崔 真淑/エコノミスト『投資1年目のための経済・政治ニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)

MBA in Finance。一橋大学院博士在籍。専門はコーポレート・ファイナンス。G…

崔 真淑/エコノミスト『投資1年目のための経済・政治ニュースが面白いほどわかる本』(大和書房)

MBA in Finance。一橋大学院博士在籍。専門はコーポレート・ファイナンス。GNC代表。昭和女子大研究員。フジテレビ『Live News α』、テレビ東京『昼サテ』、NHK、日経CNBC等で経済解説。公式サイトhttp://www.goodnews.jp.net/

マガジン

  • 日経COMEMO

    • 13,058本

    日経COMEMOは、様々な分野から厳選した新しい時代のリーダーたちが、社会に思うこと、専門領域の知見などを投稿するサービスです。 【noteで投稿されている方へ】 #COMEMOがついた投稿を日々COMEMOスタッフが巡回し、COMEMOマガジンや日経電子版でご紹介させていただきます。「書けば、つながる」をスローガンに、より多くのビジネスパーソンが発信し、つながり、ビジネスシーンを活性化する世界を創っていきたいと思います。 https://bit.ly/2EbuxaF

  • 「社会人の学びなおし」のコツ

    もう一度学びたい、何を学ぶべきか、仕事と両立をするには?…など、社会人の学びなおしを円滑に行うためのコツを考えていきます。 社会人で修士号の取得、博士課程進学の経験から、リアルな奮闘記とノウハウを惜しみなく披露します!

記事一覧

固定された記事

2021年を振り返る!やはり大学院の学びにかなり助けられた1年でした~リカレント教育は収入UPに繋がるかをデータと経験から考察…

 2021年が、終わろうとしています。今年も、皆様のご縁と支えのおかげで無事に終わろうとしています。本当に有難うございます。そして、仕事面でも新しい機会を頂きました…

出生率向上に住宅ローン緩和が重要!? ~ファイナンス視点で考える少子化対策~

 出生数の急減が止まらないことが話題で、対策について様々な意見が出ています。一部の研究者からは、人口減少を食い止めるラストチャンスは既に過ぎたという声も聞きます…

西武・そごう、ストを株主利益と従業員利益の立場から考える〜ストが起こる潮流について〜

 西武・そごうの労働組合によるストライキに対して、応援する声もあれば、厳しい声も出ていたりと注目が集まっています。私は、今回のストライキに対して株主利益と従業員…

なぜ海外機関投資家は投資先企業のダイバーシティーを促したいの?〜データ解析から見えた意外!?な事情〜

 上場企業に対して人材のダイバーシティ(性別・年齢・人種・能力・障がいなど)を促すことが上場市場(≒ガバナンスコード)から求められています。表面的なダイバーシテ…

企業のESG施策は投資家獲得に、本当に繋がるのか?〜先行研究から考察する〜

 ESG経営に励む上場企業が増加しています。しかし、肝心なのは自社のESG経営が企業価値向上に繋がるかどうかです。本業と全く関係のない事業でESG施策をしても企業価値の…

2022年を振り返る〜キャリアの「焦り」はリカレント教育でカバーしていこうと感じた1年〜

2022年も、もうすぐ終わろうとしています。私にとっては、今年は全ての価値観が吹き飛ぶような1年間でした。というのも、出産と育児という初めての経験をさせてもらった…

出産準備10万円も嬉しいけど、出生率上昇の兆しが見える中で、こういう支援策があると更に嬉しいかも?!〜有難いと感じた支援策…

 出生率の低下が止まりません。コロナ禍の2021年の出生数が過去最小の84万人を記録しました。感染拡大で婚姻や出産を控える動きがあったと推測されています。しかし、こ…

為替介入は、金融市場に影響力を与えられないは本当か?〜33ヵ国データの最新研究で見えた動き〜

 急激な円安による物価高への影響が懸念されています。急激な為替変動は企業活動にネガティブな影響(投資に消極的になるなど)が及ぶことが先行研究でも報告されています…

社会人博士課程学生の日常〜英語査読論文という壁について〜

 先日、ある尊敬するジャーナリストの方から、社会人博士課程学生に関する取材を受ける機会がありました。社会人の学び直しといえば、リカレント教育と、リスキリングがあ…

男女賃金差の企業開示義務化は、賃金格差と企業価値にどのような影響をもたらすのか?〜2006年のデンマークの事例より〜

 多くの国が、男女賃金格差の是正に動いています。例えば、男性が平均的に100ドル稼ぐと、女性はドイツでは78.5ドル、イギリスでは79ドル、EU諸国では平均83.8ドル(Euros…

