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論語とともに見る社会

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とらまる×論語普及会 論語普及会会員のとらまるが論語にふれた記事と、普及会の記事をまとめて収録しています。
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記事一覧

忠恕一貫...まごころ(忠)からなるおもいやり(恕)

忠恕一貫...まごころ(忠)からなるおもいやり(恕)

子曰(のたま)わく、參(しん)や、
吾が道は一(いつ)以(もっ)て之(これ)を貫く。
曽子(そうし)曰わく、唯(い)。
子(し)出ず。門人問うて曰わく、何の謂(いい)ぞや。
曽子曰わく、夫子(ふうし)の道は忠恕(ちゅうじょ)のみ。
(里仁第四、仮名論語四三頁)
先師(孔子)が言われた。
「参(曾子の名)よ、私の道は一つの原理で貫いている」
曾子が「はい」と歯切れよく答えられた。
先師は満足げに出

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現代的論語4 孝行とは

現代的論語4 孝行とは

親孝行をし、きょうだいの言うことをよく聞き、年上や上司の人に逆らうものではない…
簡単に言えばそんな感じです。

孔子が生きていた頃の時代なので、
「兄や姉に従順に」というフレーズは
今の時代で考えると表現の仕方がきついものや
そぐわないものも中にはありますが、
”きょうだいを大事にせよ”という意味で受け取れば良いのではないかと思います。

「親やきょうだいを大事にして、
孝行することを忘れないよ

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志仁無悪...憎む心をもたない。それは、悪い事をしないことよりも難しい。

志仁無悪...憎む心をもたない。それは、悪い事をしないことよりも難しい。

「子曰(のたま)わく、苟(いやし)くも仁(じん)に志(こころざ)せば、惡(にく)むこと無きなり。」
(里仁第四・仮名論語三八頁)
「かりそめにも仁に志したならば、人を嫌ったり、人を拒んだりすることはない。」

この章句を「苟(まこと)に仁に志せば、惡(あく)無きなり」と読み下すのが、一般的である。

真に仁を志したならば、過ちを犯すことがあっても、悪事をはたらくことはない、と言う解釈である。

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不教民戦...「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

不教民戦...「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

子曰(のたま)わく、敎(おし)えざるの民を以(もっ)て戰う、是(こ)れ之(これ)を棄(す)つと謂(い)う。
(子路第十三、仮名論語一九九・二〇〇頁)
先師(孔子)が言われた。
「充分に教育もしてない民を戦わせるのは、それこそ民をすてるというものだ」

気に入った一枚の写真がある。
漆黒の闇に青と白が斑(まだら)なす小さな地球と微かな月が浮かんでいる。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機「は

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百物生焉...「天は何を言うだろうか」

百物生焉...「天は何を言うだろうか」

子曰(のたま)わく、天何をか言うや、四時行われ百物生ず、天何をか言うや。
(陽貨第十七、仮名論語二七三頁)
先師(孔子)が言われた。
「天は何を言うだろうか。春夏秋冬の四季はめぐっているし、万物は自ら生長しているではないか。天は何を言うだろうか。」

歳を重ねると、天の運行の律動(リズム)に近くなるように感じる。

太陽が昇ろうとすると目が覚め
沈もうとするとお腹が空き
満ちると眠くなる。

若き

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現代的論語3 人からの評価のためにではなく自分のために努力する

現代的論語3 人からの評価のためにではなく自分のために努力する

学んだり、働いたり、得意なことを頑張ったり…
誰しもエネルギーを注げる何かを持っているはずです。
趣味でも、特技でも、SNSで発信することでも。

それらを頑張る目的は、自分を高めたい、成長したい、得意分野を極めたいなど、自己を磨こうという思いが根っこにあるはず。

あくまで自分磨き。
自分の成長のため。

人に自慢するために、人から褒められるために頑張るものではないはず。

確かに人間には承認欲

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絵事後素...「共感覚」とは

絵事後素...「共感覚」とは

子曰(のたま)わく、繪(え)の事は素(しろ)きを後にす。
(八佾第三、仮名論語二六頁)
先師(孔子)が言われた。
「絵を描く時は、最後に白い胡粉で仕上げをする」

音を聞いて色を感じ、色を見て音を感じるという特殊な知覚を持った人がいる。
音に色を観る、色に音を聴く
という表現の方が正しいかもしれないが、
二つ以上の感覚が結びつく知覚現象を「共感覚」という。

