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仕事のあれこれ

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看護師として感じたNOTEをまとめました。
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見えないものと戦う日々 ~大事な事を見失わないように~

見えないものと戦う日々 ~大事な事を見失わないように~

コロナウイルス感染の流行によって私の職場環境は目まぐるしく変化している。100床ほどの小さな病院に看護師として働いている、毎週のように上司や重役たちの感染会議・・・方針がどんどん変わり入院している患者さんの環境も変化していった。

毎年冬から今くらいの季節はインフルエンザや多くのウイルスが活発に活動している期間。感染の状況により対策を行っているけど、今年はちょっと訳が違う。働く職員は勤務する前に体

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感情処理の仕方を教えてください

感情処理の仕方を教えてください

1月から夜勤をしている。私の職業は看護師、このNOTEで親しい人は良く知っていること。
以前の職場では、数分も座れず休憩もできなかった過酷な夜勤を経験しているから多分どうにかなるのだと多寡をくくっていた。

看護師の職業を長年続けていると、「当たる人」と「当たらない人」に分けられる。私は後者の「当たらない人」だった。「当たる」とは、不謹慎かもしれないけど急変やステルベンに勤務中よく遭遇する事(*ス

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ノンフィクションのエピローグ

ノンフィクションのエピローグ

息を引き取ったその人はまだあたたかかった

昨日から夜勤で病院にいた。夕方から急変したその人はみるみるうちに呼吸が浅くなり2時間後に呼吸をやめた。眠っているようなその体を私はずっと見ていた。
いつも穏やかな人だった。声をかけるとニコッと笑って「ありがとね」や「ごめんね」が口癖だった人。今にも眼を開けそうな雰囲気ではあったが、もう永遠に目覚めることはない。駆けつけた旦那さんは、ずっと手を握っていて「

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前の自分に戻るのではなく、今感じた思いを胸にこれからを生きていく

前の自分に戻るのではなく、今感じた思いを胸にこれからを生きていく

気を張り詰めていた。

外に出た途端、別の人の皮を被る。自分をマントで隠して変身したみたいに壁を作る。気を許して素顔を出そうもんなら傷だらけになってしまいそうだから。なんでも敏感にとらえる私は感情をなくすように努力している。深く考えないよう、移入しないように。1つのことを一日中考え、あーでもないこーでもないと落ち込み、自分の発した言動に後悔する。そんな毎日はもう送りたくない。

仕事中はもっと気を

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私は"誰か"にはなれないし、誰かも"私"にはなれない。

私は"誰か"にはなれないし、誰かも"私"にはなれない。

今日も遅くなってしまった。終業時間を超えて18時過ぎに仕事が終わった。時間内終業を目標にしている師長には「あいかもさん、帰れる?」と毎日のように言われる。それがまたプレッシャーになり記録に集中できない、そしてもっと遅くなるという悪循環。
終わりごろになると、頭がぐちゃぐちゃになり整理したくてもできない。私の仕事は1に記録、2に記録と文章の連続である。自分が1日行った看護、患者さんの状態をみんなに伝

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普通じゃない自分と向き合う休日

普通じゃない自分と向き合う休日

不安だった

自分がどう振る舞ったらいいのか、普通になれるのかどうか。姿はみんなと変わらないけれども、何が欠けているようだった。掴めない雲のようなものをつかもうとする日々。ふわふわとした地面を今日も歩いている。

惨めだった、今日も昨日も。私はまだまだ十分に仕事ができない。いつも誰かに頼っている、責任を持ってすることが怖い。でも、少ない人数で毎日を乗り越えているその人たちの力になりたいとは思う。知

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言葉の重み

言葉の重み

「おはようございます」

「お世話になりました」

仕事をしていると当たり前に交わす言葉。そんな言葉に私はエネルギーをもらった。

2月のある日朝から体が動かなくなり自分でも戸惑いながら生活していた。それまで当たり前にしていた歯磨きやお風呂など食事が出来なくなりもちろん外出して仕事に行けなくなる。

