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些末な記録と記憶の保管庫。 noteは記録係の活動の発信拠点になります。 ZINEを…

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些末な記録と記憶の保管庫。 noteは記録係の活動の発信拠点になります。 ZINEを中心とした個人出版物の制作活動も行なっております。 これまでの出版物はこちら https://kirokugakari.base.shop/

マガジン

  • 不安の日記

    不安な気持ちになった時に、とりあえず書き留める日記です。 不安へ立ち向かわず、そのままにしておくための実験でもあります。 強引に取り除こうとすればするほど増大してゆく厄介な感情である不安。 ならばとしっかり向き合うことにしてみました。

  • 生活する沖縄

    小さな頃から沖縄は旅行する場所だと認識していた自分にとって、そこに暮らす人たちとの関わりは新鮮で、嬉しい発見に溢れる毎日です。納豆は4パックで1セットが当たり前とかね! ただ同時に自分がこれまで沖縄に投げかけていた視線の暴力性にも気づくこととなりました。 ここでの暮らしと関わりを書きとめることで、自分の中に長い年月をかけてまるで石化したようにこびりついた"身勝手な沖縄像"が、少しずつほどけてゆくことを期待しています。

記事一覧

お相撲のパーティー

家族や友達との間だけに通じる言葉って、誰しもにあると思う。 小さい頃、間違えて呼んでいた名前がそのままそれを示す呼称になったり、正式名称のわからないものをテキト…

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11日前
5

適齢期 [不安の日記 vol.1]

あと4ヶ月で26歳になる。 「誕生日を意識させるようなことを書くと、お祝いをしてほしいのかと思われないかな」 などと考えてしまうのは、誕生日を意識させる何かを読んだ…

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13日前
6

4月4日、早起きできた日の日記

自転車で30分くらいのところに大きめのスタバがあるので、作業道具を携えて向かった。 荒川を越える橋を渡る。 土手にまたがるこの橋を渡るのは昔から好きだった。 土手…

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2週間前
4

4月2日、春の日記

友達がパリに行くので空港へと向かう。 花粉の薬のせいで午前中からとてつもなく眠い。 お見送りに加えて、書いていた小説を渡すという大切なミッションがあったのに、現物…

記録係
1か月前
5

だいたい4ヶ月前のある日の日記

カメラロールを遡っていくと、見慣れないというか、身の丈にあってない場所の写真があった。 4ヶ月前 その日は確か雨で、ズボラな人なら傘はいらないと判断するくらいの…

記録係
1か月前
7

ZINE 『助走をとる』

新しいZINEができました! タイトル『助走をとる』 半年間同居した友達が、3月からパリでバリスタとして働くことが決まりました。彼の人生が進み、自分はなんだか置いて…

記録係
2か月前
12

思い出すこと「Eテレ」

思い出すという行為。 記憶を頭の中で再生することだけが、過去を確かなものにする。 小さい頃に好きだったプチプチアニメ。朝と夕方、テレビを目にする時間にeテレで流れ…

記録係
2か月前
9

生活する沖縄 #8|浅煎りの紺色

ここ数日の沖縄の天気は2月であることを忘れるような暑さで、日中は25度くらいになる。もちろん上着の出番なんてないくらいの気温。 この時期になると島全体が春の準備を始…

記録係
3か月前
9

心の眼|福田村事件について

福田村事件を観た。 終盤は呼吸することを忘れていたんじゃないかと思うくらいに全身がそのリアリティを受け止めていて、鑑賞後はいつもより少しだけ自分の心臓や脈の音が…

記録係
4か月前
14

生活する沖縄 #7|百円の恋

『百円の恋』を観た。安藤サクラさん主演。 目の前の一勝のために頑張るのって難しくて、そんでめっちゃかっこいい。 部活とかは特にわかりやすいけど、 「どうせプロにな…

記録係
4か月前
11

生活する沖縄 #6|低空の凧、 ロードサイド。

視界がブラックアウトする寸前まで自分を追い込んだ。 いつもの公園。いつもの鬼ごっこ。 冬休み中の子どもたちはなんの引き換えもなしに、そのエネルギーを20倍くらいにし…

記録係
4か月前
4

2024年の始まりは、こと日本においてはとても苦しいものになっています。 能登半島の地震、航空機事故。被災地の支援に向かう飛行機だったなんて、あまりにも胸が痛く、視…

記録係
4か月前
9

生活する沖縄 #5|イッチバンの大人気

沖縄にはグスクっていう琉球王国時代の遺跡がたくさんあって、世界遺産になってたりなっていなかったりする。グスクは城という字を当てるけど、必ずしもお城の跡ではない。…

記録係
4か月前
14

生活する沖縄 #4|小さいワ。

沖縄には500メートル級の山が幾つかあって、そのうちの4つの山を一日のうちにまとめて登った。 いい感じの棒を拾った隊長を先頭に据えて、4時間にわたってひたすら歩き続け…

