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エッセイ | 40歳差の私たち。文通30周年メモリアルイヤーはエメラルドグリーンの輝き。
祝日の朝早く、ゆうパックが届いた。
私にゆうパックを送ってくれる相手で思い当たるのは一人しかいない。おじさんだ。
おじさんというのは、私の長年の文通相手のことで、昭和19年(1944年)生まれの八十歳である。
おじさんとは、私が一歳の頃に出会った。
おじさんは当時私が住んでいた家の、真向かいにある古いアパートの一階に夫婦で住んでいた。
その頃から、家の前で会えば
日記 | セルフプロデュースとだし巻き玉子。
昔働いていた美容室の社長から言われたことを、ふと思い出した。
「セルフプロデュースをしなさい」
「半年間、同じスタイルを貫いて、半年後にガラッと変えなさい」
私にこう助言した社長本人は、確かにある一定期間、オールバックを貫いたり、ハットを被り続けたりしていた。
社長の顧客の多くは、半年間で3回ご来店くださる方々だったので、3回同じ格好の社長を見て、4回目でガラッと雰囲気が変わっていると喜ん
日記 | 美容室が混み始めた結果、麗子像に仕上がった話。
久々に美容院へ行きました。
10時に予約していて、事前に13時までには帰りたいと伝えていました。
カットとカラーなので2時間、多くても2時間半で仕上がるだろうと、無理のない範囲でお願いしました。担当美容師も「13時ですね、全く問題ないです」と言いました。
ところが最後のシャンプーを終えると、普段見かけないスタッフが二人がかりで私の髪を乾かし始めました。隣の姉妹店からの助っ人でした。
旅行記 | 東京から和歌山。小説の舞台を巡る、女のひとり旅 ~完~
帰りの特急くろしおの発車時刻は13:26。三段壁を後にした時点でまだ時間には余裕があった。そこで私は、歩いて数分の千畳敷にもう一度立ち寄ろうと思った。
時間には余裕があるといいながら、今にも雨になりそうな空に心が急いて落ち着かない。三段壁洞窟で買った記念写真を手に持ったまま歩き始めてしまった。
記念写真はQRコードからダウンロードもできる。せっかくなので歩きながらデータを取得。その
旅行記 | 東京から和歌山。小説の舞台を巡る、女のひとり旅③
旅行とはいえいつも通り五時のアラームで目覚めた。
なんだか体が浮腫んでいる。昨夜のラーメンだ。ラーメンは年間通して二、三回しか食べない。体が驚いている。
すぐに大浴場に行って朝風呂で体をほぐす。白浜温泉は少し塩辛い。
***
朝食は食堂でフレンチを出してくれるらしい。朝からフレンチて。朝でも昼でも夜でも、フレンチなんていつ食べたんだろう。たしか誰かの結婚式が最後。フレン
旅行記 | 東京から和歌山。小説の舞台を巡る、女のひとり旅②
特急くろしおに乗ってやってきたのは南紀白浜。ネットで〝日本のビーチリゾート〟だったか、検索をしてたまたま見つけた場所だった。
バスの移動が便利で観光しやすい。小説の主人公、18歳の女子高生が訪れるにはちょうどいいかなと思い、その地を舞台に決めた。そして物語に誘導され、私も初めて訪れている。
主人公はこの旅で、架空の安宿に泊まったけれど、私は彼女の倍以上生きているので、ちょ
旅行記 | 東京から和歌山。小説の舞台を巡る女のひとり旅①
旅の始まり、早速新幹線の揺れに酔っている。4月某日、新大阪へ向かう新幹線のぞみの指定席は満席だった。
私は窓側に座り、隣には男の人が座った。音を一切立てない、黒縁メガネにマスクでゲーマーな彼は、右手の親指以外、ほとんど動きがない。静かだという点で、なんとも私好みだ。
有り難い人の隣になったわ、と幸運を噛みしめるついでに豆腐ドーナツを食らい、プラックの缶コーヒーを飲む。時々、窓
日記 | やせたガールな日常?
青「やせたガールな日常って言うけど、それってわたしのことかな?」
いやいや。あなたは〝ガール〟じゃないから。
青「・・・・そっか。」
それにあなた。昨日旅先でラーメン食べた後に足りなくて、宿に戻ってからからあげクンとチーズケーキも食べてたよね?
#青ブラ文学部 #やせたガールの日常
山根さん、よろしくお願いします°・*:.。.☆
掌編小説 | レディー・キラー
〝花 吹雪〟と書かれた名刺を渡された。綺麗な名前だねと言ったら、左隣に座るその女性は僕から少し体を離して、嘘でしょ?、と笑った。
「うそじゃないよ。なんで?」
「ねえ。これ、読めないの?」
そう言って、名刺の文字を細い指先でなぞりながら、僕にもう一度読むように促す。
「はな、ふぶ……えっ」
女性は笑い出した。
「ね、面白いでしょ」
彼女が体を揺らして笑うので、いい香りがする。カウンターの中