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眠れぬ夜に聴こえる子守唄
どうにもこうにも寝付けない夜だった。
梅雨が明けて唐突に訪れた暑さのせいなのか、それとも日中の昼寝のせいなのか、真っ暗にならない夜のせいなのか。
夜が明るいと感じるようになったのはいつからだろう。
新宿という街の夜に慣れたからかもしれない。
都会の夜に月の灯りなど必要ない。
もう私が知っている夜に真っ暗な夜などないのだ。
ひどく寂しい気持ちになった。
布団に横たわる私の耳に、遠くの方の車の
あの子の乱れた髪を、もっと丁寧に直すべきだったんだ。
彼女はまだ11歳だというのに、
もう既に生きることに疲れたような目をしていた。
そう考えるとすごいことだ。
まだ11年しかこの世に生きていない子どもが、
円周率について学んだりするのだから。
「ねぇ、おねえさん。
わたし最近こんなことを思うの。
どうしてわたしは、わたしなんだろうって。
わたしの魂は、どうしてこの身体と一緒になったんだろうって。」
バス停で私の隣に立つ彼女はそう話し始めた。
99匹も愛して1匹も愛する
もっと丁寧に人を愛したい
『今目の前にいる人を世界で一番大切な人だと思って接しなさい』って
お気に入りの神父が言ってた言葉を
いつでも心に留めているつもりでも
時々"大切にするってどうゆうことだ"
って思ってしまう時がある
なんの取り柄もない自分が
あなたの道具として生きていこうと決めたのはいつだったっけ
毎朝起きると
私は話を聞いてもらうことを望んでいる人のところへ行く
わりとフットワーク
Pie-in-the-sky meets
「語ってもいいですか」
僕のことをどう思っているのか聞くと、その女はそう言って語り始めようとした。
軽い気持ちで聞いたつもりだったが、軽く腰を持ち上げて座り直し、僕の目をじっとみつめて言うもんだから、僕は一度それを制して、ビールを一口飲んでから、胸を撫で下ろす動作を大袈裟にして見せた。
そして、どうぞ、と言った。
「まず、1つ目はですね、あなたのお仕事に惹かれました。
私も本が好きだから、