散々話している心の病気

それまでの日常は一変した。一日中家にいる毎日、隠れるように買い物に行って

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当たり前のことができなくなった私は辞める勇気を持たないといけない

当たり前のことができなくなった私は辞める勇気を持たないといけない

「これからどうしていこうと思っている?」

私が最近言われたこと。ずっと考えて悩んでいるのにあっさりと答えを求めてくる。その言葉にうんざりしてしまった。こうなったのは誰のせいでもない、私が弱かったから仕事ができなくなってしまった。朝起きて、制服に着替えて持ち場に入り、与えられた仕事をして終わったら帰る。人が当たり前にすることが出来なくなってしまった私には難しい質問。どれだけ寝ても回復する事のない重

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仕事のことを考えるのは、きっとわかってほしいから

仕事のことを考えるのは、きっとわかってほしいから

今日は夕方まで寝ていた。また一日を無駄に過ごしてしまったとけだるい体を起こした。夢の中の私は、仕事に行く準備をしていた。早くいかないと遅れると急いでいるのにたどり着けない。とうとう始業時間が過ぎてしまって「今から家を出ます」と職場に電話していた。思い出して、ため息をつく。仕事のことを考えるとどうも気分が悪くなる。どうしてもこのスパイラルから抜け出せない自分に吐き気がしてしまう。わかっている、本当は

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育てるということは

育てるということは

新人だった私には教育係がいて、困っていることやわからないことをマンツーマンで教えてくれていた。看護業界の中では教育する人を”プリセプター”、新人を”プリセプティー”という。当時はまだ、教育制度が整っていなくて覚える項目をToDoリストにして担当の人が教えるようなスタイルだった。技術をひとしきり教えてしまったら終了というもので「教えたからできるでしょ」という考えがあった時代。1回じゃ覚えきれなくこっ

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ある日の昼下がり、先輩は夢を語っていた。

ある日の昼下がり、先輩は夢を語っていた。

「わたしやりたいことが出来たの」

昨日会った先輩が言った。社会人になったころから定年を迎えたら退職しようと思っていたと笑っていた。わたしにとっては尊敬すべき人。60を超えてもなお挑戦する心を失っていない潔い姿に見とれていた。先輩は起業をするらしい。すでにビジネスパートナーがいるわけでもない。8月に会社の立ち上げをし、しばらくは営業活動をしていくという。そのパワーはどこから来るのだろう?すっかり仕

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弱いのは甘えではなく、弱いからこそ強くなれる。

弱いのは甘えではなく、弱いからこそ強くなれる。

できるならば弱い人間でいたい。

そう思うのは甘えなのだろうか。強くいることは結構しんどい。仕事もパーフェクトにこなして、家庭では良き奥さんであり決してつらい事は人に見せないでいることが強さなのだったら、弱いままのほうがわたしらしい。
結果を出さないといけないプレッシャーもないし、ズボラのほうが楽でいい。手を抜くことは自慢できるようなものではないかもしれないけど、自分が許しているのならそれでいいと

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時々の優しさはずるい

時々の優しさはずるい

ちょっとした優しさに弱かったりする。

一緒に歩いているときにそっと手をつないでくれることとか、落ち込んでいるときに頭をなでてくれるとか、後ろからそっと抱きしめてくれることとか。いつもは干渉せず、興味がないようなそぶりを見せているのに、時々優しくされるとどうしようもなく胸が高鳴って、体の奥がじんわり熱くなる。

好きで好きでしょうがなくて、伝えても伝えきれないほどの思い。言葉にならない衝動はあなた

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戻っているわけじゃない、変わろうとしている。

もう戻りたくない

大事な人がいなくなった時にも、大きな失敗をして挫折した時にも。

頭の中の記憶にはいい事よりも悪いことの方が色濃く残っている。思い出すことはいつだって辛い事の方が多い。それは決して同情を誘っているわけではなく生きるために必要な本能。ネガティブな過去を少しでも良くするために繰り返し巡らせることで印象深く残ってしまう。同じ過ちをしないためにどうしたらよかったとか、試行錯誤したりとか

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