戦争はESG投資家の行動を、どのように変化させたのか?〜ESG理念と投資リターンのジレンマ〜

ESG投資のパフォーマンスに注目が集まっています。というのも、下記の記事にもあるように、ここ数年のESG(環境・社会・企業統治)意識の高まりで、ESG投資家(国連PRIに…

プロ投資家(機関投資家)は、株主総会のESG関連議案に対して議決権行使をどのように行使する傾向か?〜大型ファンドと中小型フ…

 6月の株主総会シーズンを目の前に、機関投資家(プロ投資家、私たちの年金を運用するファンド等を含む)の動向が注目されています。特に、ESG関連(環境・社会・ガバナン…

アメリカのように「ジョブ型雇用」と「雇用の流動性」を高めようと聞くけど、アメリカの労働環境は意外に手堅い側面もあると感じ…

 部署やポジションごとに最適な人材を起用するアメリカで散見される「ジョブ型雇用」が注目されています。記事あるように、経団連も提唱しています。しかし、日本はアメリ…

持ち合い株式の削減は、ビジネスパーソンにどんな影響をもたらすのか?〜株主の影響力と働き方〜

 今年4月、東京株式市場で約60年ぶりの市場再編が実施されました。下記の記事にある通り、注目は海外からの投資マネーを呼び込むことを目的としたプライム市場の動向です…

金融制裁は、米ドル覇権をどう変えるのか?〜世界が細分化されるは本当か〜

 ロシアへの軍事侵攻を受けて、西側諸国がロシア系金融機関をSWIFT(国際銀行間通信協会)から締め出す金融制裁を行なっています。これにより、中露関係が密になることで…

ロシア軍事侵攻で「ESG投資ムーブメント」は過渡期に!?〜戦争とESG投資パフォーマンス〜

 経済・投資メディアにおいて、「ESG投資」という言葉を頻繁に目にするようになりました。ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)…

2021年を振り返る!やはり大学院の学びにかなり助けられた1年でした~リカレント教育は収入UPに繋がるかをデータと経験から考察する~

2021年を振り返る!やはり大学院の学びにかなり助けられた1年でした~リカレント教育は収入UPに繋がるかをデータと経験から考察する~

 2021年が、終わろうとしています。今年も、皆様のご縁と支えのおかげで無事に終わろうとしています。本当に有難うございます。そして、仕事面でも新しい機会を頂きました。日経電子版の投資解説コーナーの出演、新刊の出版、経済解説の機会、自分の人となりの紹介記事への出演等々、感謝しかないです。こうして何とか仕事の機会があるのは、皆様とのご縁はもちろん、博士後期課程で在籍している大学院での先生方の指導や学び

もっとみる
出生率向上に住宅ローン緩和が重要!?    ~ファイナンス視点で考える少子化対策~

出生率向上に住宅ローン緩和が重要!? ~ファイナンス視点で考える少子化対策~

 出生数の急減が止まらないことが話題で、対策について様々な意見が出ています。一部の研究者からは、人口減少を食い止めるラストチャンスは既に過ぎたという声も聞きます。むしろ、人口減少時代に合わせた国作り、企業経営が求められているとの意見も出ています。今回は、時すでに遅しという声はあるものの、何が出生数の上昇に有効かをファイナンスの視点で考察していきます。

日本の出生率、実は低くない? 日本の少子化問

もっとみる
西武・そごう、ストを株主利益と従業員利益の立場から考える〜ストが起こる潮流について〜

西武・そごう、ストを株主利益と従業員利益の立場から考える〜ストが起こる潮流について〜

 西武・そごうの労働組合によるストライキに対して、応援する声もあれば、厳しい声も出ていたりと注目が集まっています。私は、今回のストライキに対して株主利益と従業員利益の2つの立場から考察する必要があると考えています。この考察が、経営者、ビジネスパーソンが将来予測をする際のヒントになればと思います。

株主利益の立場から 株式会社の使命は何かと言われたら、あなたは何と答えますか?社会・従業員・取引先・

もっとみる
なぜ海外機関投資家は投資先企業のダイバーシティーを促したいの?〜データ解析から見えた意外!?な事情〜

なぜ海外機関投資家は投資先企業のダイバーシティーを促したいの?〜データ解析から見えた意外!?な事情〜

 上場企業に対して人材のダイバーシティ(性別・年齢・人種・能力・障がいなど)を促すことが上場市場(≒ガバナンスコード)から求められています。表面的なダイバーシティとして、トークン(象徴)のように女性役員を増やして株主アピールをするのではなく、将来的なことを見据えて管理職のダイバーシティ、誰もが働きやすい環境作りなどの長い目で見たダイバーシティ構築が求められています。下記の記事もあるように、最近では

