「消費」のあり方

ラオスで2年暮らし、自分の今後に大きく影響すると思われる価値観が変わった。それは「消費」のあり方だ。

消費とは、人間の欲望を満たすために物財を費やす行為。消費は人間生活を維持,向上させるために行われるが,この点からみれば経済活動の基軸をなす生産は最終的には消費を目的としているといえる。(ブリタニカ国際大百科事典)

人間の欲望とは色々あるけど、生きていくのに不可欠な3大欲求もそうだし、衣食住を為

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そうはいっても、やっぱりプレーンが一番旨いんだ!

そうはいっても、やっぱりプレーンが一番旨いんだ!

ロシア料理はうまい。

決して他の国の料理がまずいと言いたいわけではないし、
「うまい」にもいろんな種類がある(胃、脳、舌、喉、ハートで感じるうまさ…etc)が、
ロシア料理のうまさはこのどれでもない。

アジアのような生命力あふれるうまさでもなく、
欧米のようなアーティスティックなうまさでもなく、
和食の心にしみるうまさでもない。
うーん、なんだろう。名状しがたい。
強いて言うなら「なんでもない

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価値観戦争

価値観戦争

▼ほかる は 手記 を 見つけた

あるところに、3匹のこぶたが住む家がありました。
こぶたの名前は『ケイザイ』『シンシン』『セイメイ』といいました。

ある日、隣村に「おそろしい狼」がやってきたという知らせがありました。

それを聞いたセイメイは皆に家から出るなと言いました。
ところがケイザイは「おそろしくない狼などいない。そんなことをすれば飢え死にするか家から追い出されるかだ」
そしてシンシン

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困ること、不快になること、孤独になること、苦しむこと――それが旅行だ。

困ること、不快になること、孤独になること、苦しむこと――それが旅行だ。

2020年2月16日。浅田次郎さんの 「ほんとうのおもてなし*」に触発されて。

そもそも、旅に「おもてなし」は必要だろうか?私の旅の目的は、知らない街に溶け込むこと。正しくは、そこに生まれ育ったかもしれない自分を空想する、とでもいうのか。

ゆえに、写真映えする「美しいものを見て美味しいものを食べとにかく楽しく過ごす」という旅行には興味がない。

良い旅とは、「万事うまくいって快適で始終楽しかっ

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