記録係
4か月前
11

生活する沖縄 #3|全開の窓、食卓のもずく

その日は離島に向かった。 沖縄近海には島がたくさん浮かんでいて、飛行機やフェリーだけじゃなく、車で行けちゃうお手軽島もいくつかある。 海中道路と呼ばれる道を通っ…

記録係
5か月前
16

書いた本の紹介|君は簡単なことを難しそうにやるね

「僕はよく叱られる。」から始まるこの本は、 叱られる時によく言われる言葉を数個ピックアップして、一度は素直に、二度目はちょびっとだけ反抗して、問いかけるような形…

記録係
5か月前
4
お相撲のパーティー

お相撲のパーティー

家族や友達との間だけに通じる言葉って、誰しもにあると思う。
小さい頃、間違えて呼んでいた名前がそのままそれを示す呼称になったり、正式名称のわからないものをテキトーに名付けていたらいつの間にかそれが家族間のオフィシャルワードになっていたり、そのルーツは様々なはず。
少しネットで調べると、知らん家族がリモコンのことをピッピと呼んでいたり、スクランブルエッグのことをポロポロと呼んでいたりしているのを知り

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適齢期 [不安の日記 vol.1]

適齢期 [不安の日記 vol.1]


あと4ヶ月で26歳になる。
「誕生日を意識させるようなことを書くと、お祝いをしてほしいのかと思われないかな」
などと考えてしまうのは、誕生日を意識させる何かを読んだ時に「お祝いしてほしいのかな」と思ってしまう卑屈な人間だからなのかもしれない。

『26歳計画』という本を3年前に読んでから、26歳という年齢が急激に意味を持つようになってしまった。
困ったことに。

ところで人生において意味を持つ、

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4月4日、早起きできた日の日記

4月4日、早起きできた日の日記

自転車で30分くらいのところに大きめのスタバがあるので、作業道具を携えて向かった。
荒川を越える橋を渡る。

土手にまたがるこの橋を渡るのは昔から好きだった。
土手の景色というのは何時間眺めても飽きないきがする。
たくさんの人が走っていたり、自転車を止めて、慣れないスマホで綺麗な空を写真に残そうとする人がいたり! 高架下の壁に向かって1人でソフトボールの練習をする人もいた。
それぞれの日常の

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4月2日、春の日記

4月2日、春の日記

友達がパリに行くので空港へと向かう。
花粉の薬のせいで午前中からとてつもなく眠い。
お見送りに加えて、書いていた小説を渡すという大切なミッションがあったのに、現物を忘れた。

成田空港に着くと、たくさんの国の香りが混じって記憶を刺激してくる。外国に行きてえ〜ってなる。
妹が留学するときも、今日もそうだ。成田空港の匂いは海の向こうに気持ちを追いやる。

初めて行った国はフィリピンだった。
モールや空

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だいたい4ヶ月前のある日の日記

だいたい4ヶ月前のある日の日記

カメラロールを遡っていくと、見慣れないというか、身の丈にあってない場所の写真があった。

4ヶ月前

その日は確か雨で、ズボラな人なら傘はいらないと判断するくらいの雨。
と思って油断していたらしっかり降り出したから傘のレンタルサービス的なので借りた。

学大前でいくつかの用事を済ませて、下北沢の少しはずれにあるバーに行く。ここは好きな写真家さんが行っていたから知った場所。
どうやら中に小さなギャラ

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ZINE 『助走をとる』

ZINE 『助走をとる』

新しいZINEができました!

タイトル『助走をとる』

半年間同居した友達が、3月からパリでバリスタとして働くことが決まりました。彼の人生が進み、自分はなんだか置いてけぼりになった感覚であるにも関わらず、友達はいつも通り飄々としていて悔しいんです。

だから僕は僕のやり方で、パリまでの助走の時間を走り抜けようと思い、本を作ることにしました。

とりあえず友達には本を作ることだけを伝えて、12月か

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思い出すこと「Eテレ」

思い出すこと「Eテレ」

思い出すという行為。

記憶を頭の中で再生することだけが、過去を確かなものにする。
小さい頃に好きだったプチプチアニメ。朝と夕方、テレビを目にする時間にeテレで流れていた5分のアニメ。
あの頃の5分って、5分だと気が付かないくらい長くて、それは5分を知らなかったからというのと、時間が流れ進むものという感覚が今より希薄だったからかな。時計を見るっていう感覚があんまなかった。1時間は超長くて、30分も

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生活する沖縄  #8|浅煎りの紺色

生活する沖縄 #8|浅煎りの紺色

ここ数日の沖縄の天気は2月であることを忘れるような暑さで、日中は25度くらいになる。もちろん上着の出番なんてないくらいの気温。
この時期になると島全体が春の準備を始めるというのだから、東京から飛行機で2時間半の距離にこんなにも常識の異なる国があるなんてびっくり。