もっとみる
企業のESG施策は投資家獲得に、本当に繋がるのか?〜先行研究から考察する〜

企業のESG施策は投資家獲得に、本当に繋がるのか?〜先行研究から考察する〜

 ESG経営に励む上場企業が増加しています。しかし、肝心なのは自社のESG経営が企業価値向上に繋がるかどうかです。本業と全く関係のない事業でESG施策をしても企業価値の毀損にしかなりません。実際、そうしたことを報告する先行研究も存在します。そんな懸念を吹き飛ばすには、自社でESG経営と企業価値の関係性をデータ検証により定量的に報告することが必要です。下記の記事では、こうした取り組みが広がっている子

もっとみる
2022年を振り返る〜キャリアの「焦り」はリカレント教育でカバーしていこうと感じた1年〜

2022年を振り返る〜キャリアの「焦り」はリカレント教育でカバーしていこうと感じた1年〜

2022年も、もうすぐ終わろうとしています。私にとっては、今年は全ての価値観が吹き飛ぶような1年間でした。というのも、出産と育児という初めての経験をさせてもらったからです。
 仕事には、産後3ヶ月で復帰にしました。早期復帰の背景には、役職的に育児休業が取得できないというのもありますが、「焦り」があったからです。仕事が無くなったらどうしよう・・という「焦り」です。しかし、本当に有難いことに産後も仕

もっとみる
出産準備10万円も嬉しいけど、出生率上昇の兆しが見える中で、こういう支援策があると更に嬉しいかも?!〜有難いと感じた支援策ベスト3〜

出産準備10万円も嬉しいけど、出生率上昇の兆しが見える中で、こういう支援策があると更に嬉しいかも?!〜有難いと感じた支援策ベスト3〜

 出生率の低下が止まりません。コロナ禍の2021年の出生数が過去最小の84万人を記録しました。感染拡大で婚姻や出産を控える動きがあったと推測されています。しかし、これは本当でしょうか?
 実は、一部の女性層に限って見ると、むしろ出生数が上昇しているのです。下記の記事にあるように、主にデスクワークを主体としている女性の2021年出生動向を見ると、子どもの数が1.74人と19年ぶりに上昇しているのです

もっとみる
為替介入は、金融市場に影響力を与えられないは本当か?〜33ヵ国データの最新研究で見えた動き〜

為替介入は、金融市場に影響力を与えられないは本当か?〜33ヵ国データの最新研究で見えた動き〜

 急激な円安による物価高への影響が懸念されています。急激な為替変動は企業活動にネガティブな影響(投資に消極的になるなど)が及ぶことが先行研究でも報告されています。物価高だけではなく、日本経済停滞も懸念されています。こうした環境を見過ごすことはできないとばかりに、下記の記事が指摘するように日本政府は為替介入を行なっているようです。つまり、政府が金融市場でドル売り円買いを行うことで、円安を食い止めるよ

もっとみる
社会人博士課程学生の日常〜英語査読論文という壁について〜

社会人博士課程学生の日常〜英語査読論文という壁について〜

 先日、ある尊敬するジャーナリストの方から、社会人博士課程学生に関する取材を受ける機会がありました。社会人の学び直しといえば、リカレント教育と、リスキリングがあります。下記の記事では、リカレント教育は個人手動で行うことが多く、リスキリングは会社主導のケースが多いことが記載されています。そして、リカレント教育は社会人が教育機関や社会人向け講座に戻り、学び直すことを指します。そして、このコラムを読んで

もっとみる
男女賃金差の企業開示義務化は、賃金格差と企業価値にどのような影響をもたらすのか?〜2006年のデンマークの事例より〜

男女賃金差の企業開示義務化は、賃金格差と企業価値にどのような影響をもたらすのか?〜2006年のデンマークの事例より〜

 多くの国が、男女賃金格差の是正に動いています。例えば、男性が平均的に100ドル稼ぐと、女性はドイツでは78.5ドル、イギリスでは79ドル、EU諸国では平均83.8ドル(Eurostat 2016時点データより)と、女性の方が賃金が低い傾向にあります。もちろん、女性が家事育児のために時短勤務を選んでいたり軽作業を選択しているからではないかという反論の声もあります。しかし、これは同様の仕事や職種での