今年平成三十年の二月、
新潟大学の伊藤

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臭悪不食...食に関する心得とにおい

臭悪不食...食に関する心得とにおい

色の惡(あ)しきは食わず。臭(におい)の惡(あ)しきは食わず。飪(じん)を失えるは食わず。時ならざるは食わず。
(郷黨第十、仮名論語一三二・一三三頁)
(孔子は)色や臭いの悪いのは食べられなかった。煮加減のよくない物や季節外れの物は口にされなかった。

孔子は、色や臭いの悪いもの、煮加減のよくない物や季節外れの物は食べられなかった。
『論語』郷党篇には、冒頭章句の前後に孔子の食に関する心得が記さ

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現代的論語2 心同じくした仲間が集まる喜び

現代的論語2 心同じくした仲間が集まる喜び

幼き頃から共に学び、志を同じくする友・仲間はかけがえのない存在であり、離れてもまたやってきてくれるのは有難いことであり、大変喜ばしい。
また、その繋がりがいつまでも続いていくことも喜ばしい。

そのようなことが語られていますが、最近は、昔仲良かった人と離れてもなお、会って交流を深められるというのは乏しくなってきているのではないでしょうか。

互いに仕事や生活が多忙で、滅多に会えない、メールのみのや

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現代的論語1 学びを通して得る喜び

現代的論語1 学びを通して得る喜び

私は論語を学んでいる者です。
論語との出会いは、約3年ほど前。
開業する際に、昔からお世話になっている税理士さんから「経営者になるなら論語を学べ」と言われたことがきっかけでした。

当時は論語についてはさっぱりで、
『どんな勉強なんですか?』と尋ねたところ、
「孔子だ」と一言。

何のことか結局よく分からないまま、税理士さんが参加する論語の勉強会に一緒に参加しました。

そこにおられた方々は、人生

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温厲威恭...「おだやかでいて厳しく、おごそかであっても猛々しいところはなく...」

温厲威恭...「おだやかでいて厳しく、おごそかであっても猛々しいところはなく...」

子、温(おん)にして厲(はげ)し。威にして猛(たけ)からず。恭にして安し。
(述而第七、仮名論語九七頁)
先師は、おだやかでいて厳しく、おごそかであっても猛々しいところはなく、うやうやしくて、しかも安らかな方であった。

待ち遠しい春の到来である。
何となく嬉しくなる。目をつむる。
雪が解け水温(ぬる)み、流氷は去る。
大地の黒、草木の緑とオホーツクの青が蘇る。
幼い頃のそんな春が一番嬉しかった

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未知生死...「まだ生もわからないのに、どうして死がわかろう」

未知生死...「まだ生もわからないのに、どうして死がわかろう」

曰わく、敢(あえ)て死を問う。曰(のたま)わく、未だ生を知らず、焉(いずく)んぞ死を知らん。
(先進第十一、仮名論語一四六・一四七頁)
子路(孔子の弟子)が「死とはなんでしょうか」と問うた。
先師は言われた。「まだ生もわからないのに、どうして死がわかろう」

孔子の弟子、子路に限らず、死について問いたいと思うのは、古今東西誰も皆同じである。

人はどこから来てどこへ行くのか。
聖人賢人のみならず、

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楽水楽山...知者は変化を楽しみ、仁者は永遠の中に安住する

楽水楽山...知者は変化を楽しみ、仁者は永遠の中に安住する

子曰わく、知者(ちしゃ)は水を樂しみ、仁者(じんしゃ)は山を樂しむ。知者は動き、仁者は靜かなり。知者hは樂しみ、仁者は壽(いのちなが)し。
(雍也第六、仮名論語七六頁)
先師が言われた。
「知者は水を好み、仁者は山を好む。
知者は活動的であり、仁者は静寂である。
知者は変化を楽しみ、仁者は永遠の中に安住する」

登山や山歩きを好きな人にとって答えられない章句が『論語』にある。

雍也篇の「知者は水

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四海困窮...「もし四海を困窮させることがあれば、天の恵みは永久に断続するであろう」

四海困窮...「もし四海を困窮させることがあれば、天の恵みは永久に断続するであろう」

允(まこと)に其(そ)の中(ちゅう)を執(と)れ。
四海困窮せば、天祿(てんろく)永く終えん。
(堯曰第二十、仮名論語三〇七頁)
(堯帝が天子の位を舜帝に禅(ゆず)られたときに言われた)
「まことに過不及なき中庸の道を執って政を行え。
もし四海を困窮させることがあれば、
天の恵みは永久に断続するであろう」

十六歳のグレタ・トゥーンベリさんが
涙を浮かべて各国首脳に訴えたのは、
二〇一九年九月二十

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