もっとびっくりなのは、ここ最近の空は確実に夏のそれであること。
冬晴れのしんと澄んだ空気とは明らかに違っていて、空はグッと近くにあって

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心の眼|福田村事件について

心の眼|福田村事件について

福田村事件を観た。
終盤は呼吸することを忘れていたんじゃないかと思うくらいに全身がそのリアリティを受け止めていて、鑑賞後はいつもより少しだけ自分の心臓や脈の音がよく聴こえた。

100年前の話。
100年っていうと長いようで、人一人分の人生と同じくらいだから、ほとんど隣にいるみたいなものだと思う。
100歳の時に幼稚園時代の初恋を思い出す、そのくらいの感覚で思いを馳せることができる時間が、だいたい

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生活する沖縄 #7|百円の恋

生活する沖縄 #7|百円の恋

『百円の恋』を観た。安藤サクラさん主演。
目の前の一勝のために頑張るのって難しくて、そんでめっちゃかっこいい。

部活とかは特にわかりやすいけど、
「どうせプロになれないのに」「全国優勝できないのに」必死に頑張る意味を自分に問いかけてしまいがち。

ただの自己満じゃねって言われがち。

自己満でいいんだろうね、自己満で上等なんだろうね。
それが好きで、勝ちたいから、頑張りたいから頑張るってかっこい

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生活する沖縄 #6|低空の凧、 ロードサイド。

生活する沖縄 #6|低空の凧、 ロードサイド。

視界がブラックアウトする寸前まで自分を追い込んだ。
いつもの公園。いつもの鬼ごっこ。
冬休み中の子どもたちはなんの引き換えもなしに、そのエネルギーを20倍くらいにして襲いかかってくる。ルールもよくわからないまま知らない遊びに招待されては、最速で負けた。

近くでは二つの凧が丘の斜面を低空飛行していて、
お年玉で買ったであろう新品の自転車と、新品のキックスケーターが行き交う。それを追いかけるのは、数

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敵

2024年の始まりは、こと日本においてはとても苦しいものになっています。
能登半島の地震、航空機事故。被災地の支援に向かう飛行機だったなんて、あまりにも胸が痛く、視界が滲みます。

日増しに増えていく被害者の数と安否のわからない人たち。
今も食料のままならない、暖のとることもできない場所で、いつか来る助けを待っている人がたくさんいて、同日同時刻にはいつも通りのお正月を過ごすことができる環境が車で数

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生活する沖縄 #5|イッチバンの大人気

生活する沖縄 #5|イッチバンの大人気

沖縄にはグスクっていう琉球王国時代の遺跡がたくさんあって、世界遺産になってたりなっていなかったりする。グスクは城という字を当てるけど、必ずしもお城の跡ではない。
お城みたいに立派なものばかりではないけれど12~15世紀ごろの石垣や神事用の祭壇が残っているのだから、見応えがあって大変良い。

いくつか有名なグスクがあって、その日は勝連城というところに行った。そこは実際にお城として使われていたところで

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生活する沖縄 #4|小さいワ。

生活する沖縄 #4|小さいワ。

沖縄には500メートル級の山が幾つかあって、そのうちの4つの山を一日のうちにまとめて登った。
いい感じの棒を拾った隊長を先頭に据えて、4時間にわたってひたすら歩き続けた。

山の頂上では文字通りの絶景が視界を覆うので、それを見ながら少しの間だけぼーっとするなどした。

憂鬱な環境にいた頃、綺麗な景色は言い訳だった。
憂鬱な自分に発破をかけるための癒しとして、それは素晴らしいほどの効果を発揮する特効

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生活する沖縄 #3|全開の窓、食卓のもずく

生活する沖縄 #3|全開の窓、食卓のもずく

その日は離島に向かった。
沖縄近海には島がたくさん浮かんでいて、飛行機やフェリーだけじゃなく、車で行けちゃうお手軽島もいくつかある。

海中道路と呼ばれる道を通って島に行くと知った時、
車と並び泳ぐジンベイザメや、外国のお菓子みたいな色彩の小魚たち、目下に揺蕩うクラゲの銀河を想ってしまうのは、きっと僕だけではないはず。

まだ小さかった頃に初めてアクアラインを通った時、それが海の中の道路だと聞いて

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書いた本の紹介|君は簡単なことを難しそうにやるね

書いた本の紹介|君は簡単なことを難しそうにやるね

「僕はよく叱られる。」から始まるこの本は、

叱られる時によく言われる言葉を数個ピックアップして、一度は素直に、二度目はちょびっとだけ反抗して、問いかけるような形で振り返った本です。

でこぼこな自分を、慌ててつるつるに磨いてしまう前に少し立ち止まってみてほしいという思いを込めています。

オンラインショップの他に、祖師谷にある「不便な本屋さん」という素敵な本屋さんにお取り扱いいただいているのでぜ

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