もっとみる
戦争はESG投資家の行動を、どのように変化させたのか?〜ESG理念と投資リターンのジレンマ〜

戦争はESG投資家の行動を、どのように変化させたのか?〜ESG理念と投資リターンのジレンマ〜

ESG投資のパフォーマンスに注目が集まっています。というのも、下記の記事にもあるように、ここ数年のESG(環境・社会・企業統治)意識の高まりで、ESG投資家(国連PRIに署名した機関投資家)が投資対象に脱炭素の動きから石油や石炭関連の株を持たないことが増えてきたのです。持続可能な社会作りとして素晴らしい取り組みに見える一方で、ESG投資の理念を再考する契機にもなりつつあるのです。

ESG投資の

もっとみる
プロ投資家(機関投資家)は、株主総会のESG関連議案に対して議決権行使をどのように行使する傾向か?〜大型ファンドと中小型ファンドの違い〜

プロ投資家(機関投資家)は、株主総会のESG関連議案に対して議決権行使をどのように行使する傾向か?〜大型ファンドと中小型ファンドの違い〜

 6月の株主総会シーズンを目の前に、機関投資家(プロ投資家、私たちの年金を運用するファンド等を含む)の動向が注目されています。特に、ESG関連(環境・社会・ガバナンス関連)の株主提案議案が、下記記事にあるようにアメリカでは昨年比20%も増えていることから、日本でも増加する見込みとなっています。しかし、世界共通で株主提案が50%以上の賛成率を取るようなことは、滅多に無いのです。少し古いデータ参照にな

もっとみる
アメリカのように「ジョブ型雇用」と「雇用の流動性」を高めようと聞くけど、アメリカの労働環境は意外に手堅い側面もあると感じた話〜ファイナンスの視点から〜

アメリカのように「ジョブ型雇用」と「雇用の流動性」を高めようと聞くけど、アメリカの労働環境は意外に手堅い側面もあると感じた話〜ファイナンスの視点から〜

 部署やポジションごとに最適な人材を起用するアメリカで散見される「ジョブ型雇用」が注目されています。記事あるように、経団連も提唱しています。しかし、日本はアメリカのように雇用の流動性が低いことから、ジョブ型雇用が進みにくいとも指摘されています。こうした論調や変革は、日本経済をより良くする可能性もある一方で、少し心配になることもあります。とというのも、雇用の流動性が高いアメリカでは、労働者の生活を守

もっとみる
持ち合い株式の削減は、ビジネスパーソンにどんな影響をもたらすのか?〜株主の影響力と働き方〜

持ち合い株式の削減は、ビジネスパーソンにどんな影響をもたらすのか?〜株主の影響力と働き方〜

 今年4月、東京株式市場で約60年ぶりの市場再編が実施されました。下記の記事にある通り、注目は海外からの投資マネーを呼び込むことを目的としたプライム市場の動向です。このプライム市場で企業が上場を維持するためには、その上場企業が自社の流通株式比率を上げる(または下げない)ことが必要です。そして、流通株式比率が低い企業の多くは、持ち合い株式比率が高い企業が散見されます。今回の市場再編は、骨抜きの改革と

もっとみる
金融制裁は、米ドル覇権をどう変えるのか?〜世界が細分化されるは本当か〜

金融制裁は、米ドル覇権をどう変えるのか?〜世界が細分化されるは本当か〜

 ロシアへの軍事侵攻を受けて、西側諸国がロシア系金融機関をSWIFT(国際銀行間通信協会)から締め出す金融制裁を行なっています。これにより、中露関係が密になることで、世界が細分化されるのではないかと懸念されています。つまり、中露によるドル離れが加速し、中露側の国々と、西側諸国川の国に世界が分裂するかもしれないとの懸念です・・。しかし、下記の記事にもあるように、中国が主として築いた決済網CIPSは、

もっとみる
ロシア軍事侵攻で「ESG投資ムーブメント」は過渡期に!?〜戦争とESG投資パフォーマンス〜

ロシア軍事侵攻で「ESG投資ムーブメント」は過渡期に!?〜戦争とESG投資パフォーマンス〜

 経済・投資メディアにおいて、「ESG投資」という言葉を頻繁に目にするようになりました。ESG投資とは、環境(Environment)・社会(Social)・ガバナンス(Governance)要素に配慮したESG経営を行う企業などに投資することを指します。下記の記事にもあるように、企業にESG経営を促すための情報開示制度の整備が進んでいます。ただし、ESG投資といっても、社会を良くするツールになる

